育成馬ブログ 日高⑤
○ 育成馬の近況報告(日高)
年末年始には平年の約2倍近い降雪量があった日高育成牧場ですが、1月初旬から気候は一転して暖かく(?)なり、この時期には珍しく「雨」が降る日もみられました。とはいえ立春を迎えた現在は再び寒さがぶり返しており、春の訪れはもう少し先のようです。
写真1.育成牧場を訪れた珍客(?)。
●育成馬の調教状況
さて、JRA育成馬の調教状況をお伝えします。日高育成牧場ではこれまで、出生時期や成長度合い、馬格などをもとに3つの群にわけて騎乗馴致を開始し、その群ごとに運動メニューを作成して調教を進めてきました。基礎体力がつき調教内容が本格化してきた1月中旬からは、全群が合流して同内容の調教を実施しています。
現在の基本メニューは、屋内800mトラックにおいて縦列のキャンター(1周:ハロン24秒程度)を行った後、手前を変えて2列縦隊でのキャンター(2周:ハロン21秒程度)を行うというものです。強めの負荷となる坂路調教は毎週火曜日と金曜日に実施しており、屋内800mトラックでキャンター2周のウォーミングアップをしてから坂路を1本(3ハロン57秒程度)駆けあがっています。スピードを求めるのではなく隊列を乱さず前馬との距離を2馬身に維持することに主眼を置き、精神面の鍛錬を目指しています。また、休み明けの月曜日と坂路調教翌日には800m屋内トラックにおいて「リラックス」させることに主眼を置いた調教を行っています。1週間の調教メニューをパターン化することで、育成馬に「オン」と「オフ」を理解させたメリハリのある調教ができるよう、心がけています。
一部の馬の近況動画(坂路調教)をご覧下さい。
動画1.先頭からステージワンスモアの13(牡、父:ローレルゲレイロ)、 アーバンライナーの13(牡、父:タニノギムレット)、フローラルホームの13(牡、父:ヨハネスブルグ)、シラタマの13(牡、父:サウスヴィグラス)。この日のタイムは3ハロンが20.3-19.6-19.1(秒/ハロン)でした。
動画2.先頭からマルカジュリエットの13(牝、父:スゥエプトオーヴァーボード)、スイートカフェの13(牝、父:パイロ)、シックファイターの13(牝、父:ワークフォース)。この日のタイムは3ハロンが19.3-18.9-18.4(秒/ハロン)でした。
動画3.先頭からテイエムサイレンの13(牡、父:シンボリクリスエス)、ナイキクレイバーの13(牡、父:アンライバルド)、ヴァルネリーナの13(牡、父:サムライハート)。この日のタイムは3ハロンが19.3-19.9-19.0(秒/ハロン)でした。
●育成馬検査を行いました
先日、JRAの本部職員が来場して育成馬検査を行いました。これは、購買以降の馬体の成長具合や調教進度などを確認する定期検査で、騎乗馴致が終わった11月頃と調教が本格化する1月下旬頃の計2回実施しています。
この検査では、全馬の調教状況を確認してから1頭ずつの馬体検査を行います。検査者の前で駐立し、歩様検査を行う育成馬は、疾病の有無だけではなく駐立や引き馬の「しつけ」や見た目の美しさ(タテガミやのトリミング状態など)も評価されます。
写真2.当日の検査風景。人馬の信頼関係やしつけの状態、トリミングが行き届いているかなど、多岐にわたる項目が検査されました。このような機会がある度に、ご来場いただいたお客様に「楽しんで育成馬を見ていただく」ための練習を繰り返し行っています。
今回、検査と並行して「ベストターンドアウト賞」を決定しました。ベストターンドアウト賞は日本ダービーやジャパンカップでも馴染みがありますが、「馬がよく躾けられ、美しく手入れされ、かつ人馬の一体感を感じさせる展示・引馬(リード)を行う」人馬に送られます。JRAの育成牧場では「馬を見ていただく」という気持ち・姿勢を再確認する機会として検査とあわせて実施しています。
写真3.ベストターンドアウト賞(牝馬)に選ばれたカシノリボンの13(牝、父:タニノギムレット)
春の訪れはまだ先のようですが、ブリーズアップセールの上場番号も決まり育成馬も徐々に本格化してきた今日この頃。競走馬デビューの時を待ちわびる育成馬達を是非見に来てください。ご来場、心よりお待ちしております。