キャンドル 競走馬への道(キャンドルの日記) その③
前々回の宮崎からの日誌で、無事宮崎入りした「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」の近況をお伝えしました。そのキャンドルにいきなりの試練が訪れましたので、振り返りになりますが、9月のキャンドルの日記を紹介します。
キャンドル(右端)ら3頭の放牧直後の様子。食欲旺盛な彼女は、放牧するとまずは走り回るよりも、食欲が優先のようです。おいしい青草を一心不乱に食べ続けます。
9月9日 放牧仲間のプレミアさんとトレヴィさんは走ることが大好き。特にトレヴィさんはいつも元気一杯。最初は付きあっていたけれど、さすがに疲れちゃって・・・・。それでも走り回って、追いかけてくるの。蹴りを入れても追いかけてくるし。逃げ回っていたら、ちょっと筋肉を傷めたみたいで歩くと痛いです。朝、育成牧場の人が放牧地に迎えに来てみんなで厩舎に帰るのだけど、みんな私の歩き方をみて「まずい」って言っています。厩舎に着いたら獣医さん?が来て、痛いところを押すから飛び上がっちゃいました。そして頚に注射を打たれました。夕方、みんなはうれしそうに放牧に行ったのに、なぜか私だけ厩舎に居残り。「休馬」だそうです。なんだか、とっても不安。
騎乗馴致がはじまる前の育成馬たちは、放牧地で集団管理されています。ここで馬同士は互いの影響も受けつつ、思い思いに走り回り、自然の「運動」を実施することで、骨、筋肉、腱が発達し、心肺機能も高まります。また仲間同士でじゃれあって、蹴ったり蹴られたり、噛み付いたり噛まれたりする「遊び」の中で、競走馬として必要な競争心や勇気、前向きな性格が育まれているとも考えられます。このような「運動」や「遊び」は牡馬の群れの方がより活発にみられる傾向がありますが、今回の牝馬3頭の群れは牡馬に負けず劣らずの活発ぶりで、いわゆる「やんちゃ」なグループです。
やんちゃ仲間のトレヴィさんが原因かどうかは分かりませんが、キャンドルはこの日「右肩違和」と診断されました。キャンドルに限らず育成馬たちは、少々痛くても放牧地ではまた走ってしまい、症状が悪化する可能性が高いため、今晩は放牧をやめて馬房内休養が必要と判断されました。入厩5日目にしていきなりの試練です。 ※次号に続く。