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ベストターンドアウト賞(日高)

  前号では、今冬の12月の北海道の降雪の多さについて触れましたが、年が明けて最も寒さが厳しくなるといわれている小寒から大寒にかけての期間は、一転して寒さが和らぎ、1月下旬にしては珍しい降雨を認めました。2月に入っても冷え込みが厳しい日は少なく、このまま春を迎えるのではないかと思わせるほどです。

 BTC育成調教技術者養成研修生

 本年も小寒の頃の恒例行事となっているBTC育成調教技術者養成研修生の騎乗実習が始まりました。本年の研修生は19名で、49日(火)に予定されている育成馬展示会までの約3ヶ月間、67名ずつの3班に分かれ、1週間交代でJRA育成馬を活用した騎乗実習を行います。騎乗実習開始時には初めて騎乗する若馬の動きに対応しきれないことも少なくありませんが、卒業後のそれぞれの進路に向けたモチベーションによって著しい成長を成し遂げる姿を見守ることは、我々にとって楽しみのひとつになっています。将来、研修生たちが育成牧場の最前線で仕事をする際に、この騎乗実習で得た経験が役立ったと思えるようにサポートしたいと思っております。

 また、育成馬も騎乗馴致から関わってきた担当者以外の騎乗者に騎乗されるという経験を積むことができます。これによって特定の騎乗者に関わらず、騎乗者自体をリスペクトしているかどうかを確認することができます。この経験を乗り越えることにより、馬自身のキャパシティーが上がることも期待できるために育成馬の成長にも役立っています。

 

Btc

  BTC研修生(2および4番手がBTC研修生)の騎乗実習が始まりました。先頭からボンビバンの11(牡 父:マンハッタンカフェ)、オンワードシルフィの11(牡 父:ケイムホーム)、シルバーインゴッドの11(牡 父:アドマイヤジャパン)、マチカネアオイの11(牡 父:ヴィクトリー)、ガクエングレイスの11(牡 父:チチカステナンゴ)。

●育成馬の近況

 JRA育成馬の調教は、1月に入り徐々に本格化してきました。12月までは騎乗馴致を開始した順番にグループ分けしていましたが、1月からは騎乗馴致の開始時期に関わることなく、牡および牝の2群に分けて調教を実施しています。

800m屋内トラックでは1列縦隊で1周もしくは2周駆歩(ハロン24秒まで)を行った後に、2頭併走で2周駆歩(ハロン22秒まで)の計2,4003,200mの調教をベースに、週2回は800m屋内トラックで1列縦隊での2周駆歩(ハロン22秒まで)を行った後に、坂路での調教(ハロン19秒まで)を実施しています。坂路調教を開始した12月上旬には、坂路を1本駆け上がるのが精一杯でしたが、この2ヶ月で体力も向上し、ステディキャンターのスピードも上がり、坂路調教後もすぐに息が入るようになってきました。また、牡馬では余裕が出てきてやんちゃな素振りを見せる馬も出てきました。

一方、牝馬は調教強度の増加に伴い、特に繊細な馬では飼葉を残すなど精神面のストレスを受けているようにも見受けられるため、今後の強調教の実施に際しては、肉体面のみならず精神面のコンディションに注意を払わなければならないと考えています。前号での①前に(Go forward②真っ直ぐ(Go straight③落ち着いて(Go calmly走行させることが競走馬の礎であるということを肝に命じて調教を進めていきたいと考えています。

1月最終週の牡(前半の角馬場での速歩から坂路調教まで)および牝(後半の角馬場での速歩から坂路調教まで)の調教動画。ステディキャンターのスピードも上がり、体力の向上が見られます。※なお、ゼッケン番号とブリーズアップセール番号は異なりますので、ご注意ください。

●育成馬検査

1月下旬に育成馬検査が実施されましたので、少し触れてみたいと思います。育成馬検査とはJRA生産育成対策室の職員が日高育成牧場で繋養している育成馬を第三者の視点から、市場での購買時からの馬体の成長具合、現在の調教進度、馬の取り扱いなどをチェックし、ブリーズアップセール上場に向けての中間確認を行う検査のことです。この検査に備えて、年明けからは日頃にも増して馬の手入れに時間をかけ、タテガミや尾のトリミングにも取り組んできました。

検査は2日間かけて行われ、2日目は雪が舞う中の検査となりましたが、第3者に見られるという緊張感のなか、育成馬の展示が行われました。育成馬の検査のみならず、手入れ、トリミング、しつけ、さらには騎乗時のプレゼンテーションも含め、最も手入れが行き届き美しく仕上げられた馬および担当者に贈られる“ベストターンドアウト賞”、また、検査時の展示の仕方が優れた者に贈られる“ベストハンドラー賞”の審査も同時に行われ、2頭の最優秀馬と1人のベストハンドラーが選ばれました。

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雪が舞う中、実施された育成馬検査の様子。今回は“ベストハンドラ―賞”も新設され、緊張感が漂う中、セール本番さながらの展示が行われました。

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“ベストターンドアウト賞”の審査で最優秀馬に選ばれたケイアイリュージンの11(写真左 牡 父:ディープスカイ)とラインクリスタルの11(写真右 牡父:アグネスデジタル)。

今回の検査を通して、日常では見落としていた指摘を受け、個々の馬の発育および調教進度状況を再認識することができました。また、423日(火)に開催されるブリーズアップセールおよび49日(火)に開催される育成馬展示会のためのみならず、馬主、調教師、牧場関係者などのお客様の来場に備えて、馬を展示し、見て頂くという姿勢を再確認する機会にもなりました。浦河にお越しの際は、お気軽にご来場いただき、JRA育成馬をご覧いただきたいと思っております。