ドライビング~騎乗まで(宮崎)
1本レーンでのランジングを教え、ローラー(腹帯)を装着することが可能になった馬は、次のステップとして、2本のレーン(ダブルレーン)を用いてのランジングを教えていきます。その際、2本目のレーンを馬の外側面に回して後肢(飛節の上)の後にまわし、御者が両手で保持して実施します。後肢にレーンが触れた際に、敏感な馬では蹴る等の反抗を示すこともありますが、根気よく馬を慣らします。
2本レーンでのランジングに慣れた後、馬の後方に人が移動し、馬を後方から動かすドライビングを教えていきます。最初はラウンドペンの中で実施し、ドライビングで方向変換等を行うことから始めます。ドライビングに慣れてきたら、ラウンドペンの外に出て今後騎乗する場所等、様々な場所をドライビングで歩かせ、馬の前進気勢と口向きを作っていきます。
ブレーキングを開始して6日目。ローラーおよびサイドレーンを装着し、ダブルレーンでのランジングを行っています。サイドレーンはキ甲をクロスして装着しており、頭頸の位置を安定させています。馬はディマーの06(牝・父アラムシャー)。(9月28日)
ラウンドペンの中でドライビングを行いながら右方向に方向変換を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(10月4日)
ドライビングが確実に出来るようになった後、騎乗のステージへと進んでいきます。騎乗は、数日かけて馬の横でジャンプをしたり、背中に体重をかけたりして騎乗動作や体重負荷に慣らした後、馬房の中で実施します。騎乗者が脚を使って馬を動かせることができるようになったら、少し広いラウンドペンの中で騎乗し、やがて走路での騎乗が可能となります。
馴致を開始して2週間から3週間で騎乗することが可能となるわけですが、このように短期間で進められるのも、近年、コンサイナーがセリ前に引き運動を十分行う等、手をかけるようになってきたことが大きいと思います。セリにおいて、美しくプレゼンテーションされ、活発に大きく歩く馬は多くの購買者の目を引くことにつながります。したがって、セリの2~3ヶ月前に生産牧場からコンサイナーに預けられた1歳馬は、引き運動で人の指示に従って活発に歩くことが出来るように、また、購買者の前で暴れたりせず大人しく立っていることを教育されています。この中で、人と馬との信頼関係と人のリーダーシップの基礎が形づくられ、環境が変わったときの精神面安定や騎乗馴致時の理解力向上に役立っているのだと思います。
体重負荷に慣らすための「横乗り」を行っています。馬はインディペンデンスの06(牡・父シルバーチャーム)。(10月5日)
馬にとって、生まれて初めて人に騎乗された緊張の一瞬です。騎乗者は馬の様子を確認しながら、徐々に頭を上げようとしています。馬はミスバンダムの06(牡・父サニングデール)。(10月5日)