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2026年5月

2026年5月28日 (木)

春の北海道へ、子馬の細菌性下痢に関する採材に行ってきました!

 こんにちは、微生物研究室の佐藤です。

 ゴールデンウィークが過ぎ、だんだんと暖かい季節になってきましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 私は4月上旬、まだ肌寒さの残る北海道・日高地区の生産牧場へお邪魔し、今年生まれたばかりの子馬たちを対象に研究材料のサンプリングを実施しました!今回は、私が取り組んでいる「健康な子馬の下痢原性細菌の保有状況調査」についてご紹介します。

 子馬の下痢は非常に身近な病気で、生後6ヶ月齢までに約60〜80%の子馬が経験します。中には、成長が遅れてしまったり、命を落としてしまったりするケースもあります。生後6ヶ月齢まで下痢の原因は、約半分が「ロタウイルス」と言われるウイルスが関連していることが分かっていますが、実はそれ以外の原因はよく分かっていないことが多いのです。ウイルスではなく、細菌が原因になることも多く、人の食中毒や下痢症でも有名な「ウェルシュ菌」や「Clostridioides difficile」などが疑われることもあるのですが、実はこれらの細菌は、健康な子馬のお腹からもよく検出されます。

 そのため、下痢をした子馬からそれらの細菌が見つかっても、それが「本当の原因」なのか「ただお腹にいただけ」なのかを判断するのは困難です。そこで私たちは、治療や診断の基準となるデータを明らかにするため、下痢した子馬と、していない子馬の腸内の「細菌の種類」、「優勢な細菌は何か」や「悪さをする毒素を持っている細菌かどうか」などを詳しく比較分析することとしました。

 春の繁忙期でお忙しい中、地域の牧場や施設の皆様には多大なご協力をいただきました。写真のように、子馬が驚かないよう優しく声をかけながら、直腸から綿棒で手際よくサンプルを採取できましたのも、地域の皆様のご協力あってのことでした。きちんと躾けられた子馬たちはとてもお利口さんで、作業はとてもスムーズに終わりました。

Photo_3

写真:筆者が子馬のサンプリングをしている様子

 大切な子馬たちの調査を快く受け入れてくださった牧場の皆様、本当にありがとうございました。これからも馬たちの健康を「科学の力」で支えられるよう、研究に励んでまいります!

 また、仕事が終わってからいただく浦河町のご当地カツメシは、慣れない風土で働く私の元気の源となりました。これまた、感謝でした。

Photo_4写真:浦河町でいただいたとっても美味しい “カツメシ” です!

2026年5月11日 (月)

AIは「何を使うか」で結果が変わる時代へ 〜論文検索で感じたAIの使い分けの重要性〜

臨床医学研究室の三田です。

皆さんは普段、AIを使っていますか?

スマホで何かを調べた時にはAIによる結果が最初に表示されますし、文章作成やイラスト作成で使ったりしている方も多いのではないでしょうか。

一括りにAIといっても、数えきれないほどのモデルが存在し、どれを使用するかで結果が変わることをご存じでしょうか。例えば下の画像はAIに描かせた競走馬の絵ですが、このように同じテーマのイラストを描かせても使うモデルによって結果が変わります。

このようなモデルによる結果の違いはイラストだけに留まりません。

Photo_22つのモデルに同じ指示を出して作成した競馬のイラスト

  

~AIによって格段に効率化した論文検索~

私がAIを使用するなかで特にモデルの違いを感じるのは論文検索です(作成ではないですよ)。

論文検索においてもAIはとても便利で、あまり知識のない研究分野について浅く広く調べる時にはとても使い勝手がよいと感じます。

大衆向けのGeminiやChat GPTに「○○の病気に対して△△の治療方法を検証している論文を探して」のような指示を出すと結果がすぐに返ってきます。

しかしAIは時々、存在しない論文を“それっぽく”作ってしまうことがあるのです・・・。

例えばAIが出した結果には、

  • 論文タイトル
  • 著者名
  • 雑誌名
  • 発行年

まで自然に提示されるため、一見すると本当に存在する論文のように見えます。

しかし、実際にその引用先を検索してみると、その論文自体が存在しないことがしばしばあるのです。

AI分野では、この現象を「ハルシネーション(hallucination)」と呼びます。

つまり、AIがもっともらしい誤情報を生成してしまう現象です。

これでは正しい情報源になかなかたどり着くことができません。

 

ここで重要なのが、「AIモデルの使い分け」です。

例えば一般的な対話AIは、文章作成、要約、アイデア出しなどが得意です。

一方で論文検索では、

  • 論文検索に特化したAI
  • 参照データベースが限定されているAI
  • 出典を明示するAI

 が既に利用可能となっており、論文データベースに掲載されている論文に基づく情報検索が非常に効率的にできるようになっています。

そのため、「AI」と一括りに考えるのではなく、用途に応じて適切なモデルを選ぶことが重要となっています。

適切なAI選択ができれば、誤情報を減らしつつ情報整理を効率化してファクトチェックにかかる時間を短縮することができます。

AIは非常に便利なツールですが、「どのAIを何に使うか」を意識することが、これからますます重要になっていくと感じています。

 

AI選びも競馬のように能力だけでなく“適性”を見極めることが大事ですね!