育成馬展示会が開催されました(日高)
BTC調教施設での春の訪れの代名詞ともなっている屋外1600mトラック馬場の開場が、昨年より1週間遅れの4月2日に行われました。4月を迎えた浦河では肌寒い日が続いており、育成馬きゅう舎の近くに居を構える“エゾユキウサギ”の換毛も少し遅れており、ようやく茶褐色の夏毛が現れ始めたところです。
今年の冬は寒く“エゾユキウサギ”の換毛も昨年より少し遅れています。4月上旬(左)と2月下旬(右)の写真。
●育成馬展示会の開催
先日、4月9日(月)に日高育成牧場の育成馬展示会が開催されました。当日は早朝には積雪を認め、その後は開始1時間前まで雨が降り続いていました。幸いにも展示会開催中の降雨は認められませんでしたが、4月とは思えぬほどの寒さの中、馬主・調教師・生産者をはじめとして181名の方々にご来場いただきました。この展示会は、以前は生産牧場の皆様にその成長ぶりを見ていただくという趣旨が強かったのですが、8年前に開始されたBUセールでの売却となってからは、購買に興味を持たれた馬主や調教師の方々の来場が年々増えてくるようになりました。
比較展示でたくさんの来場者に囲まれる育成馬達。
今年の冬は例年に無い寒さ
今年の冬は例年にないほど寒く雪解けが遅かったため、騎乗供覧の会場となる1600mダートトラック馬場の開場が1週間遅れ、4月2日にようやくオープンとなりました。育成馬展示会まで8日間しか期間が無く、恥ずかしくない供覧をお見せできるか不安もありましたが、オープン以降は順調に使用できたことで、何とかしっかりとした動きをご覧いただくことができたのではないかと思っております。
騎乗供覧:右が11番ベラミロードの10(牝 父:アドマイヤムーン)、左が12番オテンバコマチの10(牝父:ケイムホーム)。
●BTC生徒の卒業イベント
また、軽種馬育成調教センター(BTC)が行う騎乗者養成コースの生徒に対して、昨年秋の初期馴致および本年1月からの実践騎乗の場として育成馬達を提供してきましたが、生徒達は卒業のイベントとして、立ち馬展示や騎乗供覧の場でこれまで学んできた成果を遺憾なく発揮してくれました。立派なホースマンとして飛躍することを期待しています。
立ち馬展示だけでなく騎乗供覧でもこれまで学んできた成果を遺憾なく発揮してくれたBTC生徒達。これからの活躍を期待しています。
●育成馬達にとってのブリーズアップセール
育成馬達にとっては、ブリーズアップセールがゴールではなく、競走馬としてのスタート地点に過ぎません。順調に調教が進んでいたとしても、セール1週間前に運動器疾患を発症する場合や、2月には軽調教しかできなかったにもかかわらず、セール当日には良いパフォーマンスを発揮する場合など様々です。育成馬達にとっては、ブリーズアップセールという日は2歳の4月のある1日にしか過ぎないのですが、この舞台でその馬の持っているパフォーマンスを最大限に引き出すことができなければ、競走馬としてのスタートラインに立てないという事実もあります。調教が進むにつれ、運動器疾患が少しずつ顔を出すようにもなり、どんなに注意していても馬の管理にはアクシデントが付き物であるということを実感せざるを得ず、セールまで悩みが尽きることはありません。
●BUセールの安心と信頼のための取組み
3月に入ってからは、スタッフ一丸となってセリカタログ用の写真撮影、セール用の調教DVDの撮影、さらにはレポジトリーのための各種検査を実施しています。特に、情報開示室で開示するレポジトリーの確認のために、3月下旬には美浦トレーニングセンターの獣医職員が来場し、第三者による検査も実施されました。その検査のなかで、喉の状態に不安がある馬に対して、トレッドミル(ルームランナーのようなもの)を使用して運動時の内視鏡検査を実施しました。喉の状態を内視鏡で検査する場合、一般的には駐立状態で行われますが、競走馬のパフォーマンスを確認する上では、運動時の内視鏡検査が重要であることはいうまでもありません。そのために、日高育成牧場では、少しでも不安がある場合には、トレッドミルでハロン15秒程度のスピードを上げた走行時の内視鏡検査を実施し、その検査結果の情報開示を行っています。
少しでも喉の状態に不安がある場合には、トレッドミルでハロン15秒程度のスピードを上げた走行時の喉の内視鏡検査を実施します。
最後になりますが、中山競馬場でのブリーズアップセールは4月24日(火)に開催いたします。本年は、前日に上場馬をじっくりと吟味いただくために、「前日展示会」も実施いたします。多くの皆さまのご来場をお待ち申し上げております。