育成馬ブログ 宮崎⑦
○JRAブリーズアップセールでの馬医療情報開示(宮崎)
今年の宮崎は春の訪れが遅く、3月中旬でさえ、
朝の気温が2°Cという日もありました。
しかし、3月下旬に入ってからは、
日中は少し体を動かすと半袖でも過ごせるほどの
暖かい日が多くなるとともに桜も開花し始めており、
宮崎はようやく春を迎えました。
●育成馬の近況
さて、宮崎育成牧場のJRA育成馬22頭は、
4月25日(火)にJRA中山競馬場で開催される
ブリーズアップセールへ向けての最終調整に入っております。
写真① 週1回実施している強調教時の様子。
左:上場番号40番 ダンツライラックの15(牡 父:キンシャサノキセキ)、
右:上場番号15番 ロックドクトリンの15(牡 父:ゴールドアリュール)
500mトラック馬場では、ウォーミングアップおよび
ルーティーンワークとして速歩2周の後、
直線はキャンター、コーナーは速歩という調教を
左右両手前で3周ずつ実施しています。
500mトラック馬場での調教は、スピード調教を繰り返していくと、
テンションが上がってハミにかかる傾向が強くなるのを
改善する目的もあるため、ハミを必要以上に取らずに
馬自身のバランスで走行させることを主眼に置いています。
特に、スピード調教翌日には、この500mトラック馬場での
調教のみで終了し、メンタル面のコントロールにも注意を払っています。
調教のベースとなる1600m馬場での週1回のスピード調教では、
3ハロンを42秒(ハロン15~13秒)程度で走行しています。
動画 3月中旬の調教動画
●JRAブリーズアップセールでの馬医療情報開示
JRAブリーズアップセールは、新しく馬主登録された方をはじめ、
セリに慣れていらっしゃらない方でも「セリの入門編」として、
わかりやすく参加しやすい運営を目指しています。
セリの透明性を高めるための情報開示は、その運営方法のひとつです。
また、購買後に競馬出走に向けてスムーズな調教へ移行できることを
目的として、病歴、ノドの内視鏡所見あるいはX線画像所見の評価など
多岐にわたる情報を提供しています。
ブリーズアップセールの個体情報冊子の記載内容
セリにおいて情報を開示する際に、購買者は開示された疾病情報が
今後の調教過程や競走馬としての能力にどのような影響を
及ぼすのかについて関心が高いものと思われます。
ブリーズアップセールでは、これまで10年以上にわたって実施してきた
育成研究の成果に基づき、今後の出走や調教に耐えうると
判断した馬を選別して上場することとしています。
また、医療情報開示室(レポジトリールーム)では、
ノドの内視鏡やX線画像などの様々な検査所見と
競走パフォーマンスとの関連について分析した成果を活用し、
各馬の所見についての情報を提供しています。
また、2年前からは「個体情報早期開示」といたしまして、
上場全馬の測尺値やノドの内視鏡検査動画、
さらには主な病歴等の個体情報を4月上旬に
インターネット上で公開しております。
これらの病歴等の個体情報を取りまとめるために、
栗東トレーニングセンター競走馬診療所の獣医職員にも来場いただき、
複数の目で検査を実施しています。
なお、早期開示以降の追加病歴を含む最終的な個体情報につきましては、
セリ前日より中山競馬場において配付いたします
「個体情報冊子」および「台付価格表」に記載いたしますので、
こちらも必ずご確認いただくようお願いいたします。
写真② 個体情報冊子に掲載する屈腱部エコー検査の様子
●宮崎育成牧場「育成馬展示会」のお知らせ
宮崎育成牧場では、ブリーズアップセールに先立ちまして、
本年も4月4日(火)朝10時より「育成馬展示会」を開催いたします。
以下に簡単な当日のスケジュールをお示しいたします。
なお、「育成馬展示会」は馬主、調教師および関係者のみを
対象としておりますので、一般のお客様の来場はご遠慮いただいております。
10:10 ~ 比較展示
11:10 ~ 騎乗供覧
13:00ごろ 終了予定
皆様方のご来場を心よりお待ちしております。
写真③ 昨年の展示会の調教供覧の様子