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食事中です、お静かに・・・

 チモシー、オーチャード、アルファルファ、エンバク、フスマ、ペレット・・・さてさて、何のことだかわかりますか?

 実はこれらは競走馬の食べ物の名前。リハビリが終わって午後3時になると、みんな一斉に馬房から顔を出して、「僕のご飯まだかなあ・・・」「ヒヒン、ブルルル・・・」と大合唱!担当のきゅう務員さんは、「よしよし・・・」と声をかけながらエンバクやフスマの入った飼い葉桶をつるします。

・やったー、ご飯だ、さあ食べよう!

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 桶に顔を突っ込んで、夢中で食べております。食事中は静かに見守ります。「家族団らん和気あいあい、楽しくおしゃべりしながら食べないとおいしくないよね。」なんて、私たち人間の世界では言ったりしますが、馬の場合はちょっと違います。

・あっ、僕のご飯を横取りする気だな!

 食事中の様子ですが馬によっていろいろ・・・。中には近寄ると噛み付いてくる馬がいます。ある馬は、取られちゃ困ると思うのか、急いで噛まずに飲み込むものもいます。逆に食べるのをやめちゃう馬もいる・・・。彼らの胃はとても小さく出来ているので、物理的にたくさんの食べ物を消化できません。消化不良で胃を通過すると大きな腸のなかで動きが悪くなり、食べたものが溜まってくると、「疝痛」(ハライタ)という病気の原因になってしまう。だから、ゆっくりと時間をかけて食べてもらうために、あんまり見つめたり近寄ったりせず、普段どおりのきゅう舎作業を装いながら、食べる様子をそれとなく観察するようにしているんです。

・センイもしっかり取りましょう

 飼い葉桶に入っているものは、馬の大好物でありエネルギー源となるエンバク、腸の働きを助けるフスマ、そしてペレット状の複合飼料が中心です。それ以外に乾草を与えます。乾草にはセンイがいっぱい含まれているので、腸の動きをよくするために大切。きゅう務員さんは糞の状態や回数、量を観察して、馬の体調を知ります。食いしん坊くんや水をあまり飲まない馬、糞や尿のついた寝わらも食べる馬はおなかを壊しやすいので注意します。

・運動制限がある馬は難しい・・・

 さて、常磐特有のお話。元気に調教している馬、故障がなく放牧場で運動できる馬はいいのですが、常磐の馬はリハビリメニューにしたがって運動しているため、食事の調節がとても難しいんです。太りすぎは厳禁!肢の故障には体重をコントロールすることも重要です。だからといって、やせすぎも下痢をしたり・・・。運動の少ない馬は、腸の動きも悪くなりやすいですから、おなかに食べ物が溜まりやすく、便秘になりがち。そこで、整腸剤や下剤を混ぜて食べさせるんですけど、これがおいしくないのか食欲が落ちるもの、食べても痩せていくものなどがいる。リハビリの段階と馬の性格、馬の体質を考えた食事を考える・・・きゅう務員さんの腕と私たちのアドバイスをミックスさせて、心地よく常磐での生活を送ってもらおう・・・そんな風に思っているのですが、彼らには伝わっていないようで・・・「もっとたくさん食べさせろ!おれは腹ペコだよ!」なんて言いたそうな顔をしてこっちを見るんですよ・・・。辛いですね~。

・お行儀よく食べようね

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 見てください。一口食べるたびに桶を振り回して遊ぶものだから、下にいっぱいこぼれてる。もったいないなあ。こんな行動はストレスをためている可能性もあります。安心して食べてもらうには、どんな組み合わせで飼料を与えるのか?馬それぞれにあわせて、きゅう務員さんは頭をひねってるのです。

・他にも注意することがいっぱい・・・

 常磐では5時と15時の2回に分けて、馬の体調によっては3回以上に分けて与えるようにしています。とにかく決まった時間にリズムよく食べさせることが大切なんですね。他にも食べやすい高さに調節する、なるべく同じきゅう舎の馬は同時に与えていらいらさせないようにするなどなど・・・。そんなわけで、なかなか皆様にお食事の風景をご覧いただける機会は作れませんが、こんなところにも馬のデリケートな一面があることを知っていただけたらなあと思い今回ご紹介いたしました。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「本日、毎年恒例の競走馬に関する調査研究発表会が東京で開催されました。その中で常磐におけるショックウエーブ治療の効果について発表しております。お問い合わせは常磐支所まで。入所馬受付中です。」