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2026年1月16日 (金)

美浦トレセンへの骨シンチグラフィ導入

臨床医学の野村です。

 昨年の10月に運用を開始した美浦トレーニング・センターの新しい競走馬診療所には、馬の骨シンチグラフィが実施できる施設が整備されました(図1)。核医学検査が、日本で初めて競走馬診療の現場に導入されたことになります。

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図1. 美浦トレセンに設置されたガンマカメラ。 

体内に投与されたテクネチウム99mが放出するガンマ線を受け止めて画像化する。

 核医学検査は、放射性同位元素を用いて体内の状態(機能)を画像化する診断技術です。骨シンチグラフィは骨の代謝状態に着目した検査で、テクネチウム99mという放射性同位元素を用いて実施されます。骨は、普段から骨形成と骨吸収を繰り返すことで新陳代謝していますが、腫瘍や骨損傷などの要因によりこのバランスが崩れることがあります。このバランスの変化を検出するのが骨シンチグラフィで、日々のトレーニングにより骨の微細な損傷と修復を繰り返している競走馬においては、骨代謝の変化、特に骨形成の亢進を検出することで、レントゲンでは判別できないような疲労骨折の診断にも有用と考えられています。また、身体が大きいためにX線検査やCT検査が実施できない上肢部や頸部・骨盤部の骨を評価できる点も大きなメリットとなります。

 この馬の骨シンチグラフィですが、海外では1970年代に開発されて現在も一般的に行われている検査で、決して新しい検査法ではありません。ただ、日本への導入については法的に許可されない時期が長く、2009年に動物に対する核医学検査が許可された法整備を契機に、いくつかのハードルをクリアしてきました。この検査方法の運用開始は、獣医療の発展と馬の福祉向上に向けた働きかけを続けてきた多くの先人たちの尽力の延長上に現在があると言えます。

 これはいわば関係者にとって“悲願”とも言える到達点でしたが、臨床現場としてはこれからがスタートです。CTやMRIなど画像検査のオプションが増えていく現状にあって、それぞれを「診断技術」として確立することは一朝一夕に達成できることではありません。この検査が多くの競走馬の福祉とパフォーマンスを支える一助となるよう、まずは目の前の1頭に向き合っていきます。

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診療馬での実施に向けて、目下検査運用を調整中