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2025年12月

2025年12月12日 (金)

スポーツ科学セミナーを実施しました

運動科学研究室の胡田です。

 JRA競走馬総合研究所では、例年、厩舎関係者の皆さまを対象に「競走馬スポーツ科学セミナー」を美浦および栗東トレーニング・センター(トレセン)にて開催しています。

 今年のセミナーは11月に、以下の4つのテーマを取り上げて各トレセンで実施しました。

   〇競走馬のスポーツ栄養(美浦トレセンのみ)

   〇異なる運動強度が暑熱順化に及ぼす影響(美浦・栗東両トレセン)

   〇アイルランド・イギリスにおける育成馬調教(美浦トレセンのみ)

   〇GPSトラッキングデータから見たストライド解析(美浦・栗東両トレセン)

Photo_2会場の様子



 本セミナーは、総研が推進する競走馬スポーツ科学の研究成果を、調教の現場に活用してもらう活動の一環として、研究者が厩舎関係者の皆様に直接お話し、またお互いに意見交換を行うことを目的として行われています。

 今回も厩務員や調教師の皆様、のみならず騎手の方々まで、多くの方々にご参加いただきました。セミナーの終了後も、会場のあちこちで演者と参加者が立ち話で盛り上がり、話題が尽きないまま盛況のうちに幕を閉じました。

 厩舎関係者の方々は科学的知見への関心が高く、こちらが驚くほど最新の研究やトレーニング理論に詳しい方もいらっしゃるため、議論する中で非常に良い刺激を受けました。現場目線の質問や意見は、研究者サイドに“気づき”を与えてくれ、「なるほど、そういうところが気になるのか」と新しい発見がたくさんありました。

 また、現場では常に最新かつ実践的な情報が求められていることを改めて実感しました。研究成果をタイムリーに届け、実際の調教現場で応用していただける形に落とし込むことの重要性を強く感じ、今後の研究活動の大きな励みとなりました。

2025年12月 4日 (木)

フランスの研究機関LABEOとの交流

分子生物研究室の坂内です。

11月26日~30日、フランスのノルマンディー州にある研究機関、LABEOフランク・ダンコム研究所から二人のゲストが来日しました。所長のGuillaume Fortier氏と、ウイルス研究室長のStéphane Pronost氏です。総研はLABEOと昨年から学術交流協定を結んでおり、現在分子生物研究室の上林職員がLABEOに研究留学に行っています。

LABEOのあるノルマンディー州は大きな馬産地で、LABEOは馬の感染症に関する研究や検査を活発に行っています。総研とLABEOとの間には長年に渡って親交があり、馬インフルエンザや馬鼻肺炎などの研究分野で協力してきました。さらにLABEOは、昨年行われた馬感染症の国際学会、12th IEIDCをホストしており、私も同学会の国際委員として運営に携わりました。なお、JRAは同学会をスポンサーとしてサポートしました。

CeremonyJRA本部で行われた記念セレモニー

今回両氏はパートナーである総研を見学して、進行中の研究プロジェクトや今後の協力体制について話し合いました。また、JRA本部ではセレモニーが開催され、伊藤理事(馬事担当)以下多くの馬事部職員、総研所員と共に協定締結1周年を祝いました。LABEOからは友好の証として両研究所の所長サインの入ったトーテムが授与されました。

Signセレモニーでは高橋所長(左)とGuillaume Fortier所長(右)によるサイン式も行われた

TotemLABEOから贈呈された所長サイン入りのトーテム

滞在の最終日となった日曜日には東京競馬場でジャパンカップを観戦、フランスの最強馬、カランダガンの勝利を目の当たりにして大興奮のお二人でした。今回の来日を経て両研究所の絆がさらに深まり、共同研究プロジェクトがさらに進んでいくことが期待されます。

Jc東京競馬場でJCを観戦するStéphane Pronost氏(左)とGuillaume Fortier氏(右)