育成馬ブログ(宮崎①)
○ 宮崎の育成馬たち
JRA育成馬は、「全国のサラブレッド1歳市場で購買した馬」とJRA日高育成牧場で生産した「JRAホームブレッド」とで構成されているのはご存知の方も多いと思います。
宮崎育成牧場の特徴のひとつは、比較的上場頭数の少ない九州市場に近いこともあってか、日本各地の市場で購買したJRA育成馬が在厩しており、非常にバリエーション豊かな馬たちが揃っていることです。本年については、今年開催された国内のサラブレッド1歳市場すべてのセール出身馬が揃っています。
セリ開始を待つ本年の八戸市場。
これまで開催された国内1歳サラブレッド市場は以下のとおりですが、これほど多様なセール出身馬たちを同じ場所で繋養しているのは、宮崎育成牧場くらいかもしれません。
※2019年に開催されたサラブレッド1歳市場
6月25日 九州市場(鹿児島):上場頭数17頭
7月2日 八戸市場(青森):上場頭数35頭
7月8日 セレクトセール(北海道):上場頭数239頭
7月16日 セレクションセール(北海道):上場頭数236頭
8月19日~22日 サマーセール(北海道):上場頭数1,197頭
これからも9月のセプテンバーセール(北海道)と続きますが、JRAはこれら市場でも購買する予定ですので、さらに多様なラインナップとなる予定です。おまけにJRAホームブレッドも繋養していますので、JRA育成馬を応援される際は、どのセール出身の馬かということにも注目してみると面白いかもしれません。
○JRA育成馬の入厩(宮崎)
日本各地で購買した馬たちは、それぞれ日高と宮崎で育成する馬とに分けられ、宮崎に振り分けられた馬については宮崎まで輸送するわけですが、その道のりは長く、日本縦断の旅をしているといっても過言ではありません。
既に19頭の育成馬たちが宮崎育成牧場に入厩しておりますが、九州市場出身の1頭を除き、北海道や青森から輸送されてやってきました。馬の輸送には、馬運車という専用車で輸送しますが、北海道からは移動時間だけでも40時間をこえる大移動です。今年も7月と9月とに分けて購買馬を輸送しましたが、車中の馬の様子はというと、初めての遠足といった感じではしゃぐ馬がいたり、おとなしく行儀のよい馬がいたりと馬の性格もそれぞれです。
人と馬の休憩のため、適宜休憩を挟んで輸送したこともあり、出発から3日後の宮崎到着となりましたが、無事に輸送を終えることができ、ほっとしております。
無事に宮崎に到着した育成馬。運転手さんも馬もお疲れ様でした。
馬の輸送といえば、輸送後に発熱するなど馬へのストレスがしばしば問題になります。近年は、馬運車の性能の向上(エアコンやエアサスペンションの搭載)や高速道路網の発達により大幅に輸送環境がよくなったことに加え、これまでの馬輸送に関する研究や知見の積み重ねにより、より安全に輸送できるようになってきました。
しかし、まだまだ輸送の問題が解決したわけではありません。馬の長距離輸送に関する知見を得るため、今回も購買馬の輸送中に定期的な血液サンプリングを行い、輸送が免疫機能に及ぼす影響に関する調査を行いました。人も馬も疲れる長距離輸送ですが、JRAの育成研究は購買馬の輸送段階でも実施していることを知っていただければ幸いです。今回輸送した馬たちの次の輸送は、来年のブリーズアップセールになる予定です。まずは、長旅の疲れを癒して、まもなく開始するトレーニングに備えてもらいたいと思います。
宮崎で初めての放牧で旅の疲れもリフレッシュ。