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もう一つの旅立ち

 最近の異常気象には本当に驚かされることばかりですね。竜巻なんて、外国でしか起こらないものと思っていたら、私の故郷である北海道でも起こるんですから・・・。子供の頃は地震と大雨が多い所に住んでいましたが・・・。今では全国各地でいろいろな災害が起こるからなあ・・・自然は怖いですよね。

 さて、湯治場日誌ではお馴染みの「旅立ち」シリーズ。競馬学校に合格し卒業していく若者たちの思い出話を綴るコーナーですが、こちらのブログでも書いていこうかなと思います。従来の「旅立ち」は日誌にとっておくことにして・・・こちらは「もう一つの旅立ち」です。

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 毎日、競走馬の世話をしながら、トレセンのきゅう務員を目指して勉強中の若者たち。その中の一人アオちゃんは、今年の4月に常磐に来たばかり・・・。実は彼、既に競馬学校を卒業し、きゅう舎に配属になる前に常磐に勉強をしに来ている・・・ちょっと他の人とは違う立場にあります。今までまじめに一所懸命取り組んできたアオちゃん。でも彼は一人で悩んでいたようで・・・。

 何度も書いてきている通り、ここ常磐は骨折や屈腱炎など一定期間リハビリが必要な馬ばかりがいる施設。自分の担当馬が決まって、その入きゅう直後は騎乗できないことがほとんど・・・。競走馬の騎乗を勉強するには少し制限があることは仕方がないことなんですね。でもその分、飼養管理や馬の病気のことを学ぶには良い勉強の場。乗れない分を補う意味合いで、これまでいろいろなことをアドバイスしていきました。

でも・・・馬には乗りたい。

 アオちゃんの担当してきた馬は数頭いますが、どの馬も短期間で出て行ってしまいました。不思議なことに、アオちゃんが一所懸命リハビリメニューどおりに担当馬の世話をして「さあ馬場入りだ!」と張り切ったとたん、退きゅうの連絡が来てしまうのです。(普通は順番に騎乗馬が回ってくるものなのですが、運がないのかなあ・・・。)これはきゅう舎の事情とリハビリの進み具合で今後どうするか決まることであり、その馬にとって一番良い方法を考えた上での結論ですから、復帰に向けて出て行くことはむしろ喜ばしいことです。実際アオちゃんの担当馬のなかには、メインレースに出走してる馬もいるわけですし・・・。ホント、どうしてアオちゃんに担当させるとこうなってしまうのかな、と私自身も申し訳なく思うほどでした・・・。

 今月に入って、アオちゃんは私のところに来ました。

「もう少し、競走馬に乗れる環境で腕を磨きたいです。」

「そうだね、それはいいことだと思うし、良い選択だと思うよ」

 私は、心の中では残念だなと思いました。もう少し、彼の騎乗ぶりも見てみたかったし、騎乗以外のことも、もっと教えてあげれば良かったな、と後悔しました。でも、アオちゃんの人生だ。自分のことは自分で決める!当然のことだ。自分で決めた方向にすすめるということは幸せかつ大事なことですよね!この決断がきっといい方向に向いてくれると私は信じています。

 アオちゃんは「外国に行くかもしれない」とのことでした・・・。遠いなあ。帰ってきたら、また元気な姿を見たいものです。きゅう舎の所属になって、パドックで会える日が来ることを心待ちにしています。環境の違うところに行くのですから、辛いこともあるでしょう。

私は、彼に一つ言葉を送りたいと思います。  

「それなりに!」

 いい加減にも聞こえるかな?(ちょっと自信がない・・・)「それなりに辛いことがあっても、それなりに自分のペースでやっていけば、それなりに何とかなる。」そんな気持ちを込めました。

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 ではでは、イングランド代表のヘルメットが似合うアオちゃん、またいつかどこかでお会いしましょう。(ASHI)

 きゅう舎関係者へお知らせコーナー

 「常磐も朝の気温が一桁台を観測するころとなりましたが、温泉はいつも暖かく、各馬リハビリに励んでおります。例年になく少ない在きゅう頭数で、入きゅうは即日OKです。皆様からの連絡お待ちしております!!」