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サマーセール購買馬の入厩

 9月に入っても宮崎は残暑が厳しく、日中は蒸し暑い日が続いています。しかし、朝夕の風や赤とんぼの飛び交う姿からは、徐々に秋が近づいてきているように感じられます。

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写真① 「北の国」北海道から44時間かけて「南国」宮崎に到着した育成馬を乗せた馬運車。

 さて、8月末に北海道静内で行われたHBAサマーセールで購買した16頭のJRA育成馬が9月4日に入厩いたしました。育成馬達は3台の馬運車に分かれ、北海道を9月2日の12時に出発し、函館から青森間のフェリー経由で本州に渡り、44時間かけて宮崎に到着しました。到着した日には微熱を認めた馬もいましたが、翌日には回復し、放牧地で仲間たちと戯れたり、青草を食するなど馬らしい姿を見せてくれました。

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写真② 長時間の輸送による疲れも見せず、放牧地を駆け回る育成馬。左:ミヤビアルカディアの12(牝:父バゴ)、右:グッドバニラの12(牝:父タニノギムレット)

 

 放牧直後の群れ、特に牡の群れにおいては、群れの中での順位づけのための争いが繰り広げられるため、他馬に蹴られたり、その他のアクシデントによるケガも少なくはなく、放牧に対する一定のリスクが懸念されます。また、セリに向けて仕上げられた馬に対して、昼夜放牧が必要かどうかについても賛否両論があるものと思われます。それでも入厩後に昼夜放牧を実施する理由は、騎乗馴致(ブレーキング)が始まるまでの間に成長を待つとともに、草食動物として “馬”らしく行動させることが、非常に重要であると考えているからです。青草だけを食べさせる目的であれば、刈り取った青草を馬房で食べさせれば良いようにも思われますが、「地面に生えている草」を摘んで食する行動そのものによって、改めて草食動物としての本能が励起され、メンタル面が安定する効果を期待しています。つまり、馬は草食動物であるということを常に念頭に置いて、馬と接していきたいと考えています。

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写真③ 草食動物としての本能が励起され、メンタル面を安定させる効果を期待して、騎乗馴致を開始するまでの期間実施している夜間放牧の様子。

 

 北海道からの16頭の入厩により、本年度の宮崎育成牧場繋養馬22頭(牡10頭、牝12頭)が全て入厩いたしました。それに伴って、人馬の安全を祈願する入厩に関わる神事および馬場清め式を「神日本磐余彦天皇(神武天皇)」をご祭神とし、107年前の宮崎競馬場誕生とも深い関わりのある「宮崎神宮」の禰宜により執り行っていただきました。神事当日は晴天に恵まれ、厩舎および馬場のお祓いを受けるとともに、玉串を捧げて、人馬が事故なく安全に調教を行えるように祈りました。

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写真④ 「神日本磐余彦天皇(神武天皇)」をご祭神としていることで知られている「宮崎神宮」の禰宜による「馬場清め」の様子。

 

 なお、昨年も開催いたしました「一般市民向け育成馬見学会」を本年は10月18日(土)に開催する予定です。詳しくは場内の掲示板もしくは宮崎育成牧場ホームページのイベント情報をご覧ください。職員一同、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

 9月の中旬からは、8月上旬にすでに入厩している馬を中心に騎乗馴致が開始されます。次号ではその騎乗馴致の様子をお伝えしようと思います。