活躍馬情報(事務局)

12月3日日曜日の阪神9R(万両賞)で、

宮崎育成牧場で育成されたヒシコスマー号が、

最後方から鋭い脚で全頭抜き去り、2勝目をあげました。

本年売却馬で初めての2勝馬となります。

 

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12月3日 5回阪神競馬2日目 第9R  万両賞 芝 1,400m

ヒシコスマー号(コスマグレースの15) 牡

【 厩舎:清水 久詞 厩舎(栗東) 父:ブラックタイド 】

 

今後のさらなる活躍を期待しております。

育成馬ブログ 宮崎③

●期待馬の紹介(マイネカプリースの16)(宮崎)

 

11月上旬までは日中に暑いと感じることもあった南国宮崎でも、

11月中旬以降は最低気温が10℃を下回る日も散見されるようになり、

冬を迎えようとしています。

気温の低下に伴い、育成馬も夜間放牧を終了し、

昼放牧に管理方法を変更しています。

冬を迎えつつあるとはいえ、日中は暖かいと感じる日も多く、

育成馬達は調教後には、

放牧地あるいはパドックでの1~2時間の放牧によって

調教の疲れを癒しています。

 

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写真① パドック放牧でリラックスする

ガルネリの16(牡 父:ロージズインメイ)

 

○育成馬の近況

 

宮崎育成牧場所属のJRA育成馬の近況をお伝えいたします。

9月上旬から騎乗馴致を開始している1群(牡馬10頭)は、

角馬場でのウォーミングアップ、

500mトラック馬場でのハッキングを実施し、

その後1600mトラック馬場に場所を変えて、

一列縦隊で1600m、そして二列縦隊で1600m、

合計3200mのキャンターを実施しています。

スピードはハロン24秒程度とゆっくりとしたキャンターですが、

年内は落ち着いて真っ直ぐ走行させることを主眼に置いて

調教を進めていきたいと考えています。

 

一方、10月上旬から騎乗馴致を開始している2群(牝馬12頭)は、

牡同様に角馬場でのウォーミングアップ、

500mトラック馬場でのハッキングを実施し、

その後1600mトラック馬場において、

一列縦隊で1200m、そして二列縦隊で1600m、

合計2800mのキャンターを実施しています。

スピードはハロン26秒程度と牡よりもスピードを抑えています。

 

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写真② 1600m馬場での調教風景(左:牡、右:牝)。

年内は落ち着いて真っ直ぐ走行させることを主眼に置いて

調教を進めていきます。

 

○マイネカプリースの16

 

さて、今回は本年の宮崎育成牧場繋養馬のなかでも、

兄がG1タイトルを獲得している期待馬を紹介させていただきます。

その馬の名前は「マイネカプリースの16」です。

 

ご存じのように、

育成馬は母馬の名前に生まれた年代をつけた名前で管理され、

この馬であれば、

「マイネカプリース」という馬の2016年産駒ということになります。

馬は単胎動物で1年に1頭の出産が一般的であるため、

競走馬として馬名登録が完了するまでの育成期には、

このような仮の名前で管理されるのが通例となっています。

 

本題に戻りますが、

本馬の兄は2014年のスプリンターズS(G1)を制し、

現在も短距離路線で活躍中の

スノードラゴン(父:アドマイヤコジーン)です。

父はクロフネと異父兄妹になりますが、兄同様に芦毛であり、

当場にG1馬の弟妹が入厩することはほとんどないことからも

期待が高まります。

 

本馬は7月のHBAセレクションセールにおいて756万円で購買し、

7月下旬に宮崎育成牧場に入厩しました。

騎乗馴致を開始した10月上旬までの約2か月間は、

夜間放牧管理で宮崎の環境に慣らすとともに成長を待ちました。

その甲斐あって、入厩時に400kgであった体重は、

10月上旬には430kgにまで増加し、

一回り大きくなった印象を受けました。

 

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写真③ マイネカプリースの16のセリ上場前の6月(左)と

入厩後の9月(右)の写真の比較。

入厩後約2ヶ月で体重は30kgも増加しました。

 

入厩時には馬房に入るのを嫌い、引き運動時にも突然停止し、

前進しなくなるということも多々あり、

少し頑固な性格ではないかと心配しました。

しかし、騎乗馴致を開始すると、初日から停止の合図を理解し、

腹帯や臀部へのレーンの刺激にも過度な反応はなく、

ドライビングから騎乗まで順調に進み、

非常に理解力のある賢い馬だということが分かりました。

 

マイネカプリースの16の初期馴致動画

 

現在は、柔軟性に富んだストライドの大きなキャンターを見せており、

当場に入厩した当初よりも期待が膨らんでおります。

BUセールでも注目の1頭となるように

トレーニングを積んでいきたいと思いますので、ご期待ください。

 

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写真④ 放牧地での各個騎乗において

騎乗者の指示に従順なマイネカプリースの16

活躍馬情報(事務局)

11月11日土曜日の福島3R(2歳未勝利)で、

日高育成牧場で育成されたベルウッドキング号が、

ゴール直前で見事に差し切り、うれしい初勝利をあげました。

 

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11月11日 3回福島競馬3日目 第3R  2歳未勝利 芝 1,200m

ベルウッドキング号(アズマガールの15) 牡

【 厩舎:和田 雄二 厩舎(美浦) 父:バゴ 】

 

今後の活躍を期待しております。

育成馬ブログ 生産編④(その2)

●分娩と交配(種付)

 

○馬房に子馬を置いていく種付

 

種付は、子馬を馬房内に置いて、

母馬のみ馬運車に載せ種馬場に連れて行くというスタイルでした(図3)。

この際、牧場のスタッフは種付には立ち会わず、

輸送業者が母馬を預かって連れて行くのが一般的でした。

 

この方法で必ず注意しなくてはならないのが、

帰厩時に興奮した母馬が子馬を蹴ってしまうことがあるため(動画参照)、

最初の授乳までは母馬を保定すべきだということです。

 

なお、ケンタッキーには牧場が密集しており、

どの種馬場に行くにも母馬が出発してから帰厩するまで

1.5から2時間で戻ることができる環境でした。

 

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図3 種付は子馬を馬房内に置いて、輸送業者が母馬のみ種馬場に連れて行く

 

参考動画 種付けからの帰厩後にパニックになる母馬(JRA日高育成牧場)

 

 

○妊娠鑑定

 

妊娠鑑定は交配14日後、28日後、60日後に行われ、

さらに分娩予定日の1ヶ月前にも検査されていました(図4)。

 

初回である交配14日後の検査では胚の有無が確認され、

双胎が認められれば破砕が行われていました。

交配28日後の検査でも胚の生存を確認するとともに、

14日後および28日後にはエコー検査と併せて採血が行われ、

血中の黄体ホルモン濃度(=プロジェステロン濃度、P4レベル)が

測定されていました。

その結果、4ng/ml以下であれば

プロジェステロン製剤のレギュメイトの投与が

分娩1ヶ月前まで続けられるなど、

早期胚死滅の予防策がとられていました。

 

交配60日後の検査では、胎子の雌雄鑑別が、

分娩予定日の1ヶ月前には胎盤炎の兆候の有無を確認していました。

 

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図4 妊娠鑑定ではプロジェステロン濃度の測定と雌雄鑑別が行われる

 

次回は当歳馬の飼養管理について述べたいと思います。

育成馬ブログ 生産編④(その1)

前回から引き続き「ケンタッキーの馬産」について

紹介していきたいと思います。

今回は、分娩と交配(種付)についてお話します。

 

●分娩と交配(種付)

 

○分娩時の流れ

 

ダービーダンファームでの分娩時の流れを図1にまとめました。

まず、破水したら5m×5m程度の分娩用の広い馬房に繁殖牝馬を移します。

次に、マネージャーが産道内に手を入れて子宮内の胎子の姿勢を確認します。

そして、母馬のいきみに合わせて、子馬を牽引します。

牽引は3人で行われ、それぞれ胎子の頭、左前肢、右前肢を担当します。

子馬が娩出され臍帯が切れた後、

クリップで止血しクロルヘキシジンなどで消毒します。

母馬に鎮痛剤であるバナミンのペースト製剤を投与し、

後産をヒモで縛ります。

子馬全頭に浣腸をします。

母馬の乳汁をしぼり、Brix値をチェックします。

この時、Brix値が20より低ければ

冷凍保存してあるストック初乳を子馬に与えます。

 

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図1 分娩時の流れ

 

○積極的な分娩介助と米国での分娩の考え方

 

米国ではどこの牧場でも分娩時に積極的な介助がなされていました。

この背景には、ヒトの女性に無痛分娩が普及しており、産休が短く、

すぐに仕事復帰するという習慣が影響していると考えられました。

すなわち、馬もなるべくお産を軽くして、

早く次の妊娠に備えるという考え方がなされていました。

 

これは、現在JRAが推奨している

なるべく分娩介助しない“自然分娩”とは異なる考え方でした。

デメリットとして、子宮など産道の損傷、子馬の肋骨骨折、育児拒否などが

挙げられ、特に子馬の肋骨骨折は多い印象を受けました。

 

○交配(種付)適期の判断

 

交配適期の判断のために、獣医師が牧場に往診に来て、

馬房で直腸検査を始めとする検査が実施されていました。

観察する項目は日本と同じく、

エコー検査で卵胞の大きさと成長度合および子宮の浮腫を確認し、

膣検査で子宮外口の軟化を確認していました(図2)。

そして、交配の24時間前に排卵誘発剤のデスロレリンを投与し、

種付に向かっていました。

 

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図2 交配(種付)適期は獣医師が往診で卵巣と子宮を検査し判断する

 

(つづく)

強い馬づくりのための生産育成技術講座2017のご案内

強い馬づくりのための生産育成技術講座2017

 

JRA日高育成牧場は、競走馬の生産育成にたずさわる皆様への

情報提供・技術普及を目的とした

強い馬づくりのための生産育成技術講座2017 」を

下記日程で開催いたします。

 

事前申し込みは不要、入場無料でご参加いただけますので、

多くの皆様のご来場をお待ちしております。

 

開催日時および場所:

① 平成29年11月14日(火) 18:00-20:00

日高町 門別総合町民センター・大集会室2F

② 平成29年11月21日(火) 18:00-20:00

浦河町 浦河総合文化会館・文化ホール4F

 

講演内容:

・ 『子馬の運動と休息行動』

村瀬晴崇 (JRA日高育成牧場 生産育成研究室)

・ 『装蹄師から見た馬の蹄管理 ~育成馬から繁殖牝馬まで~』

竹田和正 (JRA日高育成牧場 専門役)

 

司会進行:

羽田哲朗 (JRA日高育成牧場 生産育成研究室)

日高軽種馬生産振興会青年部連合会

 

【主催】

JRA日高育成牧場

日高軽種馬生産振興会青年部連合会

 

【後援】

日高軽種馬農業協同組合

 

【お問い合わせ】

JRA日高育成牧場 生産育成研究室

TEL:0146-28-2084(土・日・祝除く9:00~17:00)

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活躍馬情報(事務局)

10月29日日曜日の東京1R(2歳未勝利)で、

日高育成牧場で育成されたビレッジキング号が、

好スタートから先手を奪ってそのまま押し切り、

6戦目での待望の初勝利となりました。

 

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10月29日 4回東京競馬9日目 第1R  2歳未勝利 ダ 1,400m

ビレッジキング号(スパイシーソースの15) 牡

【 厩舎:土田 稔 厩舎(美浦) 父:キングヘイロー 】

 

さらに、同日の東京4R(2歳新馬)では、

宮崎育成牧場で育成されたヒシコスマー号が、

最後の直線で大外から見事に差し切り、初戦での初勝利となりました。

 

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10月29日 4回東京競馬9日目 第4R  2歳新馬 芝 1,400m

ヒシコスマー号(コスマグレースの15) 牡

【 厩舎:清水 久詞 厩舎(栗東) 父:ブラックタイド 】

 

今後の活躍を期待しております。

育成馬ブログ 日高③

●育成馬のデンタルケアについて ~狼歯~

 

北海道は徐々に気温が低くなってきており、

秋の訪れとともに冬の気配も感じられます。

9月上旬から馴致を始めた育成馬の牡馬は騎乗馴致も終わり、

集団でのキャンター調教を始めています。

一方で、牝馬は10月上旬から騎乗馴致を始め、

現在はダブルレーンによるドライビングを中心に行っています。

 

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騎乗調教(牡)の風景

 

さて、今回は騎乗馴致の準備として大事な

デンタルケア「狼歯の抜去」について、ご紹介します。

 

 

○「狼歯」とは?

 

第1前臼歯の別名です。

馬の進化の過程で退化した歯で、

ハミが収まる部分に生えています(図・写真1)。

ここにハミが当たると痛みを感じるため、

口向きが悪くなる原因となります。

このことからJRA育成馬では馴致が始まる前に全頭抜歯しています。

 

Photo_2狼歯(図) A:狼歯 B:犬歯

 

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馬の左狼歯(写真1)

 

海外の教科書では牡馬の14.9%、

牝馬の24.4%に狼歯が萌出すると書かれています。

本年のJRA育成馬においても、

確かに牡馬(27頭中19頭萌出)より

牝馬(30頭中27頭萌出)に多く認められました。

一方、教科書とJRA育成馬との萌出割合は大きく異なっていますが、

調査年齢や品種に違いがあるのかもしれません。

 

狼歯には太い歯や細く小さい歯、

埋没している歯など様々な形態のものが認められます。

写真2は同じ馬から抜歯した左右の狼歯です。

大きさ、形も左右で異なっているのが分かります。

ほとんどの馬が上顎に生えていますが、

まれに下顎にも生えていることもあります。

 

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抜去した狼歯(写真2)

 

狼歯には歯根がなく、歯肉との結合がゆるいため、

比較的容易に抜去出来ます。

抜歯後の縫合などは必要なく、歯肉は1週間で治癒します。

抜歯する際には、写真3のような先端が円形や半円形の道具を使います。

抜歯の最中で狼歯が折れて根元が一部残ることもありますが、

その後に問題になることはありません。

(もちろん全て取りきることがベストです。)

 

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抜歯の道具(写真3)

 

狼歯を抜去後は、臼歯の尖っている部分を鑢(ヤスリ)で整えていきます。

これで騎乗馴致の準備「狼歯」+整歯が終了です。

これで馬がハミをより快適に受け入れられる環境になり、

スムーズに騎乗馴致が進みます。

育成馬ブログ 宮崎②

●雨天時の夜間放牧が馬体重に及ぼす影響(宮崎)

 

○育成馬の近況

 

2群に分けて騎乗馴致を進めている育成馬の近況をお伝えいたします。

9月上旬から騎乗馴致を開始している1群(牡馬10頭)は、

最初の3週間はドライビング中心に馴致メニューを組み、

現在は500m馬場において速歩および

ハッキング程度を行えるまでになっています。

11月からは1600m馬場でのキャンター調教を実施する予定です。

 

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写真① 500m馬場で隊列を整えた速歩を実施する1群牡の育成馬

 

1群牡のドライビング動画

  

一方、10月上旬から騎乗馴致を開始している2群(牝馬12頭)は、

ドライビングを開始したところです。

11月からは角馬場において集団での速歩調教を開始する予定です。

 

○夜間放牧の1歳馬を襲った豪雨

 

馬を管理していると、雨や雪などの悪天候時に放牧すべきか

舎飼いにすべきか頭を悩ます時があります。

予報とは異なって、夜中に雨が屋根を襲う音で目覚め、

放牧している馬を集牧した経験をお持ちの方も

少なくないのではと思われます。

今回は天気予報と大幅に異なる豪雨に見舞われた際に、

夜間放牧を実施していた馬の体重の変化について触れてみたいと思います。

 

事の経緯は、日本列島に甚大な被害を及ぼした台風18号が

9月17日朝に宮崎に直撃するという予報、

および15日夕方から16日朝までの降雨量は

最大で10mm/h未満という予報を鑑みて、降雨量はいくらか多いが、

48時間の馬房内管理となることは回避すべきとの判断を下し、

15日夕方から夜間放牧を実施したことから始まりました。

 

しかし、上記の予報に反して、

台風18号が秋雨前線を刺激した影響を受け、

15日23時以降から降水量が10mm/hを超え、

16日6時には最大となる34mm/hの豪雨を認めました。

なお、16日0時からの1時間あたりの降水量は下図のとおりであり、

放牧中の総雨量は約250mmに達しました。

 

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図① 9月16日未明から午前中の降水量

(日本気象協会 tenki.jp より)

 

6時の時点において、目視で全馬の異常を認めなかったこと、

また、激しい豪雨および放牧地から厩舎への馬道が冠水しており、

人馬の安全を考えた場合には集牧可能な状況でなかったこと、

さらに前日の13時に馬体重測定を実施していたことから、

豪雨時の放牧が馬体重に及ぼす影響を把握するため、

集牧を前日の馬体重測定時刻である13時に行い、

馬体重を測定することとしました。

 

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写真② 豪雨による馬場および馬道の冠水

 

○豪雨により馬体重は減ったか?

 

放牧前後において馬体重の減少を認めたのは1頭のみ(-1kg)であり、

その他の21頭は増加を認め、

そのうち4頭(牡牝それぞれ2頭)は10kg以上増加していました。

平均増加量は6.6kg(牡:6.4kg、牝:6.8kg)でした。

なお、集牧直後の体温については39.5℃が最も高く、

5頭が39℃を超えており、これらは全て牝馬でした。

これらの馬は治療することなく、翌日には平熱に復しました。

 

体重増加の原因は不明ですが、集牧の1時間前には雨は止んでいたため、

測定時には馬体はほぼ乾いており、

汗コキを用いて水分を取り除くことは困難な状態であったことから、

体重増加が馬体に含まれた水分に起因することは否定されました。

GPSを装着していなかったために推測の域を出ませんが、

豪雨のために放牧地での運動量が大幅に減少したため、

エネルギー消費が減少したことが原因の一つとして挙げられます。

その他、体重測定の直前まで青草を摂取していたために

水分摂取量が増加したこと、また牡に関しては、

馴致を実施しなかったことも一因であるものと推測されます。

 

事前に総雨量が250mmにも達することが分かっていれば、

必ず舎飼いを行っている程、

また夜中も集牧すべきではないかと自問自答する程の豪雨であったため、

体力消耗に伴って体重が減少しているものと推測していましたが、

ほとんどの馬が増加する結果となりました。

馬は元来、草原で暮らす動物であるため、

夜間放牧の環境に慣れさえすれば、

降雨による影響は私たちが想像しているほどではないのかもしれません。

 

そういえば、アイルランドでの研修中に、

昼夜放牧を実施している馬の管理の秘訣は、

馬体の油を落とさないことであり、

そのためにシャンプーはもちろん真冬でも

お湯で馬体を洗浄することは避けなければならず、

馬の手入れの基本はブラッシングであるといわれたことを思い出しました。

私達が馬のために良かれと思って実施している

シャンプーやお湯での洗浄は、

実は馬の自然の抵抗力を減退させているのかもしれません。

セリで美しい馬体の馬ほど、購買後に夜間放牧を実施すると、

皮膚炎を発症しやすいということも関係があるのかもしれません。

 

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写真③ 夜間放牧管理では馬体の油が不可欠なのかもしれません

(写真はアイルランドの夜間放牧の様子)

育成馬ブログ 生産編③(その2)

●繁殖牝馬の飼養管理

 

○分娩前の運動(GPSを用いた調査)

 

ケンタッキーでは分娩前に繁殖牝馬が放牧地内をどのくらい運動しているか、

GPS装置を使って調査してみました(図3)。

その結果、24時間放牧の群では、

移動距離が1日7.6km程度であったのに対し、

昼放牧群では2.4km程度まで移動距離が減少しました(中央値)。

 

参考までにJRA日高育成牧場では

昼放牧時の移動距離は2.5km程度とケンタッキーと同等ですが、

ウォーキングマシンを使用した運動でさらに2.5km程度常歩しているため、

合計では5.0km程度歩いているという計算になります。

 

次回詳しく述べますが、米国では分娩時に積極的に介助するため、

分娩前に運動を負荷して筋肉を維持しておくという考えには

至らないのかもしれません。

反対にJRA日高育成牧場では

分娩時になるべくヒトが介助しない“自然分娩”を推奨しているため、

運動を負荷して分娩時に必要な筋肉を維持しています。

 

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図3 分娩前の運動(GPSを用いた調査)

 

○繁殖牝馬の飼葉

 

繁殖牝馬の飼葉は、

タンパク質が14%の大粒のペレットが使用されていました。

詳しい成分については図4に示したとおりです。

朝と夕方の1日2回4ポンド、約1.8kgこのペレットを与えるのが基本で、

繁殖牝馬のボディコンディションスコアに応じて量を増減させていました。

 

分娩後の3日間はふすま、スイートフィード、コーン油を混ぜて

お湯でふやかしたブランマッシュを与えていました。

 

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図4 繁殖牝馬の飼葉

 

次回は分娩と交配(種付)について述べたいと思います。