ホルモン処置による乳母 ~その1~(生産)
子馬に乳母をつけることは、サラブレッドの生産においては比較的頻繁に実施されています。
乳母をつける主な理由は、
① 「母馬の出産直後の死亡」
② 「母馬による子馬への虐待」
③ 「母乳の分泌不足」
などですが、
④ 「母馬の蹄疾患などによる歩様の悪化」
⑤ 「種付けを目的とした母馬の輸出」
競走馬ではありませんが、馬術競技馬が出産した際に、
⑥ 「早期の競技復帰」
を目的として乳母を用いる場合があります。
一般的に乳母は、性格が温厚な血統の馬(ハーフリンガー種など)であり、
導入直前に子馬を産んでいる必要があります(母乳を分泌させるため)。
乳母は温厚な血統の馬で、導入前に出産している必要があります。
日高育成牧場においては、子馬を産んでいないサラブレッドをホルモン処置することによる乳母導入を実施しています。
この利点は、
乳母導入の費用(80~100万円)の削減、
その年に子馬を産んでいない牝馬の活用、
などがあげられます。
一方、どちらかというと血統的に気性が温厚ではないサラブレッド、
さらに直前に子馬を産んでいない母馬を乳母として導入することは極めて困難であり、
場合によっては、子馬の大怪我などのリスクを伴います。
本年、日高育成牧場の出産馬1頭に対して、乳母付けをすることになりましたので、次回以降のブログで、この詳細に触れたいと思います。