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秋の育成馬検査が実施されました(宮崎)

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育成馬の調教は、順調に進んでいます。11月後半には第1グループとなる10頭がメイントラックである1,600mコースにおいてキャンター調教を開始、残る第2グループも500mコースにおいてキャンター調教を開始しました(写真)。写真は誘導馬を先頭に前からプレミアムショールの07(栗毛)、カリカーの07(栗毛)、サンドシャーディーの07(鹿毛)他。

Big Dream Stables宮崎育成牧場に在厩する24頭のJRA育成馬たち。先日その成長や馴致状況をチェックするため、JRA本部の職員による育成馬検査が実施されました。午前中は実際の騎乗馴致を確認し、午後は個別の馬体検査(展示)を行ないました。馬体検査(展示)については3月に当日誌「馬をみていただくためのポイント」で紹介したように、手順に沿って検査者に馬を展示します。

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展示の際の馬の動き

詳しくは http://blogjra.lekumo.biz/ikusei/2008/03/post-3d48.html

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まずは駐立しての展示です。引き手は韓国研修生で、正しい立たせ方について本部職員と確認し合っています。馬はトレヴィサンライズの07(父:ネオユニヴァース)

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引き続き、常歩で後肢の動きがまっすぐ見えるよう遠ざかり・・・・・

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検査者が横からの馬体も確認できるよう右回転して・・・・・・

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前肢の動きがまっすぐ見えるよう戻ってきます。以上、馬はビッグキャンドルの07(父:バゴ)

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速歩も同様に、後肢→横→前肢の動きがまっすぐ見えるよう意識して、三角おにぎり型に右回転して戻ってきます。馬はニシノファンシーの07(父:マヤノトップガン)。全兄のJRA育成馬ケイアイマッシブ号11/16の東京・2才戦で勝利しました。

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最後に再度駐立の展示です。馬はプレミアムショールの07(父:アグネスフライト)

検査の前週には、日ごろにも増して馬の手入れに時間をかけ、タテガミや尾のトリミングにも取り組みます。また速歩の展示をスムーズにみていただくための練習も実施します。今回の検査では馬の進路の芝生に刈り込み(上の写真でも確認いただけるかと思います)を入れて、そのとおりに歩けるよう人馬とも練習をしました。

近隣に馬関係者が少なく、比較的みていただく機会が少ない当場にとって、検査などでの馬主、調教師、牧場関係者などの来場はいい刺激となります。宮崎にお立ち寄りの際は、どうぞお気軽にご来場いただき、育成馬たちをみてやって下さい。

馬を展示することは馴致の一環であり、人馬ともその状況に慣れて、落ち着いてみて・触れていただけるように、取り組んでいます。そのためには、日ごろから愛すべき育成馬たちと触れ合う時間を大切にし、人がリーダーであることをきちんと理解させた上で、馬に語りかけながら全身の手入れなどを行い、信頼関係を深めていくことが大切でしょう。

育成馬 活躍情報

1112日(水)の41回ハイセイコー記念(地方重賞S2:大井競馬場)を優勝しましたナイキハイグレード号(育成馬名:ダイヤモンドコアの06、父:アグネスタキオン、牡馬)の優勝写真です(写真協力:東京シティ競馬)。

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育成馬 活躍情報

11月24日(祝)の京都競馬第6日第9レース(もちのき賞 ダート1,800m)において、ハイローラー号(育成馬名:エクセレンスの06、父:グランデラ、牡馬、木原一良厩舎、馬主:加藤千豊氏)が優勝しました。現在のところ、JRA育成馬は中央競馬で6頭が8勝をあげています。

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二頭の活躍馬(その1)

ほぼ馴致も完了し、12群は坂路馬場へ、3群は屋内800mトラックでの調教をこなしています。最初はキョロキョロ、フラフラ走っていた馬達も、かなりドッシリと落ち着いた走りをするようになってきました。今後、冬季閉鎖になる12月まで1600mトラックでの調教、隊列を意識した調教を進めていきます。

本年も韓国の研修生3名が、3群馴致開始当日の1015日から約1カ月間、実践研修生として育成牧場に滞在しました。1名は韓国馬事会の職員、他2名はオーナーブリーダー牧場の若いオーナーです。3名とも前進気勢旺盛で、積極的に騎乗馴致について学んでいました。

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馴致第12群は、800mトラック馬場で誘導馬を先頭にして、駆歩までの騎乗調教を行っています。

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馴致の研修を終えた後は、ホースマンの基礎である騎乗練習です。誘導馬であり、毎日の練習の相棒であるフジノシャワーを囲んで左からイさん、ナさん、チェさん。

さて、既報にもあるとおり、日高で育成したナイキハイグレード号(牡2歳:父アグネスタキオン、母ダイアモンドコア)が大井競馬場で行われたハイセイコー記念(S2)を勝利しました。これで3連勝となり今後の中央所属馬との対戦もますます楽しみになってきました。そこで、今回から2回に分けて、本年売却した育成馬のなかで活躍している2頭のこれまでを振り返りながら話を進めていきたいと思います。

もう1頭の馬の名前は、セイウンワンダー(牡2歳:父グラスワンダー、母セイウンクノイチ)です。この馬は新潟2歳S(JpnⅢ)で、出遅れての後方待機から、大外をまくって差しきりました。

まず、2頭の購買から売却までの概略を表にしてみました。

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現在の実力は甲乙付けがたい2頭ですが、1歳セリでの購買価格を見て見ましょう。そこには約2倍の差があります。セイウンワンダー(以後セイウン)は馬体の素晴らしさと母父サンデーサイレンスという点、一方のナイキハイグレード(以後ナイキ)は腹袋のある成長力を感じさせる馬体と期待の種牡馬アグネスタキオン(購買年の公示種付け料1200万円)産駒という点を主として評価しました。また、セリではセイウンは活発に競り上がり、ナイキは一声での購買でした。

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セイウンワンダー17月入厩時。バランスの取れた馬体は非常に目を引きます。

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ナイキハイグレード17月入厩時。頭の大きく写るゴロンとした印象の馬体。

さて、競走馬としてのスタートも両極端でした。表にもあるとおり、BUセールでセイウンは持ったままで1313秒の指示にもかかわらず、最終1ハロン11.3秒の豪快な動きを披露したことでセール最高価格で購買され、中央競馬への入厩が決まりました。一方、ナイキは、スピードは指示通りではありましたが、動きが少し重く映ったのか、それとも台付けの割高感からなのか主取りとなってしまったのです。

すぐにトレセンに入厩したセイウンに対し、ナイキは競走馬としての売却を目指し3週間後に迫った千葉トレーニングセールに向け競馬学校に移動、引き続き調教が続けられました。セールの調教供覧では12.411.3秒の標準以上の時計で走行。台付け(セリでのスタート価格)は、声をかけていただくことを期待してBUセールでの主取り価格よりもさらにディスカウントし、1200万円に設定。しかし、残念ながら結果は主取。アグネスタキオンが「なぜ売れないの?」という気持ちと、競走馬としての将来を打ち砕かれたことで大いに落胆させられました。

幸い再上場の申し込みがあり、この馬の競走馬としての将来、もしかしたらせり上げもあるかもしれないという期待から、さらに台付け価格を下げて受けることになったのです。再上場は、通常呼び出しをかけた購買者が一声で落札することが多いのですが、蓋を明けてみると今までの沈黙がウソのような活発な競り合い。結局は最初の台付け価格より少しだけ安い1160万円で購買され、地方競馬で走ることとなったのです。競走馬としての将来を夢見ることが出来ると胸をなでおろすと共にセリの難しさを痛感したものです。

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千葉セールでのナイキハイグレード。すっきりとした見違える馬体に変貌したナイキでしたが…。(写真提供:馬市.com

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千葉のセールでの騎乗供覧。右がナイキハイグレード。ゴール前を12.411.3秒で軽快に走り抜けましたが…。(写真提供:馬市.com

BUセールの売却の際、購買者の方々にお配りしている育成馬の個体情報には、育成牧場における種々の成長の過程や医療情報に加えて育成牧場からのコメントも記載されています。

セイウンには「購買時は父グラスワンダーの雰囲気が強かったが、育成が進むにつれて母父サンデーサイレンスが強く表に出てきた。特に気性面では、人がしっかりとした態度で臨まなければ圧倒される強さを持つ。その気性が勝負根性と躍動感あふれる走りを生み出す。」というコメント。ナイキのコメントには「大種牡馬サンデーサイレンスの後継の筆頭と目されるアグネスタキオン産駒で期待も高まる。坂路で併走しての燃えるような走りと、普段の力を抜いた動きとが好対照。コンパクトな1歳時のイメージに、少しずつ伸びが加わってきた。」と書かれています。この文章に込められた思いと期待、育成期間中のエピソードなどの対比の詳細、この2頭が教えてくれたことなどは、引き続き次回にお伝えしたいと思います。

 

育成馬 活躍情報(事務局)

1116日(日)の東京競馬第4日第1レース(サラ2歳 未勝利ダート1400m)において、ケイアイマッシブ号(馬主:㈱啓愛義肢材料販売所、調教師:南田美知雄氏、牝馬 父:マヤノトップガン 母:ニシノファンシー)が優勝しました。現在のところ、JRA育成馬は中央競馬で6頭が勝ちあがっています。

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(育成馬時代)撮影:20083

育成馬 活躍情報(事務局)

1112日(水)の大井競馬 41回ハイセイコー記念(2歳オープン 地方重賞S2において、ナイキハイグレード号(馬主:小野誠治氏、調教師:川島正行氏、父:アグネスタキオン 母:ダイヤモンドコア、牡)が優勝しました。本馬はJRAブリーズアップセールに上場いたしましたが、残念ながらお声がかからず売却することができませんでした。その後、519日(月)船橋競馬場で行われた千葉サラブレッドセールで売却されました。今後のさらなる活躍を期待しています。

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撮影:20083

韓国からの研修生が来日しました(宮崎)

南国宮崎も11月に入り、そろそろ「涼しい」日だけでなく、「寒い」と感じる日もでてきました。

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宮崎育成牧場ではミニチュアポニーとの撮影会を定期的に実施しています。今回はクリスマスバージョンで、完成した写真をカレンダー形式でお客様にお渡しします。

今回は韓国・釜山からBig Dream Stables宮崎育成牧場に来ている2名の研修生を紹介します。彼らはJRA育成馬を用いた育成・調教の実践研修を受講するため、概ね6カ月間の予定で、釜山の慶南競馬場からやってきました。

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研修生の2人。先日はJBBA九州種馬場を見学しました。

彼らは釜山で競走馬の調教を4年間経験している調教厩務員で、将来的には調教師を目指す優れた人材です。騎乗に向けた競走馬の馴致方法は初めて経験する内容がほとんどで、常に真摯な姿勢で一から取り組んでいます。

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騎乗馴致の動作を指導される研修生。馬はホットマイハートの07(牡・父スパイキュール)

また、騎乗フォームなどはこれまで韓国の競走馬での経験から、自信を持っているはずです。しかしながら若い育成期の馬に要求される騎乗方法は、完成された大人の競走馬とは異なる部分もあります。特に、まっすぐに走らせるとともに、若馬特有の不意な動きにも対応できるよう、手綱をブリッジで保持し、ネックストラップとともにキ甲の上で拳の位置を安定させることや、アブミの長さを必要に応じて長くしたり短くしたりすることなどには注意を払う必要があります。慣れた習慣を変えるのは簡単なことではありませんが、彼らにはそれを受け入れようとする前向きな姿勢・柔軟性もあり、約1ヶ月間の研修を経た現在では、育成牧場スタッフにもよくなじんでいます。研修生ではありますが、今後はともにJRA育成馬を調教していく貴重な育成スタッフになってくれそうです。

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誘導馬に騎乗し、JRA育成馬の調教を先導する研修生(先頭)。2頭目以下は牡牝混合の10頭の育成馬で、速歩1000m、駈歩1500m程度のメニューを消化しています。

韓国からの研修生受け入れは今回で第4期目となります。このような取り組みを通して、今後さらに韓国など海外競馬関係者との相互理解が深まり、人馬の交流が進むことが期待されます。

☆キャンドル 競走馬への道 その②

前々回の宮崎からの日誌(1016日)でご案内しました、「ビッグキャンドルの07(通称キャンドル・牝馬)」成長の過程を伝えるコーナーです。8月の購買からの流れをキャンドル自身の日記風に紹介します。

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ビッグキャンドルの07。父は新種牡馬で凱旋門賞勝ちのバゴ。

9 3     8月のセリでJRAに購買されて「JRA育成馬」の仲間入りです。広大な調教施設を持つ浦河の日高育成牧場に「入学」かと思ったら、宮崎育成牧場入学に決まってました。JRA育成馬の3割は宮崎、7割は日高に行くそうです。今日は16頭の仲間と一緒に北海道から旅立ちます。まる2日かけて95日に宮崎到着。4月までの8か月間、ここでがんばって勉強です。

97    宮崎の日中はとっても暑いんです。だからお昼は厩舎で休憩、扇風機で涼しくしてもらってます。外の放牧は夕方~朝までの涼しい時間(夜間放牧)です。北海道からの輸送で一緒に来た「プレミアさん」、「トレヴィさん」との友達3頭で、青草がおいしくて、広い放牧地にいます。本格的な勉強(騎乗調教)が始まるまで1か月くらいは、外での自由時間が多くて楽しい毎日です。牧場の人には「青草をしっかり食べて大きくなるように」っていわれました。実は今の私、387kgで同級生24頭の中で一番小さいんだって。※24頭の平均馬体重は436kgです(9月初旬)。

 

宮崎に到着し、まずは順調なスタートを切ったキャンドルです。引き続き、次号以降でも紹介していきます。

騎乗馴致におけるランジングとペン(丸馬場)の有用性

山の木々の葉も落ち、北国のつかの間の秋があっという間に通り過ぎて冬支度完了といった日高です。先日は日高山脈の高嶺に初冠雪を確認しました。

育成馬達の馴致は順調に進んでいます。12群は屋内800mトラックでの駆歩調教をこなし、次のステップとして11月からは週2回程度屋内坂路馬場へ通うことになります。また、1015日から馴致を開始した317頭は、ペン(丸馬場)の中で騎乗できるまでになっており、数日で屋内800トラックでの集団調教に移行します。今年は幸い56頭のほぼすべてが騎乗馴致のステップを大過なく上っており、ここまでは、まず一安心といったところです。

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1,2群の育成馬は、駆歩運動後の鎮静運動として場内各所を15分ほど常歩します。人を乗せてしっかり歩くこともこの時期の若馬にとって良い運動刺激になると考えています。背景は、初冠雪の野塚岳。

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ゲート通過は毎日の日課となっています。

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第3群は、騎乗に先立ち場内各所で十分なドライビングを行っています。補助者は馬から離れ、馬は御者の指示に従い前進気勢のある常歩をしています。馬はハッピーパレットの07(牝:父チーフベアハート)。

今回は、騎乗馴致でおなじみのランジング(調馬索運動)とペン(丸馬場)の有用性についてです。この話題を取り上げるきっかけとなったのは、当場で夏から秋の10月一杯まで実施している、一般ファンの方達に対する牧場内バスツアーにおいて受けた質問です。それは「騎乗馴致ではなぜ馬をペンでクルクル回すのですか」というものでした。

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ペンの中でランジング運動する育成馬。クルクル回っています。馬はミヤビトップレディーの07(父タイキシャトル)。

騎乗馴致において我々が当たり前のこととして行っている基本ですが、以下のように説明しました。

まず、馬をクルクル回す作業はランジングといい、調馬索という約10mの長さの平打ちのロープを用います。ランジングは、よく訓練された馬であれば、調馬索だけで綺麗な円運動をさせることが可能です。しかしランジングの経験のない1歳馬たちは、調馬索で繋がれていても、どう動いていいのかわからないのです。追われることで直線的に人から逃避したり、大きく膨らむ、逆に内に入ってくるなど反応は様々です。そこで綺麗に円運動をすることを効率的に学ばせる施設として存在しているのが、ペンなのです。

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図のように御者(馴致では二人でチームを組み役割分担をします)によって「前に動きなさい」というプレッシャーと「外に膨らみなさい」というプレッシャーを受けた馬は、ペンの壁により外に膨らめないことから、自然にその壁に沿って円運動をすることになるわけです。

図のような御者のペン内における位置関係は、馴致開始初日から騎乗が終了するまで、基本形として継続されることになります。

次に、それではなぜ馴致においてクルクル円運動を実施するのでしょうか。馴致において最も大切なのは人と馬の信頼関係に裏打ちされたコミュニケーションです。ペンは直径15mの円形をしています。そのため必然的に中心に位置する御者と壁に沿って運動する馬との距離は常に7m程度に保たれるわけです。この位置関係を守ることで、人は労せずに馬の運動を継続させ、一定の距離で馬とのコミュニケーションを交わすことが可能になるわけです。

このような役割と目的を持ったペンは、中の馬が外を見ることができない高さと、隙間を作らない工夫が必要で、ちなみに当場のペンは、高さ2.3mで安全のため内部の高さ1mほどまでゴムを貼っています。このペンとその壁を有効に使うことで、安全でスムーズな騎乗馴致を進めることができるわけです。

つまり「ランジングで行う円運動は、馬に運動をさせながら人が馬とコミュニケーションをとるために非常に有用な手法であり、ペンは馴致されていない若馬に綺麗な円運動を行わせるためにとても効率の良い施設で、騎乗馴致には不可欠なものなのです」。