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活躍馬情報(事務局)

9月21日(土)3回中山2R(2歳未勝利)では日高育成牧場で生産・育成された

グレイトホーン号が、うれしい初勝利を挙げました。

現2歳のJRAホームブレッドでは初勝利です。

 

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 9月21日(土)4回中山競馬6日目 2R 2歳未勝利 芝 1,600m

 グレイトホーン号(タキオンメーカーの17)

 〔厩舎:根本康広(美浦) 父:アルデバランⅡ〕

    

また、9月21日(土)4回中山12R(3歳以上2勝クラス)では

宮崎育成牧場で育成されたモルフェオルフェ号が、3勝目を挙げました。

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9月21日(土)4回中山競馬6日目 12R 3歳以上2勝クラス 芝 1,600m

 モルフェオルフェ号(スマッシュの15)

 〔厩舎:大江原哲(美浦) 父:オルフェーヴル 〕

 

 今後のさらなる活躍を期待しております。

育成馬ブログ(日高②)

○馬の横見写真撮影のポイント

 日高育成牧場では、ブリーズアップセールの前に上場馬の写真撮影を実施しています(図1)。今回は、その際に気をつけている撮影の条件やポイントをいくつかご紹介します。

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図1:2019年コスモス賞優勝馬ルーチェデラヴィタ号
【父:キズナ、母:トウカイライフ】撮影は1歳7ヶ月時

 まず、撮影場所には、①整然としている(背景が雑然としていると印象が悪くなる)、②平坦で(まっすぐに駐立させるため)、③雑草や芝の丈が低い(伸びていると繋や蹄が隠れてしまう)場所を選びます。

 次に、屋外での撮影では、天候に配慮する必要があります。中でも最も重要かつ自在にコントロールできないのが光線です。馬の体型が正確に伝わるよう、明るさが十分に確保できる「晴れ」の日に撮影します。

 そして、馬体の左側面に光線が当たるよう駐立させます。「雨」や「雪」の日は論外として、「くもり」の日(特に背景が白くなる冬)や逆光の場合、馬体が暗く写ってしまいます(図2)。また、光が馬の前方や後方から当たっていると影が強く出てしまいます。

 なお、季節にもよりますが、光線の角度が低くなると馬が眩しがり、眠そうな目つきになるので、早朝や夕刻を避けるなど撮影時間にも配慮する必要があります(図3)。

 他の天候条件としては、が挙げられます。タテガミや尻尾が風に舞ってしまうことに加え、強風時には馬の落ち着きが無くなってしまうため、無風状態が理想的です。

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図2:暗い天気(背景が雪)や強風時(タテガミが乱れる)は撮影に不向き

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図3:眩しいと「眠たい」表情になる

 では、具体的な撮影方法を説明します。

①原則として、タテガミの垂れていない馬体左側を「表(おもて)」として立たせます。
②撮影者から見て四肢が重ならないように、蹄の位置を決めます。左右の蹄の間隔は、前肢が蹄0.5~1個分、後肢が蹄1~2個分が目安です(図4)。
③左前肢および右後肢の管部(第3中手ならびに中足骨)が地面に対し垂直になるように馬の重心を調整します(前方や後方に傾斜させない、図5)。
④保持者と助手が協調し、馬の頭部を適度な高さに保ち、顔を若干撮影者側に向けて額が見えるように、さらに耳が顔の正面に揃って向くように馬を動かします(図6)。
⑤保持者は、手が写りこまないように馬から距離をあけ、引き綱に余裕を持たせ少し垂らすように保持しつつ馬を御します(図6)。

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図4:横から見たときの左右の蹄の間隔

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図5:前方または後方に傾斜している駐立姿勢

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図6:頭部を上げ、頭と耳の向きを調整する方法

 

 最後にカメラの設定や撮影テクニックをご紹介します。レンズは、画像の隅の歪みが強く出てしまう広角タイプのものは不向きです。撮影者の立ち位置は、馬体の正中線に対し真横、心臓の位置を通る垂線上となるよう決定します(図7)。従って馬の位置や向きが変われば、それに合わせて撮影者も動く必要があります。また、カメラを構える高さは、心臓の高さが望ましいとされています。なお、正しく駐立できているか判別できるのは撮影者のみですので、保持者に的確な指示を出すことも良い写真を撮るコツです。

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図7:撮影者の立ち位置とカメラの焦点

 

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活躍馬情報(事務局)

9月14日(土)3回中山6R メイクデビュー中山では日高育成牧場で育成された

ウィーンソナタ号が、見事新馬戦勝利しました。

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 9月14日(土)4回中山競馬3日目 6R メイクデビュー中山 ダ 1,200m

 ウィーンソナタ号(スイートフィズの17)

 〔厩舎:伊藤圭三(美浦) 父:エスケンデレヤ〕

    

9月14日(土)3回阪神1R 2歳未勝利では日高育成牧場で育成された

メイショウユリシス号が、うれしい初勝利を挙げました。

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9月14日(土)4回阪神競馬3日目 1R 2歳未勝利 ダ 1,400m

 メイショウユリシス号(フェスティヴレディの17)

 〔厩舎:高橋亮(栗東) 父:メイショウサムソン 〕

 

 今後のさらなる活躍を期待しております。

活躍馬情報(事務局)

9月8日(日)中山4R(3歳以上1勝クラス牝)では、日高育成牧場で育成された

イチゴミルフィーユ号が、うれしい2勝目を挙げました!

 

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  9月8日(日)4回中山競馬第2日目 4R 3歳以上1勝クラス牝 ダ 1,200m

  イチゴミルフィーユ号(ホシノメガミの16)

〔厩舎:林徹(美浦) 父:ヨハネスブルグ〕

 

今後のさらなる活躍を期待しております。

育成馬ブログ(宮崎①)

○ 宮崎の育成馬たち

 JRA育成馬は、「全国のサラブレッド1歳市場で購買した馬」とJRA日高育成牧場で生産した「JRAホームブレッド」とで構成されているのはご存知の方も多いと思います。

 宮崎育成牧場の特徴のひとつは、比較的上場頭数の少ない九州市場に近いこともあってか、日本各地の市場で購買したJRA育成馬が在厩しており、非常にバリエーション豊かな馬たちが揃っていることです。本年については、今年開催された国内のサラブレッド1歳市場すべてのセール出身馬が揃っています。

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セリ開始を待つ本年の八戸市場。

 

 これまで開催された国内1歳サラブレッド市場は以下のとおりですが、これほど多様なセール出身馬たちを同じ場所で繋養しているのは、宮崎育成牧場くらいかもしれません。

 

※2019年に開催されたサラブレッド1歳市場

6月25日 九州市場(鹿児島):上場頭数17頭

7月2日 八戸市場(青森):上場頭数35頭

7月8日 セレクトセール(北海道):上場頭数239頭

7月16日 セレクションセール(北海道):上場頭数236頭

8月19日~22日 サマーセール(北海道):上場頭数1,197頭

 

 これからも9月のセプテンバーセール(北海道)と続きますが、JRAはこれら市場でも購買する予定ですので、さらに多様なラインナップとなる予定です。おまけにJRAホームブレッドも繋養していますので、JRA育成馬を応援される際は、どのセール出身の馬かということにも注目してみると面白いかもしれません。

 

○JRA育成馬の入厩(宮崎)

 日本各地で購買した馬たちは、それぞれ日高と宮崎で育成する馬とに分けられ、宮崎に振り分けられた馬については宮崎まで輸送するわけですが、その道のりは長く、日本縦断の旅をしているといっても過言ではありません。

 既に19頭の育成馬たちが宮崎育成牧場に入厩しておりますが、九州市場出身の1頭を除き、北海道や青森から輸送されてやってきました。馬の輸送には、馬運車という専用車で輸送しますが、北海道からは移動時間だけでも40時間をこえる大移動です。今年も7月と9月とに分けて購買馬を輸送しましたが、車中の馬の様子はというと、初めての遠足といった感じではしゃぐ馬がいたり、おとなしく行儀のよい馬がいたりと馬の性格もそれぞれです。

 人と馬の休憩のため、適宜休憩を挟んで輸送したこともあり、出発から3日後の宮崎到着となりましたが、無事に輸送を終えることができ、ほっとしております。

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無事に宮崎に到着した育成馬。運転手さんも馬もお疲れ様でした。

 

 馬の輸送といえば、輸送後に発熱するなど馬へのストレスがしばしば問題になります。近年は、馬運車の性能の向上(エアコンやエアサスペンションの搭載)や高速道路網の発達により大幅に輸送環境がよくなったことに加え、これまでの馬輸送に関する研究や知見の積み重ねにより、より安全に輸送できるようになってきました。

 しかし、まだまだ輸送の問題が解決したわけではありません。馬の長距離輸送に関する知見を得るため、今回も購買馬の輸送中に定期的な血液サンプリングを行い、輸送が免疫機能に及ぼす影響に関する調査を行いました。人も馬も疲れる長距離輸送ですが、JRAの育成研究は購買馬の輸送段階でも実施していることを知っていただければ幸いです。今回輸送した馬たちの次の輸送は、来年のブリーズアップセールになる予定です。まずは、長旅の疲れを癒して、まもなく開始するトレーニングに備えてもらいたいと思います。

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宮崎で初めての放牧で旅の疲れもリフレッシュ。