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育成馬ブログ(日高⑤)

ブリーズアップセールに向けての日高育成牧場での取組み

 

 日高育成牧場がある浦河町は北海道内でも温暖かつ雪が少ないことで知られていますが、暖冬の今年はその傾向が特に顕著で、2月に至ってようやく冬らしい気温になったものの、根雪はほとんど無い状態が続いています。

 そのような中、JRA育成馬は4月のブリーズアップセールを目指して、例年よりやや早めに調教のギアを上げ始め、1月時点で昨年よりも運動強度を高めた調教を実施しています。昨年と今年の1月同時期の屋内坂路ウッドチップコース(1000m)での調教について、グラフ(図)を用いて説明すると、本年(●)は昨年(△)と比較してスピードを速めに設定したことで、調教後の乳酸値が高くなっています。

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昨年と本年(いずれも1月20日前後)の屋内坂路コースでのスピードと乳酸値

 

 また、概ね週1回実施しているトレッドミル調教では、乳酸値が15mmol/L以上になるようにスピードと傾斜を設定したトレーニングメニューを馬毎に組んでいます。坂路およびトレッドミルいずれにおいても、昨年は乳酸値15mmol/Lを目標にして調教を進めていましたが、本年のそれは15mmol/L「以上」としています。なお、強度の高い調教をした翌日は馬のダメージを考慮して、ハッキングもしくはウォーキングマシンでの常歩調教など、低強度メニューを施すことで、馬の精神面にオンとオフを付与するとともに、身体のダメージ回復に努めています。

 一方で、若馬に対して強運動を負荷することにより懸念される馬体への悪影響については、1月末時点での運動器疾患の発症頭数が例年とほぼ同程度であることから、現時点では大きくないように感じます。

 今後も育成馬の肉体面と精神面の状態を詳細に観察しながら、各馬に応じた適切な運動負荷をかけていくことで、ブリーズアップセールのみならず、売却後の出走を念頭に置いた調教を積み重ねていきたいと思います。

 さて、そのような調教を行っているなかで、1月末の屋内坂路を好タイム(上がり3ハロン38~39秒)で駆け上がってきた3頭をここで紹介します。

 

 No.11 スズカグレイス2018(牝)、生産牧場:稲原牧場(平取)。父は新種牡馬マクフィ、近親にサイレンススズカがいる良血馬です。父の産駒らしいスピードを持っており、早い時期からの活躍が期待できそうです。

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 No.33 キャニオンリリー2018(牝)、生産牧場:谷川牧場(浦河)。父グランプリボス、エーデルワイス賞(JpnⅢ)を勝利した姉フクノドリーム、1月19日京都競馬の芝1600m未勝利戦を逃げ切った兄グレイトゲイナーはいずれもJRA育成馬。兄姉同様の競走馬らしい気性は大きな武器になりそうです。

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 No.36 ダイワジャンヌ2018(牝)、生産牧場:千代田牧場(静内)。初年度から活躍馬を多数輩出するキズナ産駒。トレッドミル調教では、現時点で一番負荷がかかるメニューを楽にこなしています。兄姉3頭はJRAで堅実に勝ちあがっています。

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2020 JRAブリーズアップセール関連情報(事務局)

上場番号決定

2020 JRAブリーズアップセールの上場番号が決定いたしました。

以下のリンク先、JRAホームページ上で公開しておりますのでご覧ください。

(上場候補馬一覧を更新しております)

 

      http://jra.jp/facilities/farm/training/bus/

 

また、以下のリンクからも同様のファイルをダウンロードすることができます。

             2020 JRAブリーズアップセール上場候補馬一覧(164KB

 

今後セールに関わる更新情報等がございましたら、

当ブログや上述のホームページにて公開いたしますのでご確認ください。

今後ともJRAブリーズアップセールをよろしくお願いいたします。

育成馬ブログ(宮崎④)

新厩舎と新しいトレーニング機器

 宮崎育成牧場では昨年12月に育成馬厩舎を改築しました。これまでの厩舎は昭和44年に造られた木造の厩舎で、天井裏に藁や牧草を収納できる昔ながらの造りでしたが、いたるところに老朽化が進んでおり業務に支障をきたしていたことから今回の建て替えに至りました。

 完成した新厩舎は、これまでの一列に配置された馬房ではなく、馬がよりリラックスできるよう対面式の馬房を採用しております。また、換気に考慮して天井高に余裕のある構造になっています。育成牧場は宮崎の都市部に位置していることもあり、これまで鳩の厩舎内への侵入がありましたが、防鳥ネットを張り巡らせることで衛生面にも配慮しました。

 育成馬の引っ越しは、12月中旬に行いましたが、馬たちもすぐに新しい環境にも慣れて、一安心といったところです。これから始まる本格的なトレーニングに備える安息の場所として、末永く育成馬たちを見守って欲しいと思います。

 今回はもうひとつ、馬用のトレッドミル棟も新設しました。トレッドミルは古くからJRA競走馬総合研究所や両トレーニングセンター診療所において様々な研究や診断に活用されているほか、近年では民間の育成牧場や海外の厩舎でもトレーニング機器として広く活用されています。当場でも、体力評価の研究等を行うために育成馬への使用を開始しております。

 これまでは1,600mダート馬場と500mダート馬場が唯一の調教コースでしたが、今年の育成馬たちからはトレーニング機器としても積極的にトレッドミルを活用し、バリエーションを広げたトレーニングを実施しております。既にトレッドミルを用いた体力測定試験も複数回実施しており、トレーニング効果を実感しているところです。

 3月21日(土)に開催する育成馬見学会(一般の方向け)と、4月7日(火)に開催する育成馬展示会(購買関係者向け)では、新しくなった育成馬厩舎の前で育成馬を披露する予定です。是非足を運んでいただきたいと思います。

 ※追記

 3月21日(土)に開催予定の育成馬見学会(一般の方向け)は中止とさせていただきます。楽しみにされている方には大変申し訳ございません。

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新しくなった育成馬厩舎

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トレッドミルでトレーニングする育成馬

活躍馬情報(事務局)

2月2日(日)東京8R 4歳以上2勝クラスでは、日高育成牧場で育成されたフローラルパーク号が勝利しました!

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2月2日(日)1回東京2日目8R 4歳以上2勝クラス ダート 1,400m

フローラルパーク号(フェアノータムの16) 牝

〔厩舎:加藤征弘(美浦) 父:ヘニーヒューズ〕

  

今後のさらなる活躍を期待しております。