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育成馬ブログ(宮崎①)

1歳セリにおける育成馬購買と宮崎への輸送

 

〇活況を呈する1歳市場

 本年4月に開催されたブリーズアップセール2021において購買されたJRA育成馬を送り出した後は、宮崎育成牧場にはつかの間ののんびりとした時間が流れていましたが、梅雨の時期を迎えると、早くも来年のブリーズアップセールに向けて動き始めます。各地の1歳市場における育成馬の購買です。

 6月22日に開催された「九州1歳市場」を皮切りに、「八戸市場」(7月6日)、「セレクトセール」(7月12日)および「セレクションセール」(7月27日)に参加し、これまでのところ17頭の1歳馬を購買することができました。

 引き続きコロナ禍での開催となるため、盛り上がりに欠けるのではという心配をよそに、いざ開幕するとセリ会場はどこも多くの人で賑わい、いずれのセールにおいて総売上額や売却率において軒並み過去最高を記録する活況となりました。オンラインビッドとのハイブリッド方式が広く浸透したことや、新たな購買層の活発な市場活動などがこの盛況の要因として挙げられますが、この盛り上がりが今後の1歳市場だけでなく、来年のブリーズアップセールにおいても継続できるよう、育成業務に取り組んでいきたいと思います。

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写真1)九州1歳市場で購買したテラノイロハ2020(父マクフィ)。売却額600万(税別)は同市場最高額であった。生産者は宮崎育成馬であるヨカヨカ号と同じ本田土寿氏。

 

〇宮崎育成牧場への道のり

 現在までに宮崎育成牧場に入厩している育成馬は、九州1歳市場で購買した1頭、八戸1歳市場で購買した4頭および日高育成牧場で生産したJRAホームブレッド2頭の計7頭です。このうち九州産の1頭を除いた6頭は、遠く北海道あるいは青森県から馬運車に乗って宮崎までやってきました。ここではその道のりを簡単にご紹介したいと思います。

【1日目】夕刻、日高育成牧場でホームブレッド2頭を積んで出発。道内の牧場で八戸市場購買馬2頭を収容し、深夜に苫小牧港からフェリーに搭乗。

【2日目】早朝に青森港に上陸。八戸市内の牧場で残る2頭を収容。東北自動車道を南下、福島県内から磐越自動車道にて潟方面へ。夕方、新潟競馬場に到着。

【3日目】昼前に新潟競馬場を出発。日本海側から関西地方を抜け山陽自動車道を西へ。

【4日目】日付が変わるころには九州上陸間近。九州縦貫自動車道、宮崎自動車道を経て宮崎育成牧場に到着。

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写真2)日高育成牧場から宮崎育成牧場までの長い道のりと、道中の馬運車内の様子。

 

 出発から到着まで約90時間、総移動距離は2,700㎞におよぶ行程となりました。人と馬の休養のため新潟競馬場に滞在した時間を除いても、70時間以上馬運車に乗っていた計算になります。どの馬にとっても、これほどの輸送は初めての体験です。特にホームブレッドの2頭は馬運車に乗ること自体が初めてのようなものでしたので、最初のうちは興奮して落ち着かない様子を見せていましたが、徐々に順応して、この長旅を乗り切ってくれました。宮崎に到着後、放牧地に放たれた育成馬たちが元気に駆け出す姿を見て、我々もようやく胸を撫でおろしました。

 育成馬を輸送した馬運車には輸送会社のドライバーさん2名と我々JRA職員2名が同乗しました。概ね3~4時間毎にサービスエリアなどで休憩をとり、ドライバーを交代しながら、一人は仮眠をとるという形で運行されていましたが、常に馬の様子をモニターでチェックしながら(我々が寝ている間も)、スケジュールに狂いが生じないようにスピードを調整するさまは、まさにプロフェッショナルの仕事だと感心しました。今後の育成馬輸送も同様に、無事に完了することを願っております。