活躍馬情報(事務局)

7月24日日曜日の福島2R(2歳未勝利)で、

日高育成牧場で育成されたフラワープレミア号が優勝しました。

同馬は本年4月に開催された

2016年JRAブリーズアップセールで取引されました。

今後の活躍を期待しております。

 

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7月24日 2回福島競馬8日目 第2R  2歳未勝利 芝 1,800m

フラワープレミア号(トミケンソリッドの14) 牡

【 厩舎:池上 昌弘 厩舎(美浦) 父:アンライバルド 】

活躍馬情報(事務局)

7月9日土曜日の中京6R(2歳新馬)で、

日高育成牧場で育成されたフォーカード号が優勝しました。

同馬は本年4月に開催された

2016年JRAブリーズアップセールで取引され、

この世代初の新馬勝ちとなりました。

今後の活躍を期待しております。

 

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7月9日 3回中京競馬3日目 第6R  2歳新馬 ダ 1,400m

フォーカード号(キングズラヴの14) 牡

【 厩舎:小崎 憲 厩舎(栗東) 父:サマーバード 】

活躍馬情報(事務局)

6月25日土曜日の阪神1R(2歳未勝利)で、

日高育成牧場で育成されたシゲルボブキャット号が優勝しました。

同馬は本年4月に開催された

2016年JRAブリーズアップセールで取引され、

2戦目での勝ち上がりとなりました。

なお、この勝利が同世代のJRA育成馬の初勝利となりました。

今後の活躍を期待しております。

 

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6月25日 3回阪神競馬7日目 第1R  2歳未勝利 芝 1,600m

シゲルボブキャット号(クィーンマーメイドの14) 牡

【 厩舎:坂口 正則 厩舎(栗東) 父:トビーズコーナー 】

育成馬ブログ 生産編⑩「その2」

人工哺乳の方法 ~躾の観点から~

 

人工乳を与える場合には、躾(しつけ)の観点から、

人間の関与を最小限にする工夫が必要になります。

あまりに熱心に与えた場合、

結果として子馬が人に危害を及ぼすリスクを生じることがあります。

 

子馬が、どこにいくにも人間についてきたり、

衣類を噛んだり、ぶつかってきたり、立ち上がったり、

乗っかったりするなどの行動は、

小さいうちは問題ありませんが、

大きくなった際にはきわめて危険です。

さらに、成馬になった時に、

人間をリスペクトせずに問題行動を起こすことがあります。

 

このことから、出産直後は哺乳瓶を使用せざるを得ませんが、

翌日以降はバケツから飲むように馴致を開始し、

できるだけ早く哺乳瓶の使用を終了させることが望まれます。

 

また、バケツから飲むようになったら、

馬房壁などに設置した飼い桶などから、

子馬自身が飲むようにさせることもできます(動画参照)。

 

また、早い時期からミルクペレットやクリープフィードなどの

固形飼料を食べさせてもよいでしょう。

 

3

                 人工哺乳は人間の関与を最小限にすることが重要

 

 

飼い桶からミルクを飲む子馬(Youtube)

  

これに加えて、

放牧地で他の複数組の母子と一緒に過ごす時間を

なるべく長くとりましょう。

 

子馬は群(むれ)の中で、

「馬としての社会性」を学習することができ、

結果として人間をリスペクトする性質を身につけることも可能となります。

  

4

子馬は群(むれ)の中で、「馬としての社会性」を学習する。

  

5

本年出産のJRAホームブレッド タキオンメーカーの16(父アルデバラン)

初産で乳房の発達が悪かったため、

出産直後は人工哺乳を併用しましたが、

母馬に大事に育てられ、順調に成長してます。

  

【ご意見・ご要望をお待ちしております】

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アドレス jra-ikusei@jra.go.jp

育成馬ブログ 生産編⑩「その1」

人工哺乳

 

母馬の死亡やフォールリジェクト(育子拒否)などによる孤子、

もしくは初産などでよく見られる母乳の分泌不全症などの場合には、

乳母もしくは人工哺乳が必要となります。

 

特に孤子の場合には、適切な馬体成長のみならず、

競走馬としての躾を考慮した場合にも、

乳母を用意することが最良の選択肢になります。

しかし、乳母が準備できるまでの間、

もしくは、人間の手だけで育てざるを得ない場合には、

人工哺乳を実施しなくてはなりません。

  

まずは初乳!!

 

人工哺乳が成功する最重要ポイントは

「十分量の初乳の投与」です。

良質な保存初乳を生後すぐに0.5~1リットル与えましょう。

以前のブログでも触れましたが、

良質な保存初乳がない場合には、

市販されている牛の初乳が利用可能です

(あくまで緊急用として利用してください)。

 

また、フォールリジェクトされた子馬が感染症にかかり、

死亡する話をよく聞きます。

おそらく、十分量の初乳を摂取していなかったのでしょう。

このため、「出産直後の哺乳行動」と「血中IgG濃度」の

ダブルチェックの確実な実施が望まれます。

  

馬用の人工乳

 

人工乳として、

市販されている馬用ミルクを使用することが推奨されます。

すぐに入手できない場合には、

牛乳で代用することもできます。

ただし、通常の牛乳は馬の母乳と比較して脂肪分が多く、

ラクトースが少ないことが知られています。

このため、低脂肪乳1リットルあたりに、

ブドウ糖20g添加したものを与えると良いでしょう。

 

2 

 

人工哺乳の量と回数

 

出産直後の子馬が必要とする母乳の量は体重の約10%ですが、

生後10日には体重の25~30%にまで達します。

そして、5週間を過ぎると体重の17~20%になります。

 

また、この時期の子馬の哺乳回数は、

1時間あたり約3回であり、比較的頻繁ですが、

人間が与える場合は、

生後1週間であれば1~2時間に1回、

2週齢以降は4~6時間に1回で良いでしょう。

 

1

  

成長の確認

 

子馬が十分量の母乳を摂取しているかどうか確認することは、

適切な成長のために重要です。

このためには、

定期的に計測する体重および体高の値は

極めて有用な指標になります。

2ヶ月齢までの子馬が十分量の母乳を摂取している場合、

1日あたりの体重増は1~2kg、

体高の伸びは0.3~0.4cmになります。

  

つづく

 

育成馬ブログ 生産編⑨

第12回JRAブリーズアップセールを終えて

 

本年のJRAブリーズアップセールも、上場馬全頭をご購買いただき、

盛況のうちに終了することができました。

 

この場を借りて、ご購買者の皆さま、

セールにご来場いただいた購買関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。

 

さて、当セールの魅力は、多くのご購買者にとって分かりやすい運営、

レポジトリー(医療情報公開)を通した市場の信頼性、

ご購買直後に即戦力となる鍛え上げられた上場馬など多々あります。

 

これらの魅力を維持、

向上させるために様々な部署の職員が一丸となって

当セールの運営にあたっています。

 

今回の育成馬ブログでは、

BUセール開始当初からその運営に携わり、

本年1月に56歳の若さで急逝された

故坂本浩治氏について触れたいと思います。

 

坂本氏は、昭和60年にJRAに入会し、

日高育成牧場での育成調教業務、

アイルランドにおける2年に及ぶ研修、

厩舎関係者や育成牧場関係者などに対する技術普及など、

JRAの生産育成業務に深く携わり、

我が国の強い馬づくりに対して長年に亘り尽力してきました。

 

また、セールに関しては、市場の透明性確保、

そして、馬に対する躾やトリミングなどを通して

お客様に馬を()せる(・・)姿勢にも強い信念を持って取り組んでいました。

                   

1

市場での購買検査風景 

トレードマークであったハンティング帽をかぶる坂本氏(右端)

  

2

坂本氏の馬に対するアフィニティ(親和性)やリーダーシップは、

多くのホースマンの心に深く刻まれた。

   

育成牧場の現場においては、

馬に対するアフィニティ(親和性)やリーダーシップなど、

アイルランドで学んだ技術や精神を日高育成牧場で実践し、

多くの人に伝えてきました。

 

この坂本氏の考え方に感化されたのは、

一緒に働いた我々JRA職員にとどまらず、

JRA調教師などの厩舎関係者、

民間育成牧場の関係者など枚挙にいとまがありません。

 

また、アイルランドのトップ・トレーナーのエイダン・オブライエン師も

「浩治は現在の私の厩舎における

馬の管理方法をいくつか確立していくうえで、

キーパーソンの1人でした」

と話すように、

欧米でも十分通用するホースマンであったともいえます。

 

これらの坂本氏の精神は、「JRA育成牧場管理指針」

http://jra.jp/ebook/ikusei/nichijo/#page=2)などの

普及冊子としてまとめられており、

現在も日高育成牧場のみならず、

多くの民間育成牧場スタッフのためのテキストブックとして、

若馬の騎乗馴致やセリ展示など多くの場面で活用されています。

  

3

民間牧場の関係者を対象とした講習会で講師を務める坂本氏

  

 

坂本氏が常日頃から願っていたのは「日本競馬の民度向上」でした。

 

ヨーロッパの大レースのパドックで見られる華やかな雰囲気、

正装して馬を引く厩舎関係者、

躾ができており、人を信頼し、指示に従って落ち着いて歩く出走馬。

  

日本競馬が、競走成績のみならず、

馬の取り扱いや関係者の服装などについても、

欧米の競馬先進国に追いつくことを願ってやみませんでした。

現在G1競走を中心に行われている「ベストターンドアウト賞」は、

その願いが形になったものの1つです。

 

4

ベストターンドアウト賞 審査の様子(平成28年 皐月賞)

  

このように,坂本氏の生涯は生産育成業務をとおして

我が国における強い馬づくり、

日本競馬の民度向上に捧げられたと言って過言ではありません。

 

国内外を問わず

多くのホースマンに大きな影響を与えてくれた

坂本氏の素晴らしい人生に感謝して,

心よりご冥福をお祈りします。

 

5

 

育成馬ブログ 生産編⑧「その3」

難産症例 -両臀部屈曲位(ドッグ・シッティング)-

 

前回までの説明を踏まえたうえで、

日高育成牧場で発生した難産症例について紹介します。

  

本症例は胎子の姿勢異常(両臀部屈曲位)により難産を呈しましたが、

病院への輸送タイミングを逸したため、残念ながら胎子が死亡した事例です。

 

なお、母馬は9歳のサラブレッドで産歴5頭、

これまでの出産では大きなトラブルは認められませんでした。

 

経過

14:00     放牧地にて陣痛を認めたため、集牧し馬房内で様子を見る。

15:00     破水するが尿膜水量は少なく、足胞は現れない。

15:50     再び尿膜水が排出される。羊膜が現れるが、直後に膣内に戻る。

5分後に羊膜が再度現れるが、胎子の蹄は確認できず。

その後も横臥と起立を繰り返すが娩出は進まない。

16:40     最終的に娩出できず、胎子は死亡。

          

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2回目の破水後に現れた羊膜(左)正常な足胞(右)

 

 

 

胎勢

 

本症例は、両臀部が屈曲するとともに、

後肢の蹄が骨盤上口に固定されている

「両臀部屈曲位(ドッグ・シッティング)」とよばれる異常胎勢でした(下図左)。

 

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両臀部屈曲位(ドッグ・シッティング)(左)分娩時の正常な胎子(右)

  

この場合、胎子の前半身のみが部分的に娩出されますが、

それ以降は怒責によっても娩出されません。

 

このため、本症例のように分娩に時間がかかっている場合は、

これを疑う必要があります。

なお、産道保護のため、

頭部、両前肢および胸部が正常に触知できたとしても、

無理な牽引は禁忌とされています。

  

多くの場合は、病院における全身麻酔下での仰臥位での整復

あるいは帝王切開が適応されます。

もし、胎子を子宮内に押し戻すことが可能であれば、

骨盤上口に固定された蹄をはずすことで整復できますが、

娩出動作によって産道に子馬がきつく押し込まれている場合には

極めて困難です。

 

ある調査によると、

両臀部屈曲位はのべ517回の分娩中に2回(発生率0.38%)

認められたということです。

  

本症例で認められた分娩時の異常所見をまとめます。

 

・破水後の尿膜水量が明らかに少ない。

・破水後から1時間近く羊膜が現れない。

・羊膜内に胎子の蹄が認められない。

・羊膜が現れた後も、スムーズに胎子が娩出されない。

  

これらのような分娩時の進行停滞や異常所見が認められた場合には、

躊躇せずに病院へ輸送すべきです。

  

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育成馬ブログ 生産編⑧「その2」

正常分娩の進行

 

では、正常分娩の進行について具体的に説明します。

  

①陣痛症状の発現

 

陣痛は疼痛程度や持続時間に個体差があり、

分娩の数日前から兆候が断続的に認められることや、

数日間の間隔が空くことも珍しくありません。

 

しかし、著しい疼痛や不穏な状態が、

長時間にわたり持続するにも関わらず破水が認められない場合には、

何らかの異常があると考えるべきです。

  

②破水

 

正常分娩と難産を見極めるうえでの重要なポイントは破水です。

破水とは、

胎子を包んでいる二重の膜の外側である

尿膜絨毛膜の破裂にともなう尿膜水の排出です。

 

2

                        

前述したように、明瞭な陣痛症状が

長時間継続しているにも関わらず破水が認められない場合、

破水から5分を経過しても足胞が出現しない場合にも

何らかの異常があると考えられます。

 

なお、破水後には膣内の胎子の状態を確認します。

正常であれば、触知によって蹄底を下向きに伸展した両前肢と鼻端を

確認することができます(下図)。 

3

破水直後の胎子の様子

正常姿勢の場合、蹄底を下向きに伸展した両前肢と鼻端を触知することができる

  

なお、陣痛発現から破水まで、

子宮内の胎子は図Ⅰから図Ⅳのように

母馬の背中に対して仰向けの状態から回転しながら膣外口に向かいます。

 

多くの場合、図Ⅳの姿勢で破水を迎えますが、

まれに図Ⅱや図Ⅲの状態で破水することがあります。

これらの場合、

蹄底が上向きもしくは横向きの状態で触知されることがありますが、

心配いりません。

母馬の起立と横臥の繰りかえしや、

馬房内での常歩運動により自然に正常な姿勢に至ります。

 

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③足胞の出現

 

破水から5分以内に足胞が出現します。

正常な羊膜は白っぽく、滑らかで光沢があり、羊膜中の羊水は透明です(写真)。

以下の場合は異常ですので注意してください。

 

・破水から5分以内に足胞が認められない。

・羊膜内に胎子の蹄が認められない。

・羊膜が肥厚している。

・羊水が緑~茶色に混濁している。

・羊膜ではなく尿膜絨毛膜の赤い胎盤(レッドバック)が認められる。

 

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足胞の出現 このときに羊膜および羊水の色調などを確認する。

 

 

④娩出

 

娩出の際、頻繁に寝返りを打ったり、

横臥と起立を繰り返したりすることも少なくありませんが、

著しい場合は何らかの異常が発生している可能性があります。

 

 

2016JRAブリーズアップセール関連情報(事務局)

 

○ブリーズアップセール台付価格の公表について

以下の通り、ブリーズアップセール上場各馬の台付価格を決定いたしました。

ご確認いただき、購買のご検討にお役立てください。

2016JRAブリーズアップセール台付価格表

育成馬ブログ 生産編⑧「その1」

難産 ―病院へ連れていく決断―

 

出産シーズンの生産牧場において、

子馬が無事に産まれてくることが何よりであることは言うまでもありません。

しかし、人為的介助を必要としない正常分娩はおよそ9割と言われており、

残りの1割は何らかの対応や処置が必要となります。

 

 

特に分娩時の胎子の異常に起因する難産に対しては、

正確かつ迅速な判断が求められます。

 

なかでも最も重要なジャッジは「病院への輸送」です。

ここでいう病院とは、「二次診療施設」、

すなわち全身麻酔下での整復および帝王切開が可能な病院を指します。

 

病院に連れていく判断、

つまり「牧場現場での整復が不可能であると判断」するうえで重要なことは

「正常分娩との違い」を見極めることです。

  

正常分娩では、

   ①陣痛症状の発現

→②破水

→③足胞(羊膜に包まれた胎子の蹄)の出現

→④娩出

がスムーズに進みます(下図)。

 

これに反して、①から④の進行がスムーズではなく、

いずれかのポイントで停滞した場合には、何らかの異常が疑われるため、

獣医師による整復や病院への輸送を考慮すべきです。

  

分娩に際しては、時間経過の把握も極めて重要です。

一般的には、②破水から③足胞の出現までは5分以内、

②破水から④娩出までの時間は20~30分程度ですが、

いずれも個体差がみられます(下図)。

 

特に娩出までの時間は、

経産馬では出産を重ねる毎に時間が短縮される傾向がみられ、

5分間程度で終了する場合もある一方、

初産馬は時間を要することが多いようです。

 

なお、破水から40分を経過しても胎子が娩出されない場合は、

胎子の生死に関わる可能性があります。

獣医師の到着や病院への輸送時間を考慮した場合、

できるだけ早い段階で異常兆候を把握して、

正確な判断を下す必要があります。

  

以上のことから、正常分娩で認められる

①陣痛→②破水→③足胞出現→④娩出までの進行にスムーズさを欠き、

経過時間の著しい延長が認められた場合には、

病院への輸送を決断するべきです。

 

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