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育成馬の入きゅう

今回より「JRA育成馬日誌(宮崎)」をお届けします。
JRAが千葉サラブレッドセールで購入した1頭と、八戸市場で購入した5頭の1歳馬たちが7月6日に入きゅうしました。青森から宮崎までは約31時間の長時間輸送なので、輸送による体力の消耗や怪我など心配しましたが、無事到着し一安心です。

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青森から馬運車が無事到着し一安心
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馬運車から降ろす様子

翌日から、♂3頭、♀3頭の2グループに分け、放牧による管理を開始しました。最初の数日間は昼間放牧を行うことで環境に慣らし、その後夜間放牧へ移行します。宮崎における夜間放牧のメリットは、なんといっても暑くないということです。宮崎育成牧場では、夜間放牧を馬の運動量を増やす目的で実施しているのではありませんし、また、馬を疲れさせて取り扱いをおとなしくしようとも考えていません。あくまでも、青草を食べさせ馬の生理状態を自然に帰すことが夜間放牧の目的であると考えています。そして、秋の騎乗馴致開始までに十分な肉体の成長を待つことが重要だと考えています。

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夜間放牧を開始しました
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入きゅう1週間後に削蹄を行いました

一方、最初の放牧は、知らない馬同士での組み合わせで、しかも始めての場所ということで事故が起こりやすい瞬間といえます。我々はリスクを軽減するために少頭数での放牧を行っていますが、事故の確率が0になることは決してありません。したがって、この時期に集団放牧が必要なのかという議論もありますが、早い時期に入きゅうした馬は馴致開始までに時間があることも実施している理由のひとつです。メリットとリスクを天秤にかけながら、健康な馬を育成するために馬を観察しながら集団放牧を実施することが重要です。しかし、近年では、コンサイナー(注1)の技術も向上しており、今後、入きゅう時期の遅い馬については、集団放牧を行わずに騎乗馴致(注2)を開始することもあるかもしれません。

(注1)コンサイナー:他の牧場から馬を預かり、セリに向けて専門的な教育を行う業者
(注2)騎乗馴致:人に乗られたことのない馬を人が乗れるように慣らすこと