読者からの質問 ~ライトコントロールの効果について~(事務局)
日頃から、当ブログをご覧いただきまして誠にありがとうございます。当ブログはJRAが行っている生産育成活動を通した技術開発および調査研究の成果を普及・広報するために開設しているものであり、少しでも生産者・育成業者の皆様方の業務に役立てば幸いと考えております。
さて、「育成馬に対するライトコントロールの効果」について、読者の方から下記のようなご質問がございましたので、担当者からの回答と併せて掲載させていただきます。
(読者からの質問)
育成馬へのライトコントロールについて質問があります。育成馬へライトコントロールを実施した場合、牡馬の方が良い効果を上げたとの調査結果が出ているようですが、その具体的なデータがありましたら、教えてください。
(担当者からの回答)
JRA日高育成牧場では、性ホルモン濃度を早期に上昇させて、冬季における調教効果を高めることを目的として、ライトコントロールを実施しています。具体的には、1歳市場で購買した馬について、1歳の12月から2歳の4月まで、馬房の天井にタイマー式の100W白色電球を設置することで、昼14.5時間、夜9.5時間の環境(浦河の5月の昼間の長さ)で飼育しました。
さて、気になる具体的な効果ですが、これまでの実験では以下の3点が認められています。
①毛艶の良化
牡牝ともに冬毛が早期に抜ける効果が得られました。
LC群(ライトコントロール群)の方が、明らかな毛艶の良化が観察されました。
②筋肉量の増加
牡は脂肪が減少し、筋肉量の増加が確認されました。
右のグラフにおいて、筋肉量(除脂肪体重)の増加が観察されています。
③性ホルモンの早期上昇
牡ではテストステロンが、牝ではエストラジオールが早期に上昇しました。
また、ライトコントロール実施馬については、病気や異常行動などの安全性に問題はありませんでした。
以上は、あくまで実験データですので、全ての馬に該当するとは限りませんが、試してみる価値はあると思います。
なお、競走成績への直接的な効果は現在までのところ認められていませんので、ご了承ください。
当ブログでは、このような読者の方からのご意見、ご質問をお待ちしておりますjra-ikusei@jra.go.jp。
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