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育成馬24頭の装蹄が完了しました!(宮崎)

テレビの報道で宮崎の話が出ないことがないほど、昨年からの宮崎県にはいろいろなことがあります。口蹄疫や鳥インフルエンザの発生、霧島山新燃岳の噴火、などなどです。明るいニュースが少ない中、宮崎育成牧場では昨年売却したJRA育成馬「シーライフ号」が京都競馬3歳未勝利戦(ダート1,800mで、8馬身差をつけて圧勝するという非常に嬉しいニュースがありました。今後の更なる活躍に期待したいところです。

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後続に8馬身差をつけて圧勝したシーライフ号

さて今回は、宮崎育成牧場から育成馬の蹄(ひづめ)の管理について報告します。育成期の装削蹄も競走馬と同様に、伸びた蹄を削る削蹄と蹄にぴったりと蹄鉄を合わせる装蹄を行います。しかし、育成期の若い馬は日々成長します。入厩時の蹄の大きさがブリーズアップセールの頃には2まわりも大きくなります。人の子供も靴のサイズがどんどん変わる様に育成馬達も成長に合わせ蹄鉄のサイズを変えていきます。日々成長する馬体や蹄を考えながら行う装蹄はとても神経を使う仕事です。

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後肢の装蹄を行うデュプレの09(牝、父:バゴ

育成馬が入厩する9月頃、育成馬は昼夜放牧や騎乗馴致などを中心に管理されます。この時期は強い調教を実施しないので蹄への負担が少なく、削蹄のみによる蹄の管理を行います。馴致が完了して人を乗せて調教を進めるうちに、蹄の磨耗や蹄壁の欠損などが起こるようになります。そのため、蹄の保護を目的として装蹄を開始します。今年初めて装蹄を実施した時期は、前肢が11月、後肢が1月で日高に比べ早く装蹄を始めます。(日高は雪の影響で蹄の底に雪が詰まる事、ウッドチップやオイルサンドの馬場を使用することで蹄の摩耗が少ないことなどから宮崎とは装蹄時期が異なります)

11月に初めての装蹄を行う際、多くの育成馬は何をされるのかわからないためにバタバタと落ち着きなく動き回ります。その後2回、3回と装蹄回数を重ねるうちに馴れてきて、現在はほぼ全馬が大人しく装蹄を受け入れています。2月になり、全育成馬の四肢装蹄が終了しました。

これから3月末に行われる育成馬展示会や4月末に行われるブリーズアップセールに向けてますます調教のピッチが上がりますが、四肢に蹄鉄を装着した育成馬達は準備万端でさらなるパワーアップを目指します。

話は変わりますが、競走馬などで多く見られる蟻洞(ぎどう)という蹄病がありますが、宮崎の育成馬にも蟻洞に罹り完治した馬がいましたので簡単に紹介します。

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昨年9月の削蹄時に確認された左前肢の蟻洞

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今年2月に装蹄を行った同馬の左前肢の蹄

蟻洞とは、様々な原因で蹄壁内部に蟻の巣状に空洞ができ、深く進行していく病気です。今回、蟻洞を発症した馬は9月に初めて削蹄した際に発見し、病変部の削除と治療を実施しました。その5日後に蹄の熱感と跛行が見られたので、「エクイロックス」というアクリル素材の接着剤を使い装蹄療法を行いました。蟻洞の場所が蹄の中心部にあるため、負重圧が蟻洞部分に多くかかっていたことが跛行した原因でした。そこで、蹄壁の役割を果たさせる目的で空洞部分にエクイロックスを充填した結果、蹄の状態も安定するようになりました。その後、定期的な装蹄と飼育管理により、2月の装蹄で写真のとおり蟻洞を完治することが出来ました。

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エクイロックスを充填した蹄

今回のように、多くの蹄病は発症すると完治するまでに蹄の成長を待つ必要があるため、長期間を要します。そのようにならないためにも早期発見と早期治療が必要不可欠なのです。昔から「蹄なくして馬なし」という格言があります。馬にとって大切な蹄を今後も守って行きたいと思います。