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ヴァイタルウォーク(宮崎)

 北海道では恒例の札幌雪祭りが開催されるこの時期。全国的に寒い日が続いていますが、南国の地 宮崎では2月とは思えないような暖かく過ごしやすい日々が続いています。2013年に入り、最高気温が10℃を下回ったのはわずか数日、全国的に暖かくなった24日には最高気温が23℃まで上昇しました。

 今春、宮崎県ではプロ野球5球団のキャンプに加え、WBC日本代表(侍ジャパン)の春季合宿も行われます。サッカーJリーグのキャンプまで含めると実に26チームが宮崎県内でキャンプを行う予定で、温暖な宮崎の気候がアスリートの調整に適していることを証明しているのではないでしょうか。育成馬たちも温暖な気候の中、青々とした生牧草を頬張りながら今夏のデビューに向けた鍛錬に励んでいます。キャンプの見学などで宮崎にお越しの皆様、宮崎育成牧場に立ち寄られてはいかがでしょうか。毎週土曜日には調教公開も行っています。是非お越し下さい。

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【写真1】:雨上がりの育成厩舎。「空が広い」宮崎では綺麗な虹のアーチを見ることができます。

 現在22頭すべての育成馬が順調に調教を消化しています。先月から本格化した1600m馬場の調教ですが、現在は内馬場(500m馬場)でのウォーミングアップ後、1600m馬場に入り1200mのキャンター2本(ベーススピードは1ハロン20秒程度)を実施しています。週2回程度行うスピード負荷日(2本目をハロン17程度)でも、調教後の息遣いもスムーズでまだまだ物足りない顔をしている馬もおり、今から楽しみが尽きません。

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【写真21600m馬場で併走の練習を行う2頭。外(右)が青森産馬グランドアピアの11(牡:父キャプテンスティーヴ)、内(左)が九州産馬マヤノビジューの11(牡:父ケイムホーム)。この日の調教タイムは、最後の3Fが20.1-18.3-17.2/Fでした。

 JRAの両育成牧場では、調教後のクーリングダウンを「ヴァイタルウォーク(Vital Walk)」で行えるよう常に意識しています。ヴァイタルウォークとは、全身を使った闊達な常歩のことをいいます。JRA競走馬総合研究所のデータによりますと、ヴァイタルウォークを行った際、通常の常歩を行う場合の心拍数と比較して約1014拍/分も上昇します。これは同じスピードで3%の坂道を上っているのと同じ負荷に相当するそうです。時間をかけた速い常歩、すなわちヴァイタルウォークは結構な運動量になることがわかります。調教終了後の育成馬をのんびりとした常歩でリラックスして歩かせてあげたい、とも思いますが、ヴァイタルウォークを行う有益性を考えると馬たちには頑張ってもらわざるを得ません。

 宮崎育成牧場では、今年からヴァイタルウォークを実践するためクーリングダウンを行う際に常歩のタイム測定をしています。1600m調教馬場の裏手にある杉林にスタート地点とゴール地点を決め、この常歩区間をどの馬が最も早く歩くことができるかを競い合います。測定タイムは職員皆の目に触れるところに貼り出し、競争心を煽ることで馬を早く歩かせる、すなわちヴァイタルウォークを誘起します。開始前の平均タイムが340秒程度、現在は同じ距離を310秒程度で歩けるようになりました。ブリーズアップセールに登場する頃にはヴァイタルウォークが身についた馬に育っていて欲しいものです。

 

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【写真3】調教が終わり、杉林でヴァイタルウォークに励む育成馬たち。ついて歩く調教監督者も汗をかくほどのスピードで歩けるようになりました。

 さて、「魅せる育成」に取り組んでいる宮崎育成牧場ではこれまで、「一般の方々向けの育成馬見学会」や毎週土曜日に1600m馬場での調教をご覧頂く「調教公開」などを実施してきました。これらは地元宮崎の方々に育成馬やその調教風景を見学していただく機会を設け、育成牧場の業務内容を披露することで競馬やJRA育成馬に対する更なる興味を喚起することを目的として実施しています。

 29日(土)には宮崎育成牧場で初の試みとなる「調教見学会」を開催しました。過去の見学会に来場されたお客様を招待して、調教やウォーキングマシン運動、ゲート練習の様子をはじめ、馬房で過ごす育成馬の素顔など普段見ることのできない「バックヤード」部分についてもご紹介しました。来場された23名のお客様は、調教担当者の解説を聞きながら真剣な眼差しで調教に臨む育成馬たちをみておられました。短い時間ではありましたが、これから活躍が期待される若きアスリートの姿を見てお楽しみいただけたものと思います。

 今後とも、ウインズ宮崎に来場された皆様や育成牧場に遊びに来られた方々に育成馬を披露する機会を定期的に設け、育成馬の成長する様子を楽しんでいただける環境を作っていきます。これらの機会を通じて育成馬に興味を持っていただくことで競馬が好きになり、競馬産業の裾野が少しでも広がることこそが、私たち宮崎育成牧場職員の願うところです。