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2024年9月 5日 (木)

馬のジャンプ力

 こんにちは、運動科学研究室の杉山です。暑い日々が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。

 先日行われたパリオリンピックでは、日本の総合馬術チームが団体で92年ぶりのメダルを獲得するなど目覚ましい躍進がありました。荘厳なベルサイユ宮殿を背景に広大な敷地をウマが豪快に障害を飛んでいくクロスカントリー競技は目を見張る素晴らしさがありましたね。全人馬大きな怪我もなく大会を終えられたことは、現地チームの協力と日本チームの日頃の努力あってのことだと思いました。選手と出場馬のみなさま、本当にお疲れさまでした。

 そんなスポーツの世界では爆発的なパフォーマンスを行う場面がたくさんありますが、人間に強靭なアキレス腱があり、弾性エネルギーをつかって長距離を走るように、馬も腱の弾性エネルギーを使って走る・ジャンプすることが知られています [参考1]。障害を飛ぶ際の馬の後肢では、歩いているときの約4.5倍のエネルギーが使用されます[参考2]。さらに、馬はジャンプができる動物の中でも大型な部類ですが、ときには160cm以上もある障害を、人間を背負って飛ぶこともできます。これは強靭な筋肉だけでは創出できないパワーであり、腱の弾性エネルギーをも使ったパフォーマンスといえます。

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 JRAでは馬事公苑や開催競馬場でホースショーを定期的に行っています。競技馬が人を乗せて迫力あるジャンプをするのを間近で見るのも一興です。ぜひ、足をお運びください。

 馬事公苑などで開催される競技のイベント情報は以下のサイトでお知らせしています!

馬事公苑Instagram:https://www.instagram.com/jra_equestrianpark/

参考文献:

  1. Biewener, A.A., Muscle-tendon stresses and elastic energy storage during locomotion in the horse. Comparative Biochemistry and Physiology Part B: Biochemistry and Molecular Biology, 1998. 120(1): p. 73-87.
  2. Dutto, D.J., et al., Moments and power generated by the horse (Equus caballus) hind limb during jumping. J Exp Biol, 2004. 207(Pt 4): p. 667-74.