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今シーズンの育成馬第1号が入厩しています(宮崎)

今年は例年よりも2週間早くデビュー戦が始まっています。2012JRAブリーズアップセールで売却したJRA育成馬たちも続々デビューし、その走りに一喜一憂する日々です。2歳戦に限った話ではありませんが、レース発走前には育成担当者同士で育成期を回想し当時の思い出話に花が咲きます。ゲートが苦手な馬、全力を振り絞って注射を回避しようとする馬、なかなか環境に慣れず飼葉を食べない馬など。苦労した育成馬ほど過去の記憶が鮮明に残っており、彼らが無事に出走し、ゴールした瞬間に目頭が熱くなる、そんな幸せな時間を過ごしています。

一方、「Big Dream Stables」宮崎育成牧場には次世代の1歳馬が入厩し、来年のデビューに向けたスタートを切っています。今シーズン最初の入厩馬は九州市場で購買したマヤノビジューの11(牡、父:ケイムホーム、購買価格:399万円、熊本産)で、68日に入厩しました。現在は本格的な馴致開始に備えて引き馬や手入れの馴致を行いつつ、夜間放牧とウォーキングマシン運動で基礎体力作りに励んでいます。

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写真1:夜間放牧を行っているマヤノビジューの11。猛暑となる日中は馬房で過ごし、涼しい夜間に放牧しています。入厩時の馬体重は392Kgでしたが、一回り大きくなった現在は409Kg。毎日広い放牧地を闊歩し、栄養満点の青草を頬張っています。

環境に慣らすため、はじめの2週間程度は昼間放牧を行いました。通常、夜間放牧は複数頭で行うのですが、一緒に放牧する育成馬がいないため帯同馬(乗馬)をつけて2頭で放牧することとしました。はじめて合流させる馬同士の放牧では、怪我などの危険が伴います。特に牡馬の場合、順位付けの行動として立ち上がって「相撲をとる」などの行動が避けられません。リスクはありますが、青草(イタリアンライグラス)をたっぷり食べることで馬体の成長を促し、群れで適度な運動をすることで基礎体力が養成されることを見込んで集団放牧を行っています。

この2頭は相性がよく共に大人しかったため、群れとして落ち着くまでに時間はかかりませんでした。大きな帯同馬(馬体重530Kg)とそれに寄り添い青草を頬張るマヤノビジューの11の姿は、まるで親子のようです。

牧後、9月から始まる騎乗馴致に備えて引き馬と手入れの馴致が行われます。これは人馬の信頼関係を築き、扱いやすい馬をつくる礎となる大変重要な作業です。引き馬は、馴致・調教で使用する様々な場所(調教馬場やゲートなど)を人の指示に従って歩けるよう繰り返し行います。手入れ馴致は、検温、ブラッシング、裏堀りおよび全身のシャワー洗浄などを行います。

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写真2:現在は全身洗浄にも慣れ、顔にシャワーをかけられても気持ちよく!受け入れています。

さて、話は変わりますが、『魅せる育成』に取り組んでいるJRA宮崎育成牧場では、自分たちの行っている育成業務を一人でも多くの人に見てもらおうと考えています。一般のお客様向けの育成馬展示会などは昨年同様に実施する予定ですが、それに先駆けて、826日(日)に当場で開催する『馬に親しむ日』というイベントの中で育成馬の紹介を行う予定です。昨年の同イベントでは、地元宮崎県で生産されたビューティサツキの10(競走馬名:エスペランサ、牡、高市厩舎)を紹介しました。当初は大勢の来場者がいる前で展示することに不安もありましたが、連日行った馴致の甲斐もあり堂々とした立ち居振る舞いを披露できました。今年もしっかり馴致を行い、多くの来場者の皆さんに披露したいと考えています。

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写真3:イベント展示会場の前で場所に慣れさせているマヤノビジューの11(左)。最初は落ち着きませんでしたが、馴致を重ね、多少のことでは動じなくなりました。右の写真は昨年展示したビューティサツキの10

2011軽種馬統計(日本軽種馬協会発行)によると、この世代の国内生産頭数は7,069頭おり、このうち九州産馬は73頭(牡37、牝36)です。全生産馬の約100分の1である九州産馬。地元九州で生産され、宮崎育成牧場で育成したJRA育成馬には特別な思い入れがあります。今年育成する同馬が逞しく成長できるように、しっかりとした土台作りに励みたいと考えています。