26-27育成馬ブログ(繁殖①)

ホームブレッド当歳馬の近況について

 10月に入り、日高育成牧場のある浦河町もだいぶ涼しくなりました。朝夕は気温10度を下回る日もあり、そろそろ長袖が必要な気候となってきています。道内の一部山頂では初冠雪が観測されたとのこと。短い秋の後の冬の到来を感じさせる季節となっています。

 日高育成牧場の本年の当歳馬7頭(以下一覧表を参照)は、すでに一大イベントである離乳を完了しました。例年通り、馬群から少しずつ母馬を引き離していく「間引き法」により離乳を行い、大きなトラブルなく済ませることができました。

1_8※馬体重は10/5現在

 

 離乳した後の当歳馬群には例年リードホースを同居させています。今年はリードホース未経験の牝馬アイハヴアジョイを抜擢したのですが、非常に面倒見がよく当歳馬達の精神的安定に貢献してくれました。
リードホースはどの馬でも務められるというわけではなく、適性が必要です。その年に出産していない経産馬であり、性格が温和で攻撃性が低く、自身の子ではない子馬とも馴染める馬が適していると考えられます。アイハヴアジョイは昨年出産したのですが、同じパドックにいた他の牝馬の子馬にも授乳するなどの行動が見られたので、適性を見込み抜擢したところ、うまく当歳馬達をリードしてくれました。

Photo リードホース(中央)と共に草を食む当歳馬達

 さて、現在のところ、当歳馬たちは昼夜放牧管理(13:00~8:00の19時間)をされながら元気に育っています。特別小さな馬もおらず、昨年よりもさらに馬格のしっかりした馬が多い印象です。代表して2頭の現在の様子をご紹介します。

・ブレシッドサイレンス2026
 母は米国キーンランドノベンバーセールで2018年に購買した輸入馬で、現役時代は1,700mのG3で2着があります。
 父のダノンプレミアムはディープインパクト産駒で軽いスピードもありますが、競走時代で500kgを超える馬格もあり、一流マイラーらしくパワフルな馬体の馬です。
本馬は、JRAにおける民間種馬場種付け実施初年度となる馬の一頭です。現在のところ父に似たしっかりとした体格で、標準以上のサイズに育ってくれています。やや気性が強く、特に離乳直後に取り扱いが難しくなる時期もありましたが、現在は落ち着いて人の指示を受け入れるようになっています。

2026 ブレシッドサイレンス2026

・ラキュストル2026
 この母も米国キーンランドノベンバーセールで2019年に購買した輸入馬です。現役時代は英国のAW2,000mで勝利し、米国移籍後は芝2,400mのリステッド競走3着など中距離で実績がありました。
 父はJBBA繋養種牡馬のカラヴァッジオです。同馬は英・愛のスプリントG1を2勝した快速馬で、産駒のアグリも阪急杯を勝つなど短距離で活躍しました。馬格は大きくありませんがバランスが非常に良く、スピード馬らしく筋肉質な身体をしています。
 本馬もサイズは他の当歳に比べて小さめですが、コンパクトでバランスの優れた体型をしています。母の産駒はややスピード不足の馬が多く出る傾向にありましたが、本馬は動きが柔らかく俊敏で、父から良いスピード能力を受け継いでいるように見えます。

2026_2 ラキュストル2026


 広い放牧地での昼夜放牧を通して馬体の成長を促しつつ、人と馬との一対一の関係性を作るためにブルーシート通過などの馴致を開始しています(2025年本ブログ参照:https://blog.jra.jp/.s/ikusei/2025/10/2526-2ba7.html )。強い馬、そして扱いやすい馬に育ってくれるよう、今後も注意深く育成していきます。

26-27育成馬ブログ(宮崎①)

安全な調教のための馬場整備

疾病発症の要因となる馬場状態
 本年もセリで購買した育成馬たちが入厩してきました。これから騎乗馴致を開始し、競走馬に向けてのトレーニングを進めていきます(写真1)。競走馬として活躍することを目指して徐々に強い調教負荷をかけていきますが、調教を行う中で避けられないこととして、馬の怪我があげられます。人間のアスリートでも同様ですが、調教強度と怪我の発症率は比例の関係にあり、調教強度を上げると(運動負荷が上がると)どうしても怪我を発症するリスクも上がってしまいます。

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写真1 ランジングを行うプリズマティコ2025              

これから調教負荷が徐々に増加していく

 怪我を防止するためにはいくつかの方策があり、ウォーミングアップ(準備運動)やクーリングダウン(調教後の運動)を念入りに実施することや調教後の馬体のケア(肢の水冷や筋肉痛への物理療法)などがありますが、適切な馬場整備も非常に重要です。今回は宮崎育成牧場での馬場整備についてご紹介します。

ダートコースの砂厚調整
 宮崎育成牧場にはウォーミングアップの場所として使用している500m周回馬場と強調教実施時に使用している1600m周回馬場があります。各周回馬場はダートコースであり、調教終了後にハローと呼ばれる器具(写真2)を用いて整地し管理を行っています。ハローによる馬場整備は、競馬場でのレース間にも実施しており、ご覧になったことがある方もいると思います。

Photo_2 写真2 ダート馬場整備に用いる爪ハロー
  爪ハローによって馬場の蹄跡を整地することができる

 日常的な馬場管理はハローで十分ですが、調教時に馬が同じ場所を通ることで、馬場の場所によっては砂厚に差が出てしまいます。例えば、500m周回馬場においては、走路の真ん中を通って騎乗することを指示しており(写真3)、その結果として走路の中央部分の砂厚が極端に薄くなってしまいます(表1)。表で示した時点の砂厚測定では、平均値で走路の内側で8.4cm、走路の真ん中で3.9cm、走路の外側で12.0cmという結果でした。明らかに走路の真ん中の砂厚が薄くなっている様子がお分かりいただけると思います。また、地点ごとでも砂厚が大きく異なっていることも問題となり、それらの要因によって、馬が躓いたりミスステップをしたりすることが疾病発症の原因となります。

Photo_3 写真3 500m周回馬場では走路の真ん中を走行
この結果として馬場の中央の砂厚が薄くなってしまう

 このような砂厚の不均衡を改善するためには、モーターグレーダーやレベルハローといった専用の重機や機材による調整が必要となります。宮崎育成牧場では、育成馬の調教が始まる前に500m周回馬場と1600m周回馬場の砂厚調整を行っています。砂厚調整には専門の知識と技術が必要なことから、外部業者に作業を委託するため、費用がかかってしまいますが、育成馬の安全のためには不可欠な作業であると考えています。

砂厚調整と運動器疾患発症
 宮崎育成牧場における過去3年間の1週間以上の休養を要した疾病発症頭数を図1に示します。年によってばらつきはあるものの、調教を進めるにつれて疾病発症頭数が増えていることが分かります。当然、調教負荷の増加に比例して疾病発症が増加しているという要因が大きいと考えますが、砂厚調整の効果により疾病発症が抑えられているとも考えております。つまり、馬場状態が良く調教負荷の軽い9月~11月は疾病発症が少なく維持できていると思われます。今後も安全な調教が行える取り組みを進め、何かトピックがあればご紹介していきたいと思います。

表1 500m周回馬場の砂厚Photo_4

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図1 過去3年間の1週間以上の休養を要する疾病発症頭数
   馬場状態が良く調教負荷の軽い9月~11月は疾病発症が少ない



宮崎育成牧場のインスタグラムのご紹介
 宮崎育成牧場では、公式のインスタグラムを運用しており、様々なイベント情報やJRA育成馬に関する育成馬情報を随時更新しています。興味のある方はぜひともご覧ください。

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活躍馬情報(事務局)

horse活躍馬情報horse(事務局)

 9月19日(土曜) 4回阪神5日4R 第28回阪神ジャンプステークス(J・GⅢ) オオキニ号(育成:宮崎)が勝利しましたsign01

_20260919s オオキニ号(ポポチャン2019) セン 父:アドマイヤムーン

厩舎:鈴木 孝志(栗東)

馬主:岡 浩二 氏 生産牧場:ハクツ牧場

9月19日(土曜) 4回中山5日10R 九十九里特別(3歳以上 2勝クラス)キンググローリー号(育成:日高)が勝利しましたsign01

_20260919キンググローリー号(ハーフムーンⅡ2023) 牡 父:ダノンプレミアム

厩舎:古賀 慎明 (美 浦)

馬主:平口 信行 氏 生産牧場:合同会社 MTファーム

さらに9月22日(火曜) 4回中山7日7R 3歳以上1勝クラス ユアフェリシティ号が勝利しましたsign01

_202609227r1

ユアフェリシティ号(ゴールドグレース2023) 牡 父:ルヴァンスレーヴ

厩舎:千葉 直人(美浦)

馬主:田中 義明 氏  生産牧場:鮫川 啓一 氏

3頭の今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01

26-27育成馬ブログ(日高①)

サマーセール購買馬が入厩しました

 JRAでは毎年74頭の1歳馬をセリ市場で購買しており、そのうち54頭が日高育成牧場に入厩し、育成されます。今回は、今シーズンのサマーセールまでの購買についてご紹介したいと思います。

JRA がセリで馬を購買する前には、競走馬資源調査の一環として、セリに上場される全頭を事前に検査しています。下見では、横見、前後見、歩き方、馬体のコンフォメーションを確認し、将来の競走能力への影響や疾病リスクがないかをチェックします。昨シーズンは特に常歩時の動きに注目し、馬を選びました。具体的には、肢を余計に振り回したりする無駄がなく、歩くスピードが速く運動神経に優れていそうな馬を優先しました。今シーズンはそれに加えて、いわゆる馬格のある大型馬を重視して選定しました。その結果、購買した馬の平均馬体重が増加しました。
 表1は過去3年間の日高育成牧場に入厩したサマーセール購買馬の8月末時点の平均馬体重の比較ですが、同行内で異なる文字間に有意差がありました(統計にはt検定を使用)。詳しく説明しますと、今年買った牡(441kg)と昨年買った牡(434kg)には有意差がありませんでしたが、今年買った牡(441kg)と一昨年買った牡(422kg)を比較すると今年買った牡が有意に大きい(体重が重い)という結果となりました。牝馬は今年買っためす(449kg)は昨年買っためす(431kg)および一昨年買っためす(416kg)より有意に大きいという結果となりました。牡めす合わせた全体も今年買った馬(445kg)は昨年買った馬(432kg)および一昨年買った馬(418kg)より有意に大きいという結果となりました。

Photo_2(表1)過去3年間の8月末のサマーセール購買馬の平均馬体重の比較(kg)
同行内で異なる文字間に有意差あり

 現在、日高育成牧場にはJRAホームブレッド(8頭)、セレクションセール購買馬(15頭)、サマーセール購買馬(30頭)が在厩しています。過去3年間の日高育成牧場在厩馬の8月末時点の平均馬体重を比較したところ、サマーセール購買馬と全く同じ傾向が見られました(表2)。すなわち、今年在厩している牡(445kg)と昨年在厩していた牡(437kg)には有意差がありませんでしたが、今年在厩している牡(445kg)と一昨年在厩していた牡(427kg)を比較すると今年在厩している牡が有意に大きいという結果となりました。牝馬は今年在厩しているめす(442kg)は昨年在厩していためす(430kg)および一昨年在厩していためす(411kg)より有意に大きいという結果となりました。牡めす合わせた全体も今年在厩している馬(444kg)は昨年在厩していた馬(433kg)および一昨年在厩していた馬(419kg)より有意に大きいという結果となりました。例年サマーセールでの購買頭数が多いため、サマーセール購買馬の馬体重が全体に及ぼす影響が大きいと考えられました。

Photo_3 (表2)過去3年間の8月末の日高育成牧場在厩馬の平均馬体重の比較(kg)
同行内で異なる文字間に有意差あり

 馬体重の重い馬は、軽い馬と比較して競走成績が良いことが報告されており(高橋ら、第29回日本ウマ科学会学術集会、下記URL演題番号25番38ページ参照)、JRA育成馬たちの来年のデビュー以降の活躍が楽しみです。
https://jses.jp/common/sysfile/finder/files/29thAbstracts.pdf

今年のサマーセールで購買した36頭のうち、日高育成牧場に入厩した30頭(15頭・めす15頭)の中で最も大きかった(体重が重かった)馬は、ゴールドスカイ2025(めす、父リアルスティール)で入厩後8月末時点の馬体重が475kgでした(写真)。

Photo (写真)ゴールドスカイ2025(めす、父リアルスティール、8月末の馬体重475kg)

 

以上、今回はサマーセールまでの購買についてご紹介いたしました。今シーズンも9月9日から育成馬の騎乗馴致を開始いたします。今回の記事が皆さんの少しでもお役に立てば幸いです。

活躍馬情報(事務局)

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7月25日(土)1回 札幌 1日6R サラ系3歳 未勝利 テンレディーゴー号(育成:日高)が勝利しましたsign01

_202607256rテンレディーゴー号(タッシーエルモ2023) 牡 

父:デクラレーションオブウォー

厩舎:菊川 正達(美浦)

馬主:天白 泰司 氏 生産牧場:千代田牧場

今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01

活躍馬情報(事務局)

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7月5日(日) 2回福島 4日4R 3歳未勝利 コウソクルリアン号(育成:日高)が勝利しましたsign01

_202607054r_2コウソクルリアン号(ファッションストリート2023) 牡 

父:サトノダイヤモンド

厩舎:武藤 善則(美浦)

馬主:野崎 昭夫 氏 生産牧場:桜井牧場

今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01

活躍馬情報(事務局)

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6月21日(日) 3回 東京 6日3R 3歳未勝利で、アスパラゴ号(育成:日高)が勝利しましたsign01

_202606213r アスパラゴ号(アルスノヴァ2023) 牡 父:カリフォルニアクローム

厩舎:田村 康仁(美浦)

馬主:村島 聡乃 氏 生産牧場:前川 勝春

今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01

活躍馬情報(事務局)

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6月14日(日)3回東京競馬4日 5R メイクデビュー東京で、ベルウッドディープ号(育成:日高)が勝利しましたsign01_202606145r

ベルウッドディープ号(ディープビヨンド2024) 牡 父:エフフォーリア

厩舎:室井 潔(美浦)

馬主:鈴木 照雄 氏 生産牧場:北島牧場

今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01

2026JRAコンソレーションセール 結果報告(事務局)

〇 2026JRAコンソレーションセールの結果について

 売却結果をJRAホームページにて公開しております。

https://jra.jp/facilities/farm/training/bus/

本年も上場馬を全頭ご購買いただき、誠にありがとうございました。

ご購買いただいた馬たちの活躍を祈念しております。

今後ともJRA育成馬をよろしくお願いいたします。

活躍馬情報(事務局)

horse活躍馬情報horse(事務局)

5月30日(土)2回東京競馬11 5R 3歳未勝利で、ベルウッドバイオ号(育成:宮崎)が勝利しましたsign01

_202605305rベルウッドバイオ号(コウエイオトメ2023) 牡 父:ダノンスマッシュ

厩舎:高橋 文雅(美浦)

馬主:鈴木 照雄 氏 生産者:小泉牧場

今後のますますの活躍をお祈り申し上げますsign01