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育成馬ブログ 日高⑦

○  春は、もうそこまで!(日高)

3月も半ばまで来ると、日高育成牧場でもさすがに最低気温がマイナス5℃を超える日はなくなりました。近年では比較的暖かかった今年の冬。雪が降るたびに「これが今年最後の雪だろう」と話しながら、春の訪れを楽しみにしつつ日々の調教に励んでいます。

 

育成馬の調教状況

さて、JRA育成馬の調教状況をお伝えします。現在も1週間の調教をパターン化してスピード調教は火曜と金曜に行い、その翌日と休み明けとなる月曜には馬をリラックスさせる目的で屋内800mトラックの調教(ハロン24-20程度で2,000~2,400m)を、木曜は長めの距離(3,200m)を乗る運動を行っています。今ではこの「1週間のパターン」が人馬ともに定着し、その曜日の目的に沿ったメリハリのある調教ができています。

スピード調教は、屋内800mトラックで1,200mのウォーミングアップ後に屋内坂路馬場を2本登坂(3ハロン54-51秒程度)しています。3月初旬からは、1本目は精神面の鍛錬を目的とした隊列を乱さない縦列調教を行い、2本目で「併走」の練習を開始しています。併走調教を始めると馬同士の走りたい気持ちが高まるため、スピードは勿論ですが馬の迫力が増してきます。これまで幼かった馬達も徐々に競走馬らしくなってきました。

 

最近の調教動画(坂路調教)をご覧下さい。

 

こちら→https://www.youtube.com/watch?v=xUFLcSEpmvc&feature=youtu.be

動画1. 屋内坂路で行った併走練習の様子。向かって右がグディニアの13(牝、父:プリサイスエンド、BU番号67)、左がウインゼフィールの13(牝、父:ハービンジャー、BU番号29)。この日のタイムは3ハロン16.7-16.9-16.8でした。

 

こちら→https://www.youtube.com/watch?v=5ZRshmoRmbM&feature=youtu.be

動画2. 同じく併走練習の様子。向かって右がシゲルハチマンタイの13(牝、父:エンパイアメーカー、BU番号30)、左がファミリア―ストーリーの13(牝、父:バゴ、BU番号54)。この日のタイムは17.7-17.5-16.8でした。

 

獣医検査を実施しました。

育成馬の調教が本格化しているなか、ブリーズアップセール開催に向けた準備も着々と進んでいます。レポジトリー(馬医療情報開示)の準備もそのひとつで、ノドの内視鏡検査や屈腱部のエコー検査、前肢の近位種子骨と飛節部のレントゲン検査等を日々行っています。

3月10日、11日には、美浦トレーニングセンター競走馬診療所の獣医職員が来場して「獣医検査」を実施しました。この検査は、育成馬の健康状態や現時点の疾病有無を確認することを目的としており、全馬の調教を見たうえで歩様の悪い馬やレポジトリー検査で所見のあった馬を詳細に検査します。育成期の疾病状況をトレセン獣医師に把握してもらうことは、セール売却後に入厩した際の「引継ぎ」になるため非常に重要な検査だと考えています。

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写真1.獣医検査風景。歩様検査や疾病確認、ノドの内視鏡検査などを行いました。医療情報に漏れがないよう、複数の目で確認します。

 

育成馬展示会を開催します

今年の育成馬展示会は4月13日(月)に開催します。当日は10時から育成馬の比較展示を行った後、1600mダート馬場において2頭併走で騎乗供覧を行います。この展示会は、セール出発前の「育成馬お披露目式」であると同時に、軽種馬育成調教センター(BTC)の育成調教技術者養成研修生の卒業イベントとしての側面も併せ持ちます。昨秋の初期馴致研修以降、育成馬の騎乗研修を通して育成馬とともに成長してきたBTC研修生たちは、この展示会を最後に立派なホースマンとしてデビューします。育成馬同様、彼らの展示・騎乗技術にも注目してください。

 

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写真2.昨年の展示会風景。今年も大勢のお客様の来場をお待ちしています!