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激動の一ヶ月

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この馬、常磐支所に来て2週間ちょっと経ちますが

この一ヶ月は激動の日々を送っています

 

始まりは、トレセンでのエコー検査

 

レース出走後、屈腱に腫れがみられたため検査したところ

浅屈腱炎が判明

幹細胞移植を行い、常磐支所で療養することとなりました

(幹細胞移植に必要な骨髄液の採取はなるべく早い方がいいので、

その採取はトレセンで、移植は常磐支所で実施という流れです)

そこでまずは、骨髄液の採取です

馬の骨髄液は、胸骨に太い針をさして採取しますが

胸骨とは

人間では

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この辺り

馬では

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この辺りです

何だかとても痛そうですが、思ったよりは簡単に採取できるものなんです

採取した骨髄液は、宇都宮にある競走馬総合研究所へ送られ

骨髄液の中の、間葉系幹細胞という細胞を分離・培養して、増殖させます

細胞を増殖させるのに少し時間がかかりますので(約2週間)

その間に馬は常磐支所へ移動して、のんびり・・・

 

とはいきませんでした

 

この馬については調教師さんからのリクエストがもう一つ

「馬っ気がひどいので、先々のことを考え去勢をして欲しい」

というものでした

馬っ気というのは、牡馬が牝馬に興奮することを言いますが

その程度がひどく、恒常的にそのような状態が続くと

トレセンや競馬場では馬の扱いに苦慮することとなります

リハビリ中においても、興奮して暴れたりすることは極力避けたいものです

(暴れることはリハビリの大敵なのです。その話はまた今度。)

ということで、常磐支所到着後、温泉に浸かることもなく去勢手術を行うこととなったのです

 

去勢手術も無事に終わり、増殖中の細胞も必要数まで増えてきたということで

移植日を決定したところ

その前日になって、今度は疝痛(腹痛)です

どうなることかと思いましたが、疝痛は軽いもので事なきを得ましたが

今思えば、いろんなことをされて馬も嫌気がさし、仮病を使ったのかもしれません

 

幹細胞移植は予定通り

宇都宮から細胞を携えて来所した担当者とともに

腱の損傷部位へ細胞を移植し無事に終了しました

包帯も今週末には取れるでしょう

そうしたら、今度は本格的にリハビリのスタートです

 

いろいろあった一ヶ月だけど、そのうち気持ちのいい温泉にも入れてあげるからがんばろうね

 

さて、今日は、会津からいわきに療養に来ているという御老人が見学にいらっしゃいました

健康を取り戻して、会津に帰る前に

以前見学に来たことのある常磐支所を、どうしてももう一度見たいということで、御家族といらしたようです

馬が本当に大好きな御様子で

「馬はいつまで見てても飽きないね~」

と言いながら、馬のことをたくさんおしゃべりしてくれました

残念ながらここは観光牧場ではありませんので、馬に触れてもらうことは出来ませんが

しばら~く馬を眺めていましたので、馬の癒しパワーをたくさん吸収してくれたことと思います

こんな風に地域貢献できることもうれしいものです

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