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人と馬との関係を考える②

昨日ご紹介した我々と当センターの乗馬くんとの関係。

馬房内でのアプローチで人馬の関係が改善したかに思えましたが、

翌朝、威嚇という行為で簡単にはいかないことを示してくれました。 

 

  

 

2日目の夕方。

アプローチの場を丸馬場に移しました。

丸馬場は馬の逃避を防止し、人の指示に従う環境を整えられます。

(逃避されてしまうと人の指示を馬が拒絶できるため、人馬の関係改善は困難)

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上の写真では分かりづらいですが、乗馬くんはフリーな状態です。

グランドワークの中のジョインナップ(一体化)を行います。

ジョインナップは、人の横スペースが安心・快適であることを理解させる作業です。

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⑤手の合図と補助として追い鞭を使用し前進させます。

(数字は昨日のアプローチから継続しています。)

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徐々に手の合図の割合を増やし小さなボディランゲージを

行動に繋がるサインとして認識させます。

認識しました。

  

 

 

 ⑥人が進行方向に入り、手の合図で反転を指示します。

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最初は、戸惑いを見せたものの、繰り返すうちにサインと反転がリンクしました。

人の指示に従っています。

 

 

反転サインを理解する頃になると、

頭を下げる(ドロッピングサイン)舌を出す(チューイングサイン)を示し始めました。

これらは馬が安心し、リラックスしたサインと言われています。

 

 

指示を出す対象が馬の中で人がリーダーだと整理され、

リーダーが出すサインが理解できるようになってきたことが、

対象との上下関係、サインの意味等について考える必要がなくなり、

リラックスサインにつながってきたのではないでしょうか。

 

 

  

⑦追い鞭を使用せず、手の動きだけで前進・反転を指示します。

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人をリーダーと認識し、サインを理解しましたので、

手の小さな動きで馬が動くようになりました。

 

 

また、耳・目は人に向く回数が増えてきました。

人(=リーダー)の指示に注意を払うようにしなければと、

馬の意識が変わってきたようです。

 
 

 

⑧リーダー屈み込みサインを出しました。

※群ではリーダーが出す、草を食べられる=安心できる場所のサイン。

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乗馬が、安全サインを信用し自ら近寄ってきます。

 

 

 

⑨手あるいは舌鼓等音の指示のみで人に添って歩くようになりました。

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人の横スペースが安心・快適であることを理解し、

馬が人(リーダー)に添い歩こうという意思を示しています。

 

 

   

丸馬場でのアプローチが終了する頃には、

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よくできました。

 

 

  

乗馬くんは、この日の朝、人間を威嚇したわけですが、

手のサインのみで指示に従うようになるまで、5分も要しませんでしたので、

人=従う対象という素地はできていたようです。

前の日の馬房内でのアプローチを忘れたわけではなかったことが伺えます。

 

 

 

勝手に馬の視点に立つと、

馬房で色々とあーしなさい、こうしなさいと指示してきたあいつ(人)は、

リーダーだったんだ。サインは分わかりやすいし従っておかないとなぁ。

という感じでしょうか。 

 

  

写真では伝わりづらいのですが、

この丸馬場でのアプローチの間に、乗馬くんの雰囲気は、

戸惑いとか困惑を示す硬いものから、やわらかいものに変化しました。

 

 

もちろん、馬の人に対する雰囲気・認識が変化したことは重要なのですが、

私は、別の意味でおおーと感じました。

 

 

「馬が人を理解しようとしなくなるケース」には、

人のアプローチの方法、方向が間違っているケースがある、

と認識したためです。

  

  

 

続きはまた明日。

感想がメインになりそうですが。

  

 

 

 

 

 

今回はジョインナップの他に、乗馬指導も行っていただきました。

メイショウカイドウさんも研修生を乗せて、張り切ってお仕事してくれました。

20歳とは思えない若さです。若返っている気さえします。

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当センターでは将来的に競走馬に携わる仕事に就きたいと考えている方を、

研修生として募集しています(要1年以上の乗馬経験)。

興味のある方は以下の電話番号にお電話ください。

競走馬リハビリテーションセンター 総務係 TEL:0246-43-3185