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それなりに・・・2007

 2006年もフィナーレを迎えようとしています。そんな師走の忙しい時期に、爆弾低気圧だの、気温上昇だの、大雪だの・・・。皆様の住んでいるところは、何事もなくすんでいるのか・・・心配です。こちら、いわきは快晴ですが、ものすごく強い風が吹いています。

 今年を振り返ると・・・なんて話になりがちですが、やめておきましょう。前を向きましょう!2007年、きっといい年になるに違いない!そんなことを、自分に言い聞かせながら、また、皆様の幸せを祈りながら2006年を締めくくりたいと思います。来年も温泉ブログをよろしくお願いします。

 それでは、常磐の競走馬を代表してハリー君のご挨拶です。

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なになに、

「今気持ちよく入っているから邪魔しないでくれよ」

って?そうだと思ったんだけど・・・

「でも、来年もリハビリ一所懸命やろうな!よろしく!」

「わかった、それなりにね!」

「そうだね、あわてず急がずそれなりにね!」

ではでは、皆様も2007年 「それなりに!」

いい湯かな?

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「どうですか、湯加減は?」なんて聞いたところで、何も答えてくれない競走馬たち・・・。温泉療法は大切なリハビリの一つ・・・とは言っても、実際に入っている姿を見ると、実に気持ち良さそうに見えます・・・。そこで、いい湯だな・・・では、ババンババンバンバン!とドリフになってしまう(古いよなあ)ので、果たして馬たちは「いい湯加減だ、気持ちがいいなあ」と思って入っているものなのかどうなのか、を皆さんにお伝えしようと思いながら企画する、題して「いい湯かな?」・・・ヒュ~っと、白けた風が吹いたところで、強引なるスタートであります。

 さてさて、第1回目(続けられるのか・・・?)は、最近入きゅうして常磐にもそろそろ慣れてきたかな、と思われるゲンちゃんに接近してみました。

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まずは、担当きゅう務員のトミーくんに入っている様子を聞いたところ、

「おとなしいです!」

とのこと。大抵の馬が少しは反応する距離に接近して、デジカメを構えてみました。

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「何してんの?」くらいのリアクションで、耳もこっちを向かないんです。落ち着いてますね~。それどころか・・・

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うとうとっとして、今にも目を瞑ってしまいそう・・・。たまたま、来ていたカップルのお客様が

「写真撮っても大丈夫ですか?」

と尋ねてきたものですから、

「フラッシュなしでお願いしますね。」

とお伝えし、早速、お客様がカメラを構えたのですが・・・。

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更にボーっとして、目が先ほどよりも細くなっているゲンちゃん・・・。う~ん、参った!!私の独断と偏見で判定するゲンちゃんの「温泉大好き度」(◎○△で判定)は・・・・・

もちろん、◎!!リラックスしてこそ効果大の温泉です。

 「元気なさそうで大丈夫かなあ」と心配される方もいらっしゃることでしょう。でもこのゲンちゃん、競走成績も抜群で、馬房では元気いっぱいです!ご安心を。

 さてさて、入浴時間終了のようです。明日も「いい湯かな?」(ASHI)

いや~全然ダメですね・・・

「どうだった?今日は」

「いや~、ダメでしたね、全然ダメです。」

 ある屈腱炎の馬を担当するタダッキくんのリハビリ調教後の口癖のような台詞です。

 常磐在きゅうの競走馬が抱える疾病の中で一番多いのが屈腱炎という病気です。その屈腱炎の症状も馬によって様々(今回は詳しい病気の説明は省略しますね)。治るのが早いものもいれば遅いものもいる・・・。また、症状がひどいからといって、治りが遅いわけでもなければ、軽いからといって、治りが早いわけでもない。(ちょっと、混乱してしまうかな・・・こんな書き方では・・・)

 で、当然彼の担当する馬についても、じっくりと診断をしてリハビリの進め方を検討するわけですが・・・結局、馬場に出られるようになった時は、

「ゆっくりとしたキャンター(駆け足、駆歩)で進めていこう」

ということになり、通常よりスピードを制限して周回をゆっくりと増やしていこうということになりました・・・では、誰に乗ってもらおうか・・・いろいろ考えて、指名されたのが今回主役のタダッキくんでした。

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 タダッキくんは前回登場したアオちゃんと一緒に入ってきた競馬学校卒業生。常磐メンバーの中でも乗るのが上手で、私たちの注文どおりに乗ってくれる頼もしい存在です。

「今日は・・・な感じで回ってきてくれる?」といえば、忠実に守って回ってくるんです。それも実に正確に!ところがです!最後に常歩(なみあし)で1周して帰ってくると必ず出てくる台詞が

「全然ダメですね」

なんです。

「どうして?今日は良かったと思うけどね。」

「いや、ダメでした・・・」

と言って、どんなところが今日は良くなかったと私たちに話してくれます。

 自分に厳しいタダッキくん。現時点で満足しないんですね。悪かったところを探して、次回には修正を試みる。まあ、馬も生き物ですから日によって気分も違うわけで、なかなかうまくいかない。そんなところを見越して私たちは「よかったね」って言うんですけど・・・。

 私はどうだろう。自分に厳しく前を向いて歩いているだろうか?彼の言葉を聞きながら思うのでした。競走馬に乗るからには、妥協は許さない・・・そんな意気込みも伝わってくるような姿勢。皆さんは自分が迷ったり、壁にぶつかった時、どう立ち向かっていますか?簡単に諦めてしまうことはありませんか?私は恥かしいですけど、諦めてしまうことがよくあります。でも、今回彼と接することで感じたこと・・・たとえ納得のいくところにたどり着けなくても、とりあえず前に進んでみようか・・・。そんなことをタダッキくんに教えてもらったような気がします。

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 そんな、タダッキくんもめでたくきゅう舎へ入ることが決まりそうなんです。良かった、良かった。ということは、暫しのお別れということになります。寂しくなりますね。トレセンでもし彼が馬道で馬にまたがっている姿を見たら聞いてみよう。

「今日は、どうだった?」

 常磐の冬の馬場を優しく見つめる山茶花に見送られながら・・・また、一つの旅立ち・・・(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「今年の競馬も残り少なくなりました。常磐入きゅう受付は『もちろん!』31日までOKですので、1年の疲れを温泉で取りたいとお考えの馬の入きゅうお待ちしております!」

食事中です、お静かに・・・

 チモシー、オーチャード、アルファルファ、エンバク、フスマ、ペレット・・・さてさて、何のことだかわかりますか?

 実はこれらは競走馬の食べ物の名前。リハビリが終わって午後3時になると、みんな一斉に馬房から顔を出して、「僕のご飯まだかなあ・・・」「ヒヒン、ブルルル・・・」と大合唱!担当のきゅう務員さんは、「よしよし・・・」と声をかけながらエンバクやフスマの入った飼い葉桶をつるします。

・やったー、ご飯だ、さあ食べよう!

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 桶に顔を突っ込んで、夢中で食べております。食事中は静かに見守ります。「家族団らん和気あいあい、楽しくおしゃべりしながら食べないとおいしくないよね。」なんて、私たち人間の世界では言ったりしますが、馬の場合はちょっと違います。

・あっ、僕のご飯を横取りする気だな!

 食事中の様子ですが馬によっていろいろ・・・。中には近寄ると噛み付いてくる馬がいます。ある馬は、取られちゃ困ると思うのか、急いで噛まずに飲み込むものもいます。逆に食べるのをやめちゃう馬もいる・・・。彼らの胃はとても小さく出来ているので、物理的にたくさんの食べ物を消化できません。消化不良で胃を通過すると大きな腸のなかで動きが悪くなり、食べたものが溜まってくると、「疝痛」(ハライタ)という病気の原因になってしまう。だから、ゆっくりと時間をかけて食べてもらうために、あんまり見つめたり近寄ったりせず、普段どおりのきゅう舎作業を装いながら、食べる様子をそれとなく観察するようにしているんです。

・センイもしっかり取りましょう

 飼い葉桶に入っているものは、馬の大好物でありエネルギー源となるエンバク、腸の働きを助けるフスマ、そしてペレット状の複合飼料が中心です。それ以外に乾草を与えます。乾草にはセンイがいっぱい含まれているので、腸の動きをよくするために大切。きゅう務員さんは糞の状態や回数、量を観察して、馬の体調を知ります。食いしん坊くんや水をあまり飲まない馬、糞や尿のついた寝わらも食べる馬はおなかを壊しやすいので注意します。

・運動制限がある馬は難しい・・・

 さて、常磐特有のお話。元気に調教している馬、故障がなく放牧場で運動できる馬はいいのですが、常磐の馬はリハビリメニューにしたがって運動しているため、食事の調節がとても難しいんです。太りすぎは厳禁!肢の故障には体重をコントロールすることも重要です。だからといって、やせすぎも下痢をしたり・・・。運動の少ない馬は、腸の動きも悪くなりやすいですから、おなかに食べ物が溜まりやすく、便秘になりがち。そこで、整腸剤や下剤を混ぜて食べさせるんですけど、これがおいしくないのか食欲が落ちるもの、食べても痩せていくものなどがいる。リハビリの段階と馬の性格、馬の体質を考えた食事を考える・・・きゅう務員さんの腕と私たちのアドバイスをミックスさせて、心地よく常磐での生活を送ってもらおう・・・そんな風に思っているのですが、彼らには伝わっていないようで・・・「もっとたくさん食べさせろ!おれは腹ペコだよ!」なんて言いたそうな顔をしてこっちを見るんですよ・・・。辛いですね~。

・お行儀よく食べようね

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 見てください。一口食べるたびに桶を振り回して遊ぶものだから、下にいっぱいこぼれてる。もったいないなあ。こんな行動はストレスをためている可能性もあります。安心して食べてもらうには、どんな組み合わせで飼料を与えるのか?馬それぞれにあわせて、きゅう務員さんは頭をひねってるのです。

・他にも注意することがいっぱい・・・

 常磐では5時と15時の2回に分けて、馬の体調によっては3回以上に分けて与えるようにしています。とにかく決まった時間にリズムよく食べさせることが大切なんですね。他にも食べやすい高さに調節する、なるべく同じきゅう舎の馬は同時に与えていらいらさせないようにするなどなど・・・。そんなわけで、なかなか皆様にお食事の風景をご覧いただける機会は作れませんが、こんなところにも馬のデリケートな一面があることを知っていただけたらなあと思い今回ご紹介いたしました。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「本日、毎年恒例の競走馬に関する調査研究発表会が東京で開催されました。その中で常磐におけるショックウエーブ治療の効果について発表しております。お問い合わせは常磐支所まで。入所馬受付中です。」