よ~く顔を見ると・・・

 あっという間に1月が終了。気象観測開始以来、初めて東京で雪が降らない年になる可能性が・・・というニュースが話題になるくらいの暖冬。常磐も風邪などで体調を崩す馬も出ていません。湯治場日誌でご紹介してますが、梅の花も咲き始めております。

 さてさて今回は・・・競走馬たちは馬房でどのようにしてくつろいでいるのか?そんなお話を・・・。(期待してもらうほどすごいことはかけませんのでご了承願います。)

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 写真は普通に草を食べているところ・・・。私が来ても完全に無視。黙々と食べることに集中しております。

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 こちらは、馬房の奥でじっとしているところ。くつろぎタイムの彼の定位置です。一番落ち着く場所なんでしょうね。(口に着けている籠は暴食して、おなかの調子が悪くならないようにするためのものです)

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 こちらは馬房から顔をだして様子をうかがってるところ。「何しに来たの?」と言わんばかりの表情ですね。彼は常磐に来て間もないので、まだ落ち着いていないということもあるのですが・・・。ほとんどの馬はこのように馬房から顔を出していて、逆に顔を出していないと、どこか調子が悪いのかなあ、というサインにもなるので、馬房での様子を知ることは重要です。

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 お尻を向けて愛想がないなあ。彼は私が来ると必ず知らん振り。ペットを飼っている方はピンと来ると思うのですが、馬は獣医さんが大嫌い。このようにお尻を向けて、「あっちへ行け!」という態度をとります。中にはきゅう務員さんに対してもそっぽを向く馬もいます。こんな時は、とりあえず獣医は陰に隠れて、きゅう務員さんに機嫌をとってもらったりします。と、いった感じで馬にもいろいろ個性があることが、馬房での様子を見ただけでもわかります。

 さて、馬の顔を見てて思い出したことが一つ・・・。

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 写真は左右斜めから同じ馬を撮ったところです。どうでしょう?表情が少し違って見えませんか?左から撮った写真はたくましい感じがして、どことなく強そうな、あるいは怖そうな顔に・・・、右から撮った写真はおっとりとして、優しくて可愛く・・・、見えると思いませんか(人によって感じ方はいろいろだと思いますが・・・)?実は眼の白い部分が目立つかどうかの違いで、そのように感じるのです。これまで、たくさんの馬を見てきましたが、このように左右で顔が違って見える馬って結構多いんですよ。人間も自分の顔を鏡でよく見てみると、左右で微妙な違いを感じますよね。どんな動物もいろんな顔を持っている、個性を持っているってことなのでしょうね。競馬場に行く機会がある方は、パドックで顔をよく観察してみてください。皆さんの目にはどのように映るでしょうか・・・。(ASHI)

いい湯かな・・・ホントの気持ちって?

 先日、懐かしい友人からメールが来ました。あるスポーツの指導者で、「今年は教育もかねて指導者として頑張っていく」という内容でした。彼とは仕事を一緒にする時間が本当に短かかったので、私の印象などほとんど残っていないはずなのに・・・と思っていたのですが・・・。そんな私にもしっかりと気遣いしてくれる人間で、ホント、いいやつなんですよ!最近は、会う機会もなかなか作れず残念ですが、心の中ではいつも応援しているやつなんです!

 ねえ、皆さん!さりげない気遣いって、ちょっぴり恥ずかしい感じがするし、勇気のいることです・・・よね(社会人なら当然わきまえるべきだろ!って怒られちゃうかな・・・)。中には私のように行動に表せない人もいると思うのです。そんな人は気持ちだけでも大切にしましょうね。感謝の気持ちを・・・。そして、可能であれば・・・時には勇気を出して言葉にしてみましょう(ほとんど、自分に言い聞かせている・・・)。

 馬たちと毎日接していて思うこと・・・。当たり前の話ですが、彼らは言葉を発してくれない。だから何を思って毎日を過ごしているかわからないのです。ケガの治療をして、すっかり信用を失い、近づいただけで噛み付いてくるようになった、なんて経験もあります。一所懸命話かけるんですけど・・・通じない。きっと、治療で嫌な思いをさせたから、気分を悪くしてるんだよなあ・・・どういう風に接したらよかったのかなあって・・・。私は人間で言葉がある。だから、普段の生活の中でもっとしっかりしないとね、って・・・反省。そんなことも、馬たちは考えさせてくれます。

 と、しんみりしててもダメですよね。楽しい話をするブログですから、気をとりなおして行きましょう!今回も「いい湯かな」をお送りしますね。登場するのは、トレッドミルを終えて、入浴中のウイーンちゃんです。

 バシャ、バシャ、、バシャ・・・

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 なにやら賑やかな音が聞こえてきました。入った直後のウイーンちゃん。バシャバシャ水をかいて遊んでいます。と、近づいていくと今度は・・・

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ピチャピチャ・・・お湯に口をつけて遊び始めました。

 これまで紹介してきた馬たちを振り返ってみると、ジーっとしてのんびり浸かっている馬が多かったですよね。以前、函館競馬場に勤務していた時には、温泉のお湯をゴクゴクっと飲んでいる馬を見たことがあります。こういった仕草もリラックスして入っているって証拠なのでしょうか・・・。見学のお客様からも「気持ちよさそうだね。」などと感想が聞かれましたよ。私たちはいつも馬たちの気持ちを考えてあげなければね・・・そんな風に思ったのでした。

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 さて、温泉大好き度の判定ですが・・・

 今回は○!実はこのウイーンちゃん、温泉に入る前が少し落ち着きがないのです。もう少し気分をリラックスさせてから入りましょう!ということで・・・

 明日もいい湯かな?(ASHI)

いい湯かな・・・後ろ向きで失礼!

 今日は寒かった~。最近の常磐、朝の気温はプラス2~5度位なのですが、今朝はマイナス1度。さすがに、体感温度に違いを感じました。寒いと言えば、いきなり余談になりますが・・・、私は大学時代を北海道の帯広で過ごしました。道東の真冬は厳しく、当時、マイナス25~30度なんていう日がよくありました。暖かいところに住んでいる方は、想像もつきませんよね。天気予報などを見るとマイナス10度とか発表されてるんですけど、郊外の大学周辺は10度以上も違うんです!その、帯広も実は温泉の街だっていうことをご存知でしょうか?銭湯も温泉だったりします。私設の学生寮に温泉がありましたね。近くの十勝川温泉には「モール温泉」という珍しい?温泉もありました。友人とよく行きましたね。帯広は食べ物も何でもおいしいです、豚丼とかメークインとか(好きなもの書いても説得力なしかな)・・・。一度足を運んでみてはいががでしょう!

さて、今回の「いい湯かな」ですが、ジュンくんの入浴中にお邪魔してみました。

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 あれあれ~!ちょっと、ちょっとちょっと!少しおかしいですよね・・・。後ろ向きに入っているではありませんか。

「どうしても、バックでは入ってくれなくて・・・」

と、担当のメグルくんが教えてくれました。

 入って気持ちいい温泉も馬にとっては初めて見る得体の知れないもの・・・最初はかなり警戒し、危ないので練習をするんですけど、どうしてもバックで入るのを怖がる馬がいるんですね。温泉の最大の目的は「リラックスしてもらうこと」。後ろ向きでリラックスできるなら・・・よし、する場合もあるんです。で、頭から入るため写真のようになるわけです。

ところで、ジュンくん湯加減はどうだい?

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「別に・・・気持ちいいよ・・・」とそっけない視線・・・。さてさて、私の独断と偏見による温泉大好き度判定は・・・

◎!!後ろ向きだし、○の判定にしようかどうか微妙でしたが、温泉に入っている顔は「◎顔」ということで・・・

さてさて、ジュンくん、リハビリも順調のようで・・・明日もいい湯かな?(ASHI)

あったか~い、つめた~い

 2007年始まりました。あけましておめでとうございます!!

「おいおい、今日は何日だと思ってるんだい?成人式も終わったじゃないか!」

とういう目でコアレスくんににらまれてしまいました。

 そうでした。少し遅いご挨拶でした。今年も温泉だよりをよろしくお願いします。

 またまた、やってきた爆弾低気圧。皆様 大丈夫でしたか?常磐は雪はないものの、冷たい風が吹く日々。そんな中、リハビリを続ける競走馬たち。今日はトレッドミルに励む2頭がお手入中のところをお邪魔しました。

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こちらは、温泉に入り、シャンプーと暖かいお湯で洗ってもらっているところ。気持ち良さそうです。そして、こちらは・・・

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思わず、肢の方に接近してしまいました・・・。なにやら、肢に細い管を巻いていますね。温泉に入らず・・・?何をしているの?

実はこれ、流水で肢を冷やしているところなんです。

 冷やすと言っても、いろいろなやり方がありますよね。熱を出した時を思い出してください。氷のう、氷枕ってのがありました。氷水で頭を冷やす方法。今は冷却材をおでこに貼って使うのが一般的でしょうか・・・。では馬の場合はというと、写真のような流水による冷却が効果的と言われているのです。もちろん、冷たい水や消毒液を浸した湿布を巻いたり、クラッシュアイスや冷却材をあてて巻く方法もありますし、こちらの方が簡単です。しかし、実際にサーモグラフィーなどを使って、温度を比較すると、流水が冷却を終わってからの持続時間が一番長かった、なんていう結果もあるんですよ。

 「温泉であたためたり、流水で冷やしたり忙しいなあ」

なんて思われる方も多いですよね。ケガをすると、まずは熱を持ちます。これは冷やさなければいけません。ほったらかしでは、直すのを妨げるわる~い物質が出てくるかもしれないからです。

「じゃあ、あっためたらだめじゃない」

とも、思いますよね。ケガをした肢は、冷やすなどの処置をしながら安静にして、しばらくたつと落ち着きます。熱を持たなくなるんです。でもこれは、「慢性化する」と言ったりしますが、良くも悪くもどちらにも転がらず、反応が停滞する状態になってしまいます。そうなった場合どうするか?黙ってみていても良くはなりませんよね。

そこで登場するのが、

お・ん・せ・ん!!

なんです。何らかの効果的な刺激を与えて、反応を良い方向に起こしてあげたいんですよ。もちろん、いろいろなリハビリをおりまぜて「効果あり」なんですけど。

あたためる、冷やすの判断をするのは、私たちの仕事になる訳。馬によって、症状によって、さまざまです・・・。「あったか~く」すれば治るのが早いのか?それとも「つめた~く」すればいいのか?毎日、肢とにらめっこ・・・ですね。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「今年も常磐をよろしくお願いします。昨年もお願いしましたが、最近は馬房に余裕がありますので、お気軽に連絡を!有効に利用してください。お待ちしております。」

常磐卒業の馬たちへ「1日も早い復活を願っております!」

常磐卒業のきゅう務員たちへ「きゅう舎で、学校でどんな日々を送ってるのでしょうか・・・たまには近況聞かせてください。待ってます。」

それなりに・・・2007

 2006年もフィナーレを迎えようとしています。そんな師走の忙しい時期に、爆弾低気圧だの、気温上昇だの、大雪だの・・・。皆様の住んでいるところは、何事もなくすんでいるのか・・・心配です。こちら、いわきは快晴ですが、ものすごく強い風が吹いています。

 今年を振り返ると・・・なんて話になりがちですが、やめておきましょう。前を向きましょう!2007年、きっといい年になるに違いない!そんなことを、自分に言い聞かせながら、また、皆様の幸せを祈りながら2006年を締めくくりたいと思います。来年も温泉ブログをよろしくお願いします。

 それでは、常磐の競走馬を代表してハリー君のご挨拶です。

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なになに、

「今気持ちよく入っているから邪魔しないでくれよ」

って?そうだと思ったんだけど・・・

「でも、来年もリハビリ一所懸命やろうな!よろしく!」

「わかった、それなりにね!」

「そうだね、あわてず急がずそれなりにね!」

ではでは、皆様も2007年 「それなりに!」

いい湯かな?

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「どうですか、湯加減は?」なんて聞いたところで、何も答えてくれない競走馬たち・・・。温泉療法は大切なリハビリの一つ・・・とは言っても、実際に入っている姿を見ると、実に気持ち良さそうに見えます・・・。そこで、いい湯だな・・・では、ババンババンバンバン!とドリフになってしまう(古いよなあ)ので、果たして馬たちは「いい湯加減だ、気持ちがいいなあ」と思って入っているものなのかどうなのか、を皆さんにお伝えしようと思いながら企画する、題して「いい湯かな?」・・・ヒュ~っと、白けた風が吹いたところで、強引なるスタートであります。

 さてさて、第1回目(続けられるのか・・・?)は、最近入きゅうして常磐にもそろそろ慣れてきたかな、と思われるゲンちゃんに接近してみました。

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まずは、担当きゅう務員のトミーくんに入っている様子を聞いたところ、

「おとなしいです!」

とのこと。大抵の馬が少しは反応する距離に接近して、デジカメを構えてみました。

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「何してんの?」くらいのリアクションで、耳もこっちを向かないんです。落ち着いてますね~。それどころか・・・

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うとうとっとして、今にも目を瞑ってしまいそう・・・。たまたま、来ていたカップルのお客様が

「写真撮っても大丈夫ですか?」

と尋ねてきたものですから、

「フラッシュなしでお願いしますね。」

とお伝えし、早速、お客様がカメラを構えたのですが・・・。

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更にボーっとして、目が先ほどよりも細くなっているゲンちゃん・・・。う~ん、参った!!私の独断と偏見で判定するゲンちゃんの「温泉大好き度」(◎○△で判定)は・・・・・

もちろん、◎!!リラックスしてこそ効果大の温泉です。

 「元気なさそうで大丈夫かなあ」と心配される方もいらっしゃることでしょう。でもこのゲンちゃん、競走成績も抜群で、馬房では元気いっぱいです!ご安心を。

 さてさて、入浴時間終了のようです。明日も「いい湯かな?」(ASHI)

いや~全然ダメですね・・・

「どうだった?今日は」

「いや~、ダメでしたね、全然ダメです。」

 ある屈腱炎の馬を担当するタダッキくんのリハビリ調教後の口癖のような台詞です。

 常磐在きゅうの競走馬が抱える疾病の中で一番多いのが屈腱炎という病気です。その屈腱炎の症状も馬によって様々(今回は詳しい病気の説明は省略しますね)。治るのが早いものもいれば遅いものもいる・・・。また、症状がひどいからといって、治りが遅いわけでもなければ、軽いからといって、治りが早いわけでもない。(ちょっと、混乱してしまうかな・・・こんな書き方では・・・)

 で、当然彼の担当する馬についても、じっくりと診断をしてリハビリの進め方を検討するわけですが・・・結局、馬場に出られるようになった時は、

「ゆっくりとしたキャンター(駆け足、駆歩)で進めていこう」

ということになり、通常よりスピードを制限して周回をゆっくりと増やしていこうということになりました・・・では、誰に乗ってもらおうか・・・いろいろ考えて、指名されたのが今回主役のタダッキくんでした。

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 タダッキくんは前回登場したアオちゃんと一緒に入ってきた競馬学校卒業生。常磐メンバーの中でも乗るのが上手で、私たちの注文どおりに乗ってくれる頼もしい存在です。

「今日は・・・な感じで回ってきてくれる?」といえば、忠実に守って回ってくるんです。それも実に正確に!ところがです!最後に常歩(なみあし)で1周して帰ってくると必ず出てくる台詞が

「全然ダメですね」

なんです。

「どうして?今日は良かったと思うけどね。」

「いや、ダメでした・・・」

と言って、どんなところが今日は良くなかったと私たちに話してくれます。

 自分に厳しいタダッキくん。現時点で満足しないんですね。悪かったところを探して、次回には修正を試みる。まあ、馬も生き物ですから日によって気分も違うわけで、なかなかうまくいかない。そんなところを見越して私たちは「よかったね」って言うんですけど・・・。

 私はどうだろう。自分に厳しく前を向いて歩いているだろうか?彼の言葉を聞きながら思うのでした。競走馬に乗るからには、妥協は許さない・・・そんな意気込みも伝わってくるような姿勢。皆さんは自分が迷ったり、壁にぶつかった時、どう立ち向かっていますか?簡単に諦めてしまうことはありませんか?私は恥かしいですけど、諦めてしまうことがよくあります。でも、今回彼と接することで感じたこと・・・たとえ納得のいくところにたどり着けなくても、とりあえず前に進んでみようか・・・。そんなことをタダッキくんに教えてもらったような気がします。

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 そんな、タダッキくんもめでたくきゅう舎へ入ることが決まりそうなんです。良かった、良かった。ということは、暫しのお別れということになります。寂しくなりますね。トレセンでもし彼が馬道で馬にまたがっている姿を見たら聞いてみよう。

「今日は、どうだった?」

 常磐の冬の馬場を優しく見つめる山茶花に見送られながら・・・また、一つの旅立ち・・・(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「今年の競馬も残り少なくなりました。常磐入きゅう受付は『もちろん!』31日までOKですので、1年の疲れを温泉で取りたいとお考えの馬の入きゅうお待ちしております!」

食事中です、お静かに・・・

 チモシー、オーチャード、アルファルファ、エンバク、フスマ、ペレット・・・さてさて、何のことだかわかりますか?

 実はこれらは競走馬の食べ物の名前。リハビリが終わって午後3時になると、みんな一斉に馬房から顔を出して、「僕のご飯まだかなあ・・・」「ヒヒン、ブルルル・・・」と大合唱!担当のきゅう務員さんは、「よしよし・・・」と声をかけながらエンバクやフスマの入った飼い葉桶をつるします。

・やったー、ご飯だ、さあ食べよう!

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 桶に顔を突っ込んで、夢中で食べております。食事中は静かに見守ります。「家族団らん和気あいあい、楽しくおしゃべりしながら食べないとおいしくないよね。」なんて、私たち人間の世界では言ったりしますが、馬の場合はちょっと違います。

・あっ、僕のご飯を横取りする気だな!

 食事中の様子ですが馬によっていろいろ・・・。中には近寄ると噛み付いてくる馬がいます。ある馬は、取られちゃ困ると思うのか、急いで噛まずに飲み込むものもいます。逆に食べるのをやめちゃう馬もいる・・・。彼らの胃はとても小さく出来ているので、物理的にたくさんの食べ物を消化できません。消化不良で胃を通過すると大きな腸のなかで動きが悪くなり、食べたものが溜まってくると、「疝痛」(ハライタ)という病気の原因になってしまう。だから、ゆっくりと時間をかけて食べてもらうために、あんまり見つめたり近寄ったりせず、普段どおりのきゅう舎作業を装いながら、食べる様子をそれとなく観察するようにしているんです。

・センイもしっかり取りましょう

 飼い葉桶に入っているものは、馬の大好物でありエネルギー源となるエンバク、腸の働きを助けるフスマ、そしてペレット状の複合飼料が中心です。それ以外に乾草を与えます。乾草にはセンイがいっぱい含まれているので、腸の動きをよくするために大切。きゅう務員さんは糞の状態や回数、量を観察して、馬の体調を知ります。食いしん坊くんや水をあまり飲まない馬、糞や尿のついた寝わらも食べる馬はおなかを壊しやすいので注意します。

・運動制限がある馬は難しい・・・

 さて、常磐特有のお話。元気に調教している馬、故障がなく放牧場で運動できる馬はいいのですが、常磐の馬はリハビリメニューにしたがって運動しているため、食事の調節がとても難しいんです。太りすぎは厳禁!肢の故障には体重をコントロールすることも重要です。だからといって、やせすぎも下痢をしたり・・・。運動の少ない馬は、腸の動きも悪くなりやすいですから、おなかに食べ物が溜まりやすく、便秘になりがち。そこで、整腸剤や下剤を混ぜて食べさせるんですけど、これがおいしくないのか食欲が落ちるもの、食べても痩せていくものなどがいる。リハビリの段階と馬の性格、馬の体質を考えた食事を考える・・・きゅう務員さんの腕と私たちのアドバイスをミックスさせて、心地よく常磐での生活を送ってもらおう・・・そんな風に思っているのですが、彼らには伝わっていないようで・・・「もっとたくさん食べさせろ!おれは腹ペコだよ!」なんて言いたそうな顔をしてこっちを見るんですよ・・・。辛いですね~。

・お行儀よく食べようね

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 見てください。一口食べるたびに桶を振り回して遊ぶものだから、下にいっぱいこぼれてる。もったいないなあ。こんな行動はストレスをためている可能性もあります。安心して食べてもらうには、どんな組み合わせで飼料を与えるのか?馬それぞれにあわせて、きゅう務員さんは頭をひねってるのです。

・他にも注意することがいっぱい・・・

 常磐では5時と15時の2回に分けて、馬の体調によっては3回以上に分けて与えるようにしています。とにかく決まった時間にリズムよく食べさせることが大切なんですね。他にも食べやすい高さに調節する、なるべく同じきゅう舎の馬は同時に与えていらいらさせないようにするなどなど・・・。そんなわけで、なかなか皆様にお食事の風景をご覧いただける機会は作れませんが、こんなところにも馬のデリケートな一面があることを知っていただけたらなあと思い今回ご紹介いたしました。(ASHI)

きゅう舎関係者の皆様へ「本日、毎年恒例の競走馬に関する調査研究発表会が東京で開催されました。その中で常磐におけるショックウエーブ治療の効果について発表しております。お問い合わせは常磐支所まで。入所馬受付中です。」

 

スタートライン

「それじゃ、行ってくるから」

 そんなことを言って、16歳の春に高校入学のため札幌へ出たのが、今から25年前になります。これから、一人でしっかりやっていかなければならない・・・慣れない土地での下宿生活。不安と寂しさ・・・今となっては遠い思い出です・・・。競走馬にもそれぞれのドラマがあります。母親から自立し、育成期間を経て調教を重ね、デビューに向けて慣れ親しんだ牧場に別れを告げ、トレセンに旅立つ。そして、順調に調教メニューを消化し、出走まもなくとなってきたところに、突然のアクシデント・・・。復活を目指し新たな旅立ち。その行き先は・・・。

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 今日もまた一頭の競走馬が常磐にやってきました。馬運車に揺られて、どこに連れて行かれるかわからない不安な気持ちで来るのでしょう・・・。着いたばかりの馬は落ち着きません。馬房から見える限られた景色を感じ取ろうとしているのか、遠くを見つめる姿を見ると、あの時の自分と重ねあわせて見てしまいます。

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 馬房のなかをクルクル回って、寝転がるものもいます。私たちは声をかけながら、馬体をひと通り観察して体温を測ります。脚元を見ると事前に報告を受けたとおり、検査の跡がくっきり残っていました。彼もまた出走を目前にして、残念ながらリハビリの道を進むこととなったのかと、すこし可哀想な気持ちになってしまうのでした・・・。しかし、何事も前向きに考えなければ・・・今日は新しいスタートラインに立った記念すべき日になったとも言えるのです。私たちと一緒に常磐での療養生活を楽しみ、リハビリをやっていこうね・・・って心の中で会話をするのでした。

 常磐は一つのスタートライン。決して悲観的になることはなく、希望を持っていく場所。

 皆さんは、どんなスタートラインに立とうとしていますか?人それぞれ・・・ですよね。機会があれば、常磐の馬たちを眺めに来てください。「スタートライン」に立つ人と馬で心の会話をしてみませんか・・・。

 常磐への入所は年中不定期に行われています。その数は50頭から80頭になります。トレセンから直接入きゅうするものと、トレセンで故障し放牧されたものが直接入きゅうしてくる場合があります(この場合は検疫を実施します)。いずれも調教師からの依頼によるもので、毎月頭数は異なります。

 運のいい方は、入所退所の場面に遭遇できるかもしれませんね!(ASHI)

「きゅう舎関係者へ・・・常磐のスタートラインに立たせたい競走馬大募集中です。連絡お待ちしております。」

もう一つの旅立ち

 最近の異常気象には本当に驚かされることばかりですね。竜巻なんて、外国でしか起こらないものと思っていたら、私の故郷である北海道でも起こるんですから・・・。子供の頃は地震と大雨が多い所に住んでいましたが・・・。今では全国各地でいろいろな災害が起こるからなあ・・・自然は怖いですよね。

 さて、湯治場日誌ではお馴染みの「旅立ち」シリーズ。競馬学校に合格し卒業していく若者たちの思い出話を綴るコーナーですが、こちらのブログでも書いていこうかなと思います。従来の「旅立ち」は日誌にとっておくことにして・・・こちらは「もう一つの旅立ち」です。

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 毎日、競走馬の世話をしながら、トレセンのきゅう務員を目指して勉強中の若者たち。その中の一人アオちゃんは、今年の4月に常磐に来たばかり・・・。実は彼、既に競馬学校を卒業し、きゅう舎に配属になる前に常磐に勉強をしに来ている・・・ちょっと他の人とは違う立場にあります。今までまじめに一所懸命取り組んできたアオちゃん。でも彼は一人で悩んでいたようで・・・。

 何度も書いてきている通り、ここ常磐は骨折や屈腱炎など一定期間リハビリが必要な馬ばかりがいる施設。自分の担当馬が決まって、その入きゅう直後は騎乗できないことがほとんど・・・。競走馬の騎乗を勉強するには少し制限があることは仕方がないことなんですね。でもその分、飼養管理や馬の病気のことを学ぶには良い勉強の場。乗れない分を補う意味合いで、これまでいろいろなことをアドバイスしていきました。

でも・・・馬には乗りたい。

 アオちゃんの担当してきた馬は数頭いますが、どの馬も短期間で出て行ってしまいました。不思議なことに、アオちゃんが一所懸命リハビリメニューどおりに担当馬の世話をして「さあ馬場入りだ!」と張り切ったとたん、退きゅうの連絡が来てしまうのです。(普通は順番に騎乗馬が回ってくるものなのですが、運がないのかなあ・・・。)これはきゅう舎の事情とリハビリの進み具合で今後どうするか決まることであり、その馬にとって一番良い方法を考えた上での結論ですから、復帰に向けて出て行くことはむしろ喜ばしいことです。実際アオちゃんの担当馬のなかには、メインレースに出走してる馬もいるわけですし・・・。ホント、どうしてアオちゃんに担当させるとこうなってしまうのかな、と私自身も申し訳なく思うほどでした・・・。

 今月に入って、アオちゃんは私のところに来ました。

「もう少し、競走馬に乗れる環境で腕を磨きたいです。」

「そうだね、それはいいことだと思うし、良い選択だと思うよ」

 私は、心の中では残念だなと思いました。もう少し、彼の騎乗ぶりも見てみたかったし、騎乗以外のことも、もっと教えてあげれば良かったな、と後悔しました。でも、アオちゃんの人生だ。自分のことは自分で決める!当然のことだ。自分で決めた方向にすすめるということは幸せかつ大事なことですよね!この決断がきっといい方向に向いてくれると私は信じています。

 アオちゃんは「外国に行くかもしれない」とのことでした・・・。遠いなあ。帰ってきたら、また元気な姿を見たいものです。きゅう舎の所属になって、パドックで会える日が来ることを心待ちにしています。環境の違うところに行くのですから、辛いこともあるでしょう。

私は、彼に一つ言葉を送りたいと思います。  

「それなりに!」

 いい加減にも聞こえるかな?(ちょっと自信がない・・・)「それなりに辛いことがあっても、それなりに自分のペースでやっていけば、それなりに何とかなる。」そんな気持ちを込めました。

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 ではでは、イングランド代表のヘルメットが似合うアオちゃん、またいつかどこかでお会いしましょう。(ASHI)

 きゅう舎関係者へお知らせコーナー

 「常磐も朝の気温が一桁台を観測するころとなりましたが、温泉はいつも暖かく、各馬リハビリに励んでおります。例年になく少ない在きゅう頭数で、入きゅうは即日OKです。皆様からの連絡お待ちしております!!」