育成馬ブログ 生産編⑦「その1」
子馬の保定 その1
子馬を取り扱ううえで、
「保定」すなわち「馬の動きを制限すること」が求められるケースは少なくありません。
日高育成牧場では、日常の手入れや治療はもちろんのこと、
毎月実施している馬体検査、X線検査、内視鏡検査、写真撮影の際に、
子馬を適切に保定することが要求されます。
X線検査や内視鏡検査では、適切な保定が要求される。
保定には目的に合わせた様々な方法があります。
鼻捻子など制御力の強いもの、枠馬の利用、
または、鎮静剤の投与も保定の1つと言えます。
しかし、当場の子馬に対しては、
鼻捻子による強い保定、枠場の利用、鎮静剤の投与は
可能な限り実施しないよう努めています。
なぜならば、子馬に対して何らかの処置をする際に、
最初から上記の道具や鎮静剤を用いた方法を選択することは、
「子馬に対する躾の貴重な機会を失うこと」になるからです。
では、どのように子馬を保定するのかというと、
「リーダーシップ」と「オン・オフ」を利用します。
「リーダーシップ」は文字通り、
人間が馬に対して指示を与えて動きをコントロールすることです。
「オン・オフ」については、
「オン」は馬への指示を意味しており、
馬が理解した段階で「オフ」、すなわち何もせずに馬へ安心感を与えることで、
人間の指示を受け入れさせる方法です。
これに反して、
馬が理解しているにもかかわらず、「オン」の指示を継続的に与えると、
馬が混乱して人間の指示を受け入れなくなります。
正しく駐立できたら、「オフ」の雰囲気で馬に安心感を与える。
(つづく)