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育成馬ブログ 生産編⑩

出産直後の引き馬

 

以前のブログでも触れたとおりhttp://blog.jra.jp/ikusei/2014/03/2-7408.html、出産直後から開始される子馬の取扱い、とくに引き馬は、人馬の信頼関係を構築し、人がリーダーとなるための躾の第一歩といえます。

 

今回のブログでは、実際の子馬の引き方を動画でご紹介します。

 

【出産直後の子馬の引き方】

出産翌日から、1名が母馬を引きながら、子馬の頸に手をかけます。そして、補助者が子馬の臀部を持ち上げるようにして前進させます。

 

特に出産翌日は、馬によっては肢が弱々しく、歩かせることが困難な場合もあるため、補助者は子馬の腰を持ち上げるようにして、サポートします。

 

 

子馬の引き方①「出産翌日」 
YouTube: 子馬の引き方①「出産翌日」

 

【出産数日後】

子馬が徐々に歩けるようになっても、前進しない場合には補助者が後方からプレッシャーを与えます。

 

子馬の引き方②「出産から数日後」 
YouTube: 子馬の引き方②「出産から数日後」

 

【出産1週間後】

その後、子馬がある程度歩けるようになったら、補助者は子馬には触れず、立ち止まった時のサポートに徹します。

 

子馬の引き方③「出産1週間後」 
YouTube: 子馬の引き方③「出産1週間後」

 

 

【出産2週間後】

2週齢を目安に、徐々に1人で親子の引き馬を行うようにします。

子馬が人の指示に従って、自分のバランスで歩けるようになったら、プレッシャーをオフにしましょう!

 

子馬の引き方④「出産2週間後」 
YouTube: 子馬の引き方④「出産2週間後」

 

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頚もしくは肩の外側に手をかける

子馬が自分のバランスで歩けたら、プレッシャーをオフに!!

 

【ご意見・ご要望をお待ちしております】

JRA育成馬ブログをご愛読いただき誠にありがとうございます。当ブログに対するご意見・ご要望は下記メールあてにお寄せ下さい。皆様からいただきましたご意見は、JRA育成業務の貴重な資料として活用させていただきます。

アドレス jra-ikusei@jra.go.jp

育成馬ブログ 生産編⑨ 「その2」

本年のJRAホームブレッド第一子が誕生!!

~出産直後における移行免疫不全症の検査 その2~

 

本年初のJRAホームブレッド、クリスコンフリクトの14(父バゴ)の血中IgG濃度を測定したところ、

出産8時間後のグルタルアルデヒド凝固試験では、1時間以上の時間を要したためFPT(移行免疫不全症)と診断、

一方、IgG濃度の測定可能な米国製の機器「DVMstat」で測定した場合、血清中のIgG濃度は約1,000mg/dlであり、正常値を示していました。

 

両者で異なる診断結果が示されたため、安全策として保存初乳の投与も検討しましたが、当場もそれほど多くの保存初乳があるわけではなく、

また、子馬も徐々に積極的に哺乳するようになってきたため、翌日まで様子を見ることにしました。

 

翌日、出産32時間後の血液を用いて両方の検査を実施したところ、

グルタルアルデヒド凝固試験では、2分程度で凝固を認めたことから正常と診断、

DVMstatでのIgG濃度も約2,000mg/dlまで上昇していました。

2日目以降は、子馬も元気になり、まずは一安心といったところです。

 

生後間もない子馬の移行免疫不全症、そして感染症の予防策として、

初乳Brix値の測定と子馬の哺乳確認に加え、血中IgG濃度の測定は極めて重要です。

獣医師によるフォールチェックに併せて、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?

 

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生後2週間のクリスコンフリクトの14(父バゴ) 健康にすくすくと成長しています。

 

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育成馬ブログ 生産編⑨ 「その1」

育成馬ブログ 生産編⑨ 

 

本年のJRAホームブレッド第一子が誕生!!

~出産直後における移行免疫不全症の検査 その1~

 

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                クリスコンフリクトの14(牡 父バゴ)出産翌日

 

3月31日に本年初のホームブレッド、クリスコンフリクトの14(父バゴ)が誕生しました。

初産のため、出産時体重が48kgと小さく、繋(つなぎ)もやわらかく、やや弱い印象を受けました。

 

肢が弱々しく、なかなか起立しなかったため、起立および哺乳のサポート(それぞれ90分後および2時間後)を実施したところ、とりあえず哺乳できるようになり、

母馬の初乳BRIX値も23%と問題ないため、翌朝まで様子を見ることにしました。

 

以前のブログでもふれたとおり(http://blog.jra.jp/ikusei/2014/02/post-ef69.html)、子馬の感染症予防策の1つとして、出産後の血液中の抗体IgGの濃度を調べて、移行免疫不全症の検査をすることは極めて重要です。

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血液のIgG濃度を測定する方法は、いくつかありますが、安価で簡易的に利用できる方法は、グルタルアルデヒド凝固試験ですhttp://blog.jra.jp/ikusei/2012/03/post-27e9.html

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グルタルアルデヒド凝固試験:血清IgG濃度が正常値であれば、数分で凝固する。 

1.グルタルアルデヒドを純水で10%に希釈した溶液を用意する

 

2.血清500μℓに10%グルタルアルデヒドを50μℓ加える

 

3.血清が固まる時間を測る

 

4.10分以内で固まればIgGは800mg/mℓ以上(正常)

 

5.10~60分で固まればIgGは400~800mg/mℓ(部分的移行免疫不全症)

 

6.60分を越えても固まらない場合は400mg/mℓ以下(移行免疫不全症)

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また、短時間で具体的な数値が出る検査として、米国製の測定キット「DVMstat」が有用です。

測定方法は簡単で、子馬から採取した血清をキットの溶液(抗ウマIgGヤギ血清)に加えて、専用の機械(吸光光度計)で濃度を測定します。

いずれの検査も、子馬が初乳を吸収できる時間帯である生後12時間以内における診断が可能であるため、治療として初乳の投与を選択することができます。

DvmstatDVMstat:短時間での血清IgG濃度の測定が可能

 

つづく