2020年10月28日 (水)

生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウムでの発表

分子生物研究室の根本です。 

10月15日に北海道の静内で開催された生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウムにおいて、ウマコロナウイルス感染症について発表してきました。

本シンポジウムは、生産地における軽種馬の保健衛生に関する問題とその対応策の検討を目的として、JRA主催で毎年開催されています。参加者および発表者は、生産地の獣医師、生産育成関係者、外部学識経験者およびJRA職員になります。今年は新型コロナウイルス対策のためさまざまな対策を行っており、具体例として、例年より参加人数をしぼり、また発表者はフェイスシールドを着用し実施されました。

ウマコロナウイルスは新型コロナウイルスとは異なり、消化器症状を引き起こすウイルスになります。発表後は多くの質問を受け、本ウイルス感染症に対する関心の高さを感じてきました。ウマコロナウイルスは未知の部分の多いウイルスですが、少しでも解明されるように研究を進めていきたいと思っています。

なおウマコロナウイルスの詳細について興味のある方は、下記総説をご覧ください。

日本獣医師会雑誌 2018年第71巻第1号5-9頁

http://nichiju.lin.gr.jp/mag/07101/a2.pdf(外部リンク)

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2020年10月 1日 (木)

新人獣医師を対象とした研修が始まりました。

臨床医学研究室の田村です。

 

新人獣医師を対象とした研修が始まりました。

 

普段は両トレーニング・センターの競走馬診療所で臨床獣医師として勤務していますが、

専門的な知識や技術を習得するために、競走馬総合研究所に出張して来ました。

 

例年は6月頃に実施していますが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響があり、10月からのスタートになりました。

 

先日のブログにおいて、学会にWeb参加したことを紹介しましたが、この研修も一部にWeb講義を取り入れています。

写真はフランスに留学中の先輩獣医師から、薬の使用方法について説明を受けているところです。

双方向での会話が可能であり、研修生は講義後も熱心に質問をしていました。

 

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JRAでは新人獣医師を対象にした研修の他にも、多数の研修を実施しています。

知識や経験を新しい世代にしっかりと引き継ぐ体制を整えています。

 

研修期間はおよそ2週間です。

熱いエールをお願いします。

2020年9月 8日 (火)

避難訓練を実施しました

先週、競走馬総合研究所全体で避難訓練を実施しました。

大規模地震が発生したことを想定。火災報知器を作動させて、本番さながらです。火災発生時の初期消火の手順、避難経路の確認、消火器の位置確認、各班の役割分担を再確認。

全員の避難を確認した後は、2班に分かれてAEDの操作方法や消火器の扱い方に関する模擬訓練を行いました。

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2020年9月 1日 (火)

日本感染症学会学術集会にWeb参加しました

微生物研究室の内田です。

 

先日、日本感染症学会の学術集会が行われました。

COVID-19関連のニュースで名前がよく挙がるため、ご存知の方も多いと思いますが、

日本感染症学会は、人の感染症専門医を中心とした学会です。

 

人の感染症と馬の研究、関係ないのではと思われるかもしれませんが、

人の医療で問題となっている薬剤耐性菌や、クロストリディオイデス・ディフィシル感染症は

馬の診療現場でも遭遇することがあります。

微生物研究室でも、これらの細菌感染症の研究を行なっています。

 

学術集会では、様々な感染症の研究報告や人の医療現場で行われている最新の治療法について知ることができ、大変刺激を受けました。

 

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さて、今年はCOVID-19感染拡大防止のために、様々な学術集会が紙面開催、オンライン開催など、

これまでとは異なる方式で行われていますが、

日本感染症学会の学術集会も、現地とWebの同時開催で行われました。

私たちは学術集会のライブ映像をオンライン視聴し、学術集会Web参加を初体験しました。

研究所セミナー室でのオンライン視聴、直接質問ができないのは残念ですが、

とても快適な環境で集中して発表を聞くことができました。

 

多くの変化があった2020年、学術集会のあり方も変わっていくことになりそうです。

2020年8月18日 (火)

国際馬伝染病会議の延期

分子生物研究室の坂内です。

 

本来であれば今頃は東京オリンピックの開催期間でしたので、それに伴う総研職員の仕事についてご紹介しようかというタイミングなのですが、COVID-19のせいで何もない夏になってしまいました。

 

オリンピックに限らず、私たちの業務に関係する様々な行事が延期や中止に追い込まれていますが、その中の一つに、第11回国際馬伝染病会議(The 11th International Equine Infectious Diseases Conference)があります。

学会公式サイト(外部リンク)https://eidc2021.com/

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馬の感染症研究に特化したこの国際学会は、オリンピックと同じく4年に一度開催され、昨年から私が国際委員として運営に参加しています。

前々回は2012年に米国ケンタッキー州、前回は2016年にアルゼンチン共和国ブエノスアイレス市で行われ、第11回となる今回は2020年10月にフランス共和国ノルマンディー州での開催が予定されていました。

馬産業の盛んな欧州やアメリカ大陸から遠いアジアにいる私たちにとって、世界の研究者と直接会って親交を深められる貴重な機会となるはずでしたが、残念ながら1年延期されることが決まりました。

 

ノルマンディーというと戦時中の悲劇が思い起こされますが、現在では美しい海岸沿いにリゾートホテルが建ち並ぶ一大観光地となっています。

そして、競馬大国であり、乗馬の強豪国でもあるフランスに、来年こそはぜひ行きたい・・・。

行けることを心から願っています。

 

※国際馬伝染病会議では現在スポンサーを募集しています。ご興味のある方は総研分子生物研究室までお問い合わせください。

2020年7月27日 (月)

植え込みに咲いていた美しい花

臨床医学研究室の田村です。

 

栄養豊富な乾物食品として知られる干瓢は、全国生産量の98%を栃木県が占めているそうです(栃木県干瓢商業協同組合より)。

干瓢の花は夕顔(ウリ科)と呼ばれています。

白くてかわらいしい花が夕方に咲くため、その名前がつけられていますが、一年だけで咲き終わってしまう一年草です。

 

今回のブログで紹介する写真は、その夕顔ではなく、昼顔です。

 

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JRA競走馬総合研究所の植え込みの中で、まるでこちらを見るように力強く咲いていました。

雨に濡れた部分がピカピカと輝き、

白とピンクのグラデーションが爽やかに感じられたため、写真をとりました。

いかにも雰囲気の良い花だと思い、興味をもって調べたところ、

万葉集の時代から題材にされていると知りました。

納得の美しさです。

 

昼顔は午前10時くらいから夕方まで咲いています。

夕顔とは異なり何年にもわたって花が咲く多年草(ヒルガオ科)です。

しっかりした根とツルによって成長するため、昔から強い生命力を連想させる花として知られてきたようです。

 

そんな昼顔の花言葉は絆です。

あの東日本大震災の後からは絆を意識する機会が増えました。

平常時においても重要なことではありますが、非常時においては殊更に絆の重みを感じます。

 

鑑賞用としての人気もありますが、昼顔は古くから薬草としても好まれてきたようです。

 

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絆と薬、現在の状況に必要とされる二つのキーワードを兼ねそろえた花です。

 

8月くらいまでは咲いているようですので、かわいらしいピンクの花を探してみてください。

 

 

2020年7月20日 (月)

技を磨くということ~装蹄技術の奥深さ

臨床医学研究室の福田です。

今年もすでに半ばを過ぎましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

まさかこんな夏になっているとは。。。

災害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。

またくれぐれも体調にはお気をつけてお過ごしください。

さて、少々昔になってしまいますが、今年の初春に全国的なJRA装蹄師の配置換えが行われ、競走馬総合研究所には常勤の装蹄職員がいなくなってしまいました。そのため、ちょっと離れた宇都宮の馬事公苑で勤務しております装蹄職員に月に数回来ていただき対応してもらっています。順調に改装(蹄鉄の履き替え)できれば問題ないのですが、改装後にアクシデントなどあったとしても、多忙さも手伝ってそんなに何回も来ていただくことができません。そこで研究所の獣医職員が簡単な処置をかわりに行うことがあります。

現在、主に引き受けていただいている方は、公益社団法人日本装削蹄協会に3年間出向していた間に認定”牛”削蹄師の資格を取得した桑野上席研究役です。牛と馬ではだいぶ削蹄技術が違うらしいのですが、元々馬の蹄病の研究者だった上席は、他の獣医師に比べて豊かな知見と経験をお持ちで、積極的にトラブルに対応していただいております。

もちろん装蹄師の仕事は一朝一夕でモノになるものではありません。1本の鉄の棒から蹄鉄を作り出すことはもちろん、蹄の底を削って調整を加えるにも、長期間の訓練や豊富な専門知識に裏打ちされた繊細なテクニックが必要です。このように大変神経を使う作業をすすんで引き受けていただいていることについて桑野上席は、

「蹄鉄操作は難しくてまったくできません。それでよく、『蹄を削るだけでしょ?』と言われるのですが、この削蹄技術をバカにしていると馬は壊れると装蹄師さんから習っています。装蹄師さんに実地で教えてもらうとわかるのですが、蹄の形状をどの目線から眺めるか、これを間違えただけでひどく変形した蹄に削りあがってしまうのです。」

とおっしゃっていました。

みなさんも競馬場では、各レースのスタート地点あたりで装蹄師さんたちがエプロンのようなものを腰から下げて立っているのを見かけることがあると思います。出走馬が落鉄(蹄鉄が外れること)したときにすぐ対応するのですが、そのスピードといったら。もちろんただ落ちた蹄鉄を履かせ直すだけでなく、落ちて曲がった蹄鉄の微修正や蹄の観察まで行うわけですから、経験に裏打ちされた高いレベルの技術が必要になるわけですね。

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1本の鉄の棒を真っ赤になるまで熱した後、金づちで叩いて形を整えます。パワーが要るうえ、繊細さも求められます。

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宇都宮の装蹄教育センターで、未来の装蹄師を目指す若者たち。暑いですが頑張ってます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

2020年6月25日 (木)

クールビズ

分子生物研究室の上林です。

梅雨でジメジメした日々が続いていますが、もうすぐ夏本番ですね。

涼しい恰好に装いを変えていきたい時期ではありますが、その思いは動物たちもきっと同じでしょう。

そこで、今回は夏を迎えるにあたって装いを新たにした動物をご紹介します。

当研究室では現在ヒツジを3頭(全頭メス)飼育しています。

ヒツジから採取した血液は、様々なウイルスに対する血中の抗体価を測定する検査に活用されます。

感染症に関する研究・調査を進めるにあたって重要な存在です。

そんな彼女たちですが、先週までの様子がこちら

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すっかり毛が伸びてしまっています。暑そうですね。

こんな姿で栃木の夏は越せない!ということでこのたび3頭の毛刈りをすることとなりました。

ヒツジの毛刈りなんて観光牧場にでも行かないとなかなか見れませんので、我々も興味津々で見学させて頂きました。

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おとなしくお座りして受け入れていますね。我々素人ではこうはいきません。

動物に注射などをするときは「保定が8割」とよく言いますが、ヒツジの毛刈りでも当てはまりそうですね。

Image6みるみるうちに刈られていきます

Image51仲間を心配そうに見つめています。自分も刈られる覚悟を決めているのでしょうか。

そうこうしているうちに・・

ものの10分で一丁上がり!3頭あわせてもたった30分で終わってしまいました。

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Image1「ん~~、スッキリ!」といった表情でしょうか。

毛刈りしてからというもの屋外に出ている時間も増え、過ごしやすそうでなによりです。

血管を探すのに毎回苦労していた採血もバッチリです。

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しばらくはヒツジたちのクールビズ期間も続きますので、次回はまた来夏ですね。

2020年5月28日 (木)

大学紹介

 

 現在フランス留学中の臨床医学研究室の黒田です。本日は留学先の大学を紹介します。私は現在フランス南部のトゥールーズ市に在住しています。トゥールーズ市はガロンヌ川流域の都市で、人口47万人を持つフランス第5の都市です。美しい川とバラ色の都市と呼ばれるレンガの街並みが特徴的ですが、航空機メーカーエアバスの企業城下町でもあります。ですので、街のもう一つの名物として、イルカから名付けられた航空機機材を運ぶ大型の航空機、ベルーガがあります。

Photo_8        ガロンヌ川

Photo_9        ベルーガ

 

 留学先はÉcole Nationale Vétérinaire de Toulouse (国立トゥールーズ獣医学校)でトゥールーズ市の西側に位置する大学です。フランスにはパリ、ナント、リヨンと合わせて4大学しか獣医大学はなく、1学年は約120名、5年制を採用しています。今回はInnovations thérapeutiques et résistances研究室のAlain Bousquet-Mélou教授に留学を希望し、受け入れていただいています。研究室は、抗菌薬を中心とした薬物動態、耐性菌、食品衛生に関する研究を行っており、中でも抗菌薬の薬物動態を中心に学んでいます。

Photo_10        大学正面


 大学には乗馬センターが併設され、学生のみならず職員や研究者たちも乗馬を楽しんでいます。フランスらしく時間は自由で、研究の合間にちょっと馬に乗ってくるという感じです。都市内にありながら放牧地は広く、研究用の馬、牛、羊は昼夜放牧でのんびり暮らしています。また、大学内には警察騎馬隊の厩舎も併設されています。トゥールーズの中心部は歴史的な町並みで人気の高い観光地ですが、道が極めて狭く騎馬隊の役目はかなり重要とのことでした。

Photo_11        乗馬センター

Photo_12         放牧馬

 3月から2ヶ月以上続いていたフランスの厳しいロックダウンは徐々に緩和されつつあります。トゥールーズを含むオートガロンヌ県はパリなどと比較すると比較的患者が少ない地域ですが、それでもまだ県内に70人近い入院患者がおり、レストランなどの施設は開放されていません。ロックダウン中閉鎖していた大学の研究室も今週から再開していますが、学生の授業は秋までオンラインになると聞いています。私も早速挨拶に行きましたが、雑草が大変なことになっていますが、研究室の皆様も馬たちもみんな元気にしているようです。当分は人員を制限して実験を行うようで、私も午後のみの予定です。日本も緊急事態宣言が終了し、いよいよ緩和されていくと聞いております。何とか。世界的に改善して欲しいと願っております。


黒田泰輔    

低酸素トレーニング

運動科学研究室の向井です。

我々の研究室では、数年前から低酸素トレーニングの研究を進めています。低酸素トレーニングはヒトのアスリートでは数十年前から利用されており、研究も数多く実施されていますが、サラブレッドにおいては今までほとんど報告がありませんでした。

結論としては、4週間低酸素トレーニングをすると、サラブレッドの運動パフォーマンスや有酸素能力が大きく向上することが分かりました。ただし、うまく適応できる馬とできない馬がいるようにも感じましたので、応用する上ではその辺りをうまく見極め、オーバートレーニングにならないようにトレーニングの強度や量を調節していくことが必要かと思われます。

詳細については、2020年5月にPhysiological Reportsで公表されたこちらの論文(外部サイト)をご覧ください。 https://physoc.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.14814/phy2.14442(外部サイト)

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