【美浦TC】装蹄師のお仕事
こんにちは。
本日は競走馬の靴ともいえる、装蹄についてレポートしたいと思います。
競走馬はとてもデリケートでその馬の歩き方等も、装蹄のやり方で変わってきます。人間と同じで、靴が合わないと靴ずれや捻挫のような怪我をしてしまうように、競走馬も肢に合わない蹄鉄が故障につながる事にもなり、大変な集中力の必要な作業です。
装蹄はまず、蹄が伸びた事で合わなくなった古い蹄鉄を外すことから始まります(除鉄)。蹄鉄を取り付けている釘を外して、蹄鉄を取ります。
(除鉄)
その後に削蹄(サクテイ)という作業をしていきます。鎌形蹄刀(カマガタテイトウ・削蹄用の鎌)や剪鉗(センカン・人間でいう爪切り)という道具を使い、馬の伸びた蹄を削り、最後にヤスリ(爪切りのヤスリと同じようなもの)で平らにして仕上げます、削蹄は蹄のバランスなど考えて行う難しい作業です。蹄は人間の爪と同じで、感覚がないので、削っても痛くはないのですが、肢を上げ保定をするため、嫌がって暴れる馬もいて、この作業もなかなか骨が折れます。
(削蹄前) (削蹄【鎌形蹄刀】)
(削蹄【剪鉗】) (削蹄完了)
次にいよいよ蹄鉄の準備に入ります。
始めに蹄鉄を火炉(ホド)で熱し(800~1000℃)、柔らかくしてから、蹄の形に合うように金槌(800~1000g・重い・・)でたたきます(蹄鉄修正)。鉄をたたくのでかなりの力が入ります。ですので、装蹄師のみなさんの腕はムキムキです。これぞ職人という技を見せてくれます。
(火炉) (蹄鉄修正)
ある程度鉄の形が整ったら、熱した蹄鉄を実際に馬の蹄に合わせて、焼き付けることで蹄と蹄鉄を適合(フィット)させます。
(焼付け)
もう一度蹄鉄を叩いて微調整をし、グラインダーなどで蹄鉄の角を削り、いよいよ取り付けにかかります。
蹄と蹄鉄を固定するのは、釘を使っています。蹄鉄をあてて、蹄釘(テイチョウ・装蹄用の釘)で打ちつけ固定させ、飛び出した釘の頭を切り、短くしてから曲げて爪に埋め込み、ヤスリで釘の頭と蹄をきれいに整えて完成です。
(蹄鉄釘付け) (釘の頭を切る)
1頭の馬の4本の肢を全て完成させるのに、約1時間ほどかかります。その間ほとんど中腰という辛い姿勢で作業をします。
今回は乗馬の装蹄の様子をレポートして行きましたが、競走馬では、兼用蹄鉄というアルミ製の軽い蹄鉄を使っています。乗馬の装蹄とほとんど一緒ですが焼き付けなどがない(アルミなので鉄を焼かない)ので30分ほどで作業が終わります。
このような装蹄師の方々の日々の職人技があって、競走馬達が無事に出走しているのです。