獣医師のお仕事

こんにちは。

いわき市でも連日猛暑が続いています。

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競走馬も熱中症になることはあるのですが、

ここでは水温25℃の水の中でのリハビリが多いこともあってか、

今のところ夏バテしている馬は出ていません。

Img_0122    水の中は気持ち良さそうです

さて、今日は当センターの獣医師のお仕事を紹介します。

常駐しているのは、以前は美浦トレーニング・センターに勤務していた仁比 大記(ニヒ ダイキ)獣医師。

毎日全ての療養馬の健康管理、ケガの治癒過程の確認、リハビリメニューの作成などを行っています。

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1日のスケジュールはこんな感じです。

7:30~ 療養馬の状態チェック

8:00~ 療養馬のリハビリ

9:00~ ミーティング

9:15~ 療養馬のリハビリ

12:00~ 昼休み

13:30~ プール調教

15:00~ 検査・治療・カルテ作成

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朝いちばんに全ての馬の健康状態やケガをしている肢の状態をチェック。

リハビリメニューを予定通り行えるか判断します。

Img_0243    肢のチェックが1日の始まり

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リハビリ中は、走行時の歩様はもちろん、馬のメンタルや挙動を確認します。

ちょっとした変化に気づけるかどうかが大事です。

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    リハビリ直後も入念にチェック

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  プールから上がった馬の心拍数を測定

 

特にリハビリの強度を上げたタイミングや馬にとって初めてのメニューの時は、

事故につながる可能性があるため細心の注意を払います。

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午後はケガをしている部位によってレントゲン検査やエコー検査を行い、

治癒の経過を確認します。

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    浅屈腱炎の馬のエコー検査画像

毎日の歩様、触診所見と検査結果を踏まえて次の週のリハビリメニューを検討します。

全ての検査が終われば、馬と同じ温泉に浸かって(笑)・・1日が終わります。

当センターでは全ての療養馬に対して2週間に1回の精密検査を行っています。 。

プールや温泉施設などが表の「顔」なのですが、

各馬の病態をきめ細かく把握していることが実は当センターのいちばんの強みであり、

順調なリハビリを陰ながら支えているのです。

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これまで当センターではリハビリに関する様々な調査研究も行われてきました。

積み重ねられた成果はケガの再発防止や最適なリハビリプログラムの設定に役立てられています。

見学にお越しの際は、獣医師の動きにもぜひ注目してみてください。

将来獣医師を目指しているお子さんや馬に興味のある獣医学生の見学も大歓迎です。

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まだまだ頑張ってます

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JRAの春のG1シリーズも来週の宝塚記念を残すのみとなりました。

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先週からは函館競馬場で開催が始まり、いよいよ夏競馬の到来です。

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リハビリテーションセンターでは先週1頭が無事にリハビリを終えて卒業し、

新たに3頭の競走馬が入所してきました。

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人も同じですが馬も初めての場所はすごく緊張します。

最初は優しく声をかけ、愛撫したり、体を洗ったりして馬をリラックスさせることが大切です。

初対面の人がいきなり痛いところを触ってきたら誰でもイヤですよね。

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今回の3頭は皆とてもいい性格で、すぐにこちらの環境に慣れてくれました。

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 こちらはリラックスした表情のファントムシーフ号です

 

さて、先月末から始まったプール調教には連日多くのお客様にお越しいただいています。

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あっという間に終わってしまうので本当に心苦しいのですが、

馬は2周するだけでもプールから上がるとフーフー激しく呼吸しています。

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ほとんどの馬は午前中も別のリハビリに取り組んでいるため、

通常プール調教は1頭当たり週2~3回にしています。

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そんな中、1頭だけほぼ毎日泳いでいる馬がいます。

当センターの乗馬ナリタスプリング号(17歳!)です。ダントツの長老です。

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この年齢でも毎日元気に馬場騎乗や障害飛越を行っていたのですが、

最近乗馬中に靭帯を痛めてしまい、現在は走れません。

それでも心肺機能が落ちないよう回復に向けてプールでのリハビリを行っています。

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ナリタスプリング号は元競走馬で、

引退後は東京都世田谷区の馬事公苑に長くいたのですが、

2022年に当センターにやって来ました。

・・

現役時代は中央競馬で5勝し、獲得賞金はなんと1億円を超えています。

すごい馬だったんです。

Img_0009    毎日温泉に入って疲れを癒します

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   ナリタスプリング号と元気なスタッフたち

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若い現役の競走馬に混じってナリタスプリング号もまだまだ頑張っています。

黒い顔に綺麗な白いラインが入っているのが特徴ですので、

見かけたらぜひ応援してあげてください!

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プール開き!

今日はリハビリテーションセンターの夏の風物詩「プール開き」でした。

多くの報道関係者や一般見学者の方が見守る中(ご来場いただき有難うございました)、

選抜された4頭が無事に初泳ぎを披露してくれました。

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2周80mを泳ぎ切るとどの馬もハアハア息が上がっていましたが、

その後すぐに温泉に入りリラックスした様子で疲れを癒していました。

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  温泉でリラックスするキョウエイブリッサ号

プール調教は脚に負荷をかけることなく心肺機能を強化できるメリットがあります。

当センターにいる馬の殆どは脚元に何らかの不安を抱えていますので、とても有効なリハビリメニューの一つです。

たった80m泳いだだけで?と思うかもしれませんが、

馬はプールに入ると水圧でいつもよりも胸を広げられなくなってしまいます。

空気を十分に取り込めなくなるので、いわば低酸素下でトレーニングしているのと同じ状況になります。

水泳中の馬の心拍数を測定したデータによると170~200拍/分になっていることが多いそうです。

見た目以上に馬にとっては激しい運動になっていることがわかりますね。

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  プール後でも表情に余裕のあるネイリッカ号

当センターのプール調教は平日(月~金)の13時半から毎日行っています(※)。

フェンス越しにどなたでも見ることができますので、ぜひ頑張っている馬を応援してあげてください。

皆様のご来場をスタッフ一同お待ちしています。

※馬の体調や悪天候で中止となる場合がありますので予めご了承ください。

プール大掃除

GWはいわきでも夏を思わせるような暑い日が続きました。

当センターにも多くの皆様にご来場いただきました。

ありがとうございました。

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「せっかく来たのに近くで馬を見ることができなかった」という方もいるかもしれません。

ガッカリさせてしまった皆様には申し訳ありませんが、

現役競走馬のリハビリを行う施設として、

馬の体調やケガの状態を最優先に考えて日々メニューを組んでいます。

どうかご理解いただけますと幸いです。

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さて、当センターでは今年も5月23日(木)からプール調教が始まります。

先日は1年分の汚れを落とすための大掃除が行われました。

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人の落下防止対策でプール調教のない期間も水を張っているため、

なかなか水を抜いた状態を見ることはありません。

改めて3mの深さのプールに立つと・・・結構な迫力です。

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このプールは馬専用としては日本で初めて1975年に当センターに設置されたものです。

当時のアメリカ・ハリウッドパーク競馬場(現在は廃止)のプールを参考に作られました。

過去にはオグリキャップやトウカイテイオーといった歴史的な名馬達もこのプールで泳いでいます。

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3日がかりの作業を終えてピカピカになりました。

後はプール開きの日を待つのみです。

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プール調教は月~金(祝日は除く)の午後13時半から実施する予定です。

見学も可能ですので興味のある方はぜひお越しください。

スタッフ一同お待ちしています。

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5月5日に31歳の誕生日を迎えた当センターのアイドル「ミミちゃん」もまだまだ健在です。

彼女にもぜひ会いにきてくださいね。

ウォータートレッドミル

こんにちは。

桜の時期も過ぎてすっかり暖かくなりましたね。

今日は当センターにあるウォータートレッドミルを紹介します。

ウォータートレッドミルは、馬が入れる大きさの水槽にベルトコンベアーを設置した装置です。

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水の浮力により馬の肢元にかかる負担を軽くすることができるメリットがあり、

下肢部の骨折や屈腱炎などを発症した馬のリハビリに適しています。

水深は約120cmで馬の肩くらいの高さになります。

この水位で前肢1肢にかかる荷重を約30%軽減させることができます。

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メニューは1回15分を基本に、馬のリハビリ進度に合わせてスピードを変えています。

リハビリが進んだ馬では15分間の走行距離が2kmを超えてきます。

肢に負担がかからないとはいえ水の中で2kmも歩くことを考えると・・・大変ですよね。

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毎日強制的に走らされたら水に入ることを嫌がる馬がいそうなものですが、

ほとんどの馬はスムーズに入りメニューに取り組んでくれます。

ちなみにウォータートレッドミルに使用している水(20-25℃)は温泉ではありません。

馬が発汗するほどの運動量になるので、温泉では温度が高すぎるためです。

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ウォータートレッドミルは当センターにある施設でも見学エリアから最も近いところでリハビリの様子を見ることができます。

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください!

 

新年度スタート

新年度が始まりました!

いわきは最近さわやかな暖かい日が多くなり、

新しい門出にピッタリの天気が続いています。

リハビリテーションセンターでも4月から普段馬のお世話をしてくれている厩務員さんに新しいメンバー2名が加わりました。

 

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当センターにいる厩務員さんたちは、

療養馬の飼い付けや手入れなどのお世話だけでなく、

リハビリや騎乗調教、獣医師によるケガをした部位の検査にも立ち会ってくれるため、

必要不可欠な存在です。

 

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彼らは療養馬に対する仕事が終われば、

センターで所有している乗馬に乗って騎乗の技術を磨くなど、

全員が各々の目標に向かって毎日励んでいます。 。

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明日は新しい療養馬が1頭入所してきます。

どんな風貌か・・

性格は良いのか・・

痛めている肢の状態はどうか・・

会社の入社式と同じで迎える側もワクワクドキドキです。

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今年もスタッフ一同、新たな気持ちで頑張ります!

療養馬への応援よろしくお願いします!

馬頭観世音 慰霊祭

先日、ご住職の方に来場いただいて「馬頭観世音 慰霊祭」を行いました。

当センターでは、毎年お彼岸の時期に合わせて春と秋の2回開催しています。

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競走馬は一度大きなケガを負ってしまうと、必ずしもすべてがレースに復帰できるわけではありません。

残念ながら「予後不良」と診断されてしまうことや、

手術・治療がうまくいってもリハビリの過程で再発し、引退するケースもあるのが実情です。

慰霊祭では、現在療養している馬たちの安全を祈願するとともに、

これまでにレースや調教中の事故で亡くなった全ての競走馬に対して職員一同で祈りを捧げました。

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いわき市はまだまだ寒い日が続いていますが、毎日13頭の馬たちがリハビリに励んでいます。

午前中の早い時間帯ならリハビリや温浴している姿を近くで見られるかもしれません。

お近くにお越しの際はぜひお立ち寄りください。

消防訓練

こんにちは

年始に起きた能登半島の地震

羽田空港での航空機事故

北九州小倉の商店街火災など・・・

今年は年始めから大きな災害や事故が起きました

亡くなられた方々に深い哀悼の意を表し、ご遺族と被災された方々に心からお見舞いを申し上げます

このような災害や事故は、いつでも身近で起こりうることですし、やはり備えが大切

ということで、先日、いわき市常磐消防署のご協力を得て、当センターの消防訓練を行いました

まずは、事務所食堂の厨房付近から出火したという想定で避難訓練

スタッフごとに担当を決めて、火災を確認し周囲に知らせる、消防署に通報する、初期消火をする、避難誘導をするなど、実践を想定した形で行いました

そのあとは、会議室に移動して救命講習を

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消防署の方による丁寧な指導・実演をいただきながら、心臓マッサージの方法やAEDの使い方などを習得

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思ったほど難しくはなく、救命措置が必要な現場に居合わせたときでも、実際にできるような感覚を持つことができました

いわき市常磐消防署の皆様、ありがとうございました!

来場された見学者の方や当センターで働くスタッフが、怪我をしたり体調不良になることはいつでもありうること

そんな時、体が自然と動き的確な救護ができるようになるためには、このような日々の訓練がとても大切なんだな

そのことを身に染みて感じる一日となりました

当センターの消防訓練の様子は、いわき市消防本部のHP(以下のURL)にも掲載されています

https://www.city.iwaki.lg.jp/www/contents/1706765849976/index.html (外部サイトに移動します)

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当センターでは一般の方でも専用エリアから調教の一部や温泉風景を見学できます。

また、将来的に馬に関する仕事に就きたい方の研修等も受け付けております。

見学・研修を希望する方はこちらをぜひご覧ください。

馬取扱講習会2024

2月19日(月)は、都合により終日リハビリをお休みとさせていただきます

こんにちは

昨年、当ブログで紹介した「馬取扱講習会」

今年も、スタッフの知識を深め技術を高める目的で行いました

JRA馬事公苑から2名の講師を招いて

グランドワークに関する実技・指導では、人馬のコミュニケーションをとる方法・タイミングなどを

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騎乗技術の指導・実演では、馬上でのバランスのとり方、直すべき姿勢の癖などを

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とても分かりやすい言葉で丁寧に教えていただきました

ただ、言葉では理解できても実践するとやっぱり難しい

でも、コツコツと積み重ねていけば、いつの間にかに感覚がわかるように

そして、いつしか自分ができるようになり自信につながっていく・・・

そんな未来につながるきっかけとなった時間

そのように感じました

当センターで馬の世話や騎乗を担当している方は臨時厩務員(研修生)と呼ばれます

臨時厩務員は、将来、JRAの厩務員や馬取扱職員を目指している者が多く、ここで働きながら馬に関する様々な知識、経験を身につけています

このような講習会は年に1回程度ですが、当センターは、常駐の馬取扱専門スタッフから、日々技術指導を受けられる環境です

また獣医学や装蹄、リハビリに関する知識も学べます

JRAの厩務員を目指している方、当センターで働くことに興味がある方は、是非一度ご連絡ください!

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当センターでは一般の方でも専用エリアから調教の一部や温泉風景を見学できます。

また、将来的に馬に関する仕事に就きたい方の研修等も受け付けております。

見学・研修を希望する方はこちらをぜひご覧ください。

ヘアスタイル

2月1日(木)は、都合により終日リハビリをお休みとさせていただきます

こんにちは

先日当センターに入所した療養馬

髪形はこれ

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なんかちょっと不細工!?

最近のゴンタ

髪形はこれ

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盛り髪!?

軽く剛毛だけどフサフサ(笑)

空には虹が

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すべての人に平和で穏やかな日常が訪れますように

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当センターでは一般の方でも専用エリアから調教の一部や温泉風景を見学できます。

また、将来的に馬に関する仕事に就きたい方の研修等も受け付けております。

見学・研修を希望する方はこちらをぜひご覧ください。