春季繁殖移行期に交配を行うために(生産)
準備中のラーメン屋さんで、ラーメンを食べることができなくても、繁殖牝馬に対しては、「早期発情誘起」とよばれる方法で、春季繁殖移行期に交配を行わせることが可能です。
早期発情誘起とは、早春の繁殖牝馬に対していくつかの刺激を与えて、繁殖期になったと錯覚させる方法です。
その刺激は主に以下の4つが知られています。
① 光による刺激
② 温度による刺激
③ 栄養による刺激
④ 異性の刺激
これらを活用することにより、繁殖牝馬に対して春が来たと錯覚させることができるのです(図1)。
図1 4つの刺激
①は多くの方が実践されているライトコントロール法を用います。②は夜間放牧から昼放牧への移行や馬服着用、③はフラッシングとよばれる栄養供給量の増加、④は試情すなわち「あて馬」の継続実施などを用います。
「あて馬」による効果は科学的には証明されていませんが、馬産国アイルランドにおいては、経験的にこの方法が用いられており、空胎馬に対しては1月から毎日実施する方法が普及されています。
北海道という寒冷地において早期発情誘起を行うためには、ライトコントロール以外の要素も軽視できない可能性があります。日高育成牧場では、これらの効果的な方法について、今後も調査研究を継続していく予定です。
図2 アイルランドでは、継続的な「あて馬」
による早期発情誘起が実施されている。