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育成馬ブログ 宮崎①

 ○  JRA育成馬の入厩(宮崎)

1歳セリでの購買

本年度の1歳セリは7月7日(火)に開催されました八戸市場からスタートしました。八戸市場では54頭が上場され、31頭が売却されました(売却率は57.4%)。JRAは八戸市場において、4頭(牡1頭、牝3頭)を購買しました(写真1)。

1写真1.八戸市場において購買した本年度のJRA育成馬第1号となったタイキノワールの14(牝 父:ストーミングホーム) 【馬市ドットコム様提供】

続いて開催されたのは、今や日本一のセリにとどまらず、世界でも有数のセリとなった「JRHAセレクトセール」でした。北海道の苫小牧市の「ノーザンホースパーク」において、7月13日(月)に行われ、238頭が上場され、210頭が売却されました(売却率は88.2%)。JRAはセレクトセール(1歳セール)において、牝2頭を購買しました。

セレクトセールの1週間後の7月21日(火)には、北海道静内町で「HBAセレクションセール」が開催されました。本年のセレクションセールには、231頭が上場され、166頭が売却されました(売却率は71.9%)。JRAは10頭(牡:6頭、牝:4頭)を購買しました。

7月セリの締めは7月28日(火)に鹿児島で開催された九州市場でした。21頭が上場され、9頭が売却されました(売却率は42.9%)。JRAは牝1頭を購買しました。

いずれのセリも多くのお客様が参加されており、さらに、昨年と比較すると売却率も上昇しており、非常に盛況な印象を受けました。これらのセリでの盛り上がりとともに、競馬全体が盛り上がっていくことを期待せずにはいられません。

 

JRA育成馬の入厩(宮崎)

さて、7月25日には宮崎育成牧場に八戸市場およびセレクションセールで購買した6頭のJRA育成馬が入厩いたしました。育成馬6頭は北海道静内を7月23日の15時に出発し、函館から青森間のフェリー経由で本州に渡り、42時間かけて宮崎に到着しました(写真2)。到着後に発熱を認める馬もいましたが、大事には至らず、放牧することができました。

Photo写真2.北海道から宮崎への長距離輸送の途中で、少し疲れた表情を見せるセイカシリアスの14(牝 父:パイロ)

セリ上場のために舎飼中心の個体管理が行われていた馬達は、自身が“馬”であることを再確認するかのように放牧地内を疾走します(写真3)。その後、特に牡は新しい群れの中で“我こそは”と強さをアピールし、群れの中での順位が決まるまでは、しばしば争いが繰り返されます(写真4)。そのため、放牧時のケガなどのアクシデントの発生にはハラハラさせられます。

Photo_4写真3.到着後の初めての放牧時に疾走する育成馬

このようなアクシデントを承知の上で、入厩数日後には夜間放牧を開始します。その理由は、“騎乗馴致”が始まるまでの間に成長を待つとともに“草食動物”として “馬”らしく行動させることが重要であると考えているからです。競走馬を取り扱う上で忘れてはならないことは、馬は“草食動物”であるということを理解することだと考えています。

Photo_5写真4.“我こそは”と自らの強さをアピールするフラワーパフュームの14(牡 父:シンボリクリスエス)

欧州では調教後に、ハミを装着したまま、放牧地の草を食べさせることも珍しくはありません。青草だけを食べさせる目的であれば、刈り取った青草を馬房で食べさせれば良いようにも思われます。しかし、地面に生えている草を摘んで食する行動そのものによって、“草食動物”としての本能が惹起され、メンタル面を安定させる効果が期待されます。

このように、欧州では、馬は“草食動物”であるということを常に念頭に置いて、馬と接しているように感じられます。私達もこの意識を忘れることなく、来年4月のブリーズアップセールまで馴致および調教を行っていきたいと考えております。