鞍つけ馴致(宮崎)
人が馬に乗るためには、鞍を馬の背中に乗せるのみならず、腹帯(はらおび)を締めて馬の背中にしっかりと固定する必要があります。しかし、この帯を締める操作は、慣れない馬たちにとって最初は息が苦しいので、本来好きではありません。したがって、私たちはブレーキング開始前に、馬房の中でストラップ※1と呼ばれる革の帯で馬の胸部を圧迫する動作に慣らしておきます。この準備によってほとんどの馬が何事もなくローラー※2(腹帯)を受け入れるのですが、中には、実際に広い場所でローラーを装着すると、胸部の圧迫が苦しくてまるでロデオのように暴れる馬もいます。しかし、一時的にこのような反応をした馬もランジングを続けるうちに、やがて落ち着いてきます。さらに、ランジング終了後も馬房の中でしばらく装着したままにすることで、よりローラーを理解し受け入れることが可能となります。そして、翌日からは素直にローラーを装着することができるようになり、その結果、鞍つけ(装鞍)が容易にできるというわけです。ちなみに、第1群11頭の馬たちは馴致を開始して3日目、9月23日に無事この過程を終了しました。
はじめてのローラー装着です。このように馬を停止させた状態で行います。馬はトップライナーの05(牡・父イシノサンデー)。
ローラーの圧迫を感じたときの反応です。まるで、カプリオール※3のように空中にジャンプしています。しかし、のんきに見ているわけにはいきません。反応を観察しながら(馬が内側に向かってきた場合、人が危険)、写真のように御者と助手は音声や鞭を使用して馬に強く前進を促す場合もあります。そして、人の指示に従ってリズムよくランジングができるまで待ちます。
ラウンドペンでのローラー装着後は、このように馬房内で装着したまましばらく慣らしますが、この馬はすっかりリラックスしています。馬はハッピードリーマーの05(牝・父ジェイドロバリー)。
馴致開始9日目。装鞍し、ダブルレーン(2本の調馬索)を使用してのランジングを行っています。馬はギザニアの05(牡・父ワイルドラッシュ)。
ストラップ※1:JRA育成馬日誌10/10参照
ローラー※2:装鞍の前に帯を締めた状態に慣らすためのベルト状の馬装具
カプリオール※3:平らな場所で馬を空中にジャンプさせる高等馬術