« 第1群のブレーキング開始!(日高) | メイン | 魅せる育成(宮崎) »

離乳後の子馬たち(生産)

8月の離乳を終え、ひと段落した当歳馬たちですが、9月の中旬には恒例の血統登録検査が行われました。血統登録検査は、競走馬になるための第一歩でもあり、サラブレッドとして競馬に出走するためには、サラブレッドである旨の証明を受け、そして登録されなければなりません。血統登録のための検査は、最近の10年ほどで大きく変わり、血統、すなわち親子鑑定は、2003年に血液型検査からDNA型検査に変更され、さらに2007年からは、個体識別にマイクロチップ検査が導入されたために、血統登録検査は簡便かつより正確なものに発展しています。

Photo_25

個体識別のためのマイクロチップ検査

10_2

検査のためにトリミングされた

当歳馬キセキスティール10(牡 父:ケイムホーム

2007年産駒から、血統登録を行った全頭に対してマイクロチップが装着された結果、本年の札幌競馬開催における出走馬のマイクロチップ装着率は、6070%にも達しました。このように、現在は、競馬の公正確保に不可欠な装鞍所での出走馬の個体照合にも、マイクロチップが利用され、非常に有益なものとなっています。

Rc_prepr_3

札幌競馬場の装鞍所でのマイクロチップ検査

出走馬の60~70%はマイクロチップを装着している

また、9月の下旬には分場へと放牧地を移動し、24時間放牧を開始しました。離乳後の不安を乗り切り、8頭の群れで落ち着いていた当歳馬たちでしたが、放牧地の移動という環境の変化に少しストレスを感じているようにも映りました。体重は前日から510kg減少し、放牧地での1日の移動距離は12kmから18kmに増加していました。母馬と離別する離乳時には、ストレスは最小限に止めることを第一に考えていましたが、離乳後は、可能な限り多くの環境の変化を経験させ、「心のブレーキング」を行うことも重要であると考えています。しかしながら、秋から冬にかけては、寒暖の変化も激しいため、感染症の発症には細心の注意を払わなければなりません。

Photo_26

放牧前には飼付け場所となるシェルターに慣らしておく

Photo_27

環境の変化を乗り越えリラックスする当歳馬たち

当歳馬たちを分場へと移動した当日の午後に、日高育成牧場内にヒグマが出没しました。分場は、本場よりもさらに山奥になるために、少し心配する一方で、子馬たちにとって適度な刺激となり、「心のブレーキング」になればとも思っています。

Photo_28

当場の敷地内に出没したヒグマ