育成馬ブログ(日高①)
○第46回 生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム
7月19日、本年のセレクトセール・セレクションセールで購買した1歳馬
たちが日高育成牧場に入厩しました。これから来年4月のブリーズアップセール
に向けた長い道のりが始まるわけですが、まずは無事に入厩できたことに
ほっとしております。
左「グレイスフルアートの17」(牡 父:エピファネイア)
右「ラフォルトゥナの17」(牡 父:エスケンデレヤ)
さて、今回の育成馬ブログでは、7月12日に新ひだか町内の静内エクリプス
ホテルで行われた「第46回生産地における軽種馬の疾病に関するシンポジウム」
についてお伝えします。これは、生産地で見られるさまざまな疾病や感染症など、
軽種馬の保健衛生に関する問題とその対応策の検討を目的としており、
生産地の獣医師、生産育成関係者、外部学識経験者および本会職員による
講演が行われるものです。
会場は満席の大盛況
本年度は、【スポーツ科学の実践への応用―ラボから現場へー】という
テーマで、調教師、育成牧場の獣医師、そして馬の運動セイリ学者がそれぞれの
視点から競走・育成調教の現場に対するスポーツ科学の応用に関する
演題5題を発表しました。
参加者は204人と例年を上回り、スポーツ科学に対する育成現場の関心の
高さを伺わせました。
瀬瀬獣医師(エクワインレーシング)
むかわ町にある育成牧場エクワインレーシングの瀬瀬獣医師は、調教中の
心拍数や乳酸値を測定することで、調教が心肺機能や筋力強化にどのような
効果があるか検証されており、それらの数値をもとに調教メニューを組み立て
ているとのことでした。また、当場の胡田獣医師は、過去10年分のV200の
データ(詳細はこちら)を比較することで、坂路馬場の管理方法の変化が調教
負荷に及ぼす影響や、坂路調教の有用性について検討した内容を発表しました。
本シンポジウムを通して、世界で戦うことができる強い馬を作るためには、
これまでの経験や勘に加えて、人のアスリート同様にスポーツ科学を日々の
調教に導入することが常識的になりつつあることを感じました。
この分野の研究がさらに発展し、その成果が広く現場にフィードバック
されるとよいですね。
※講演の抄録はこちら