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25-26育成馬ブログ(繁殖④)

出産後の親子馬の放牧地における様子について


 当日誌の繁殖編前回の更新で、JRA日高育成牧場における出産第一号のご報告をしてから1か月程たち、先日早くも最後の出産を終えました。以下が今年生まれた当歳馬のラインナップです。
今年は8頭が生まれる予定でしたが、最後の出産馬となった牡駒は、胎子失位による難産の末牽引し生まれてきたものの、残念ながら翌日に亡くなってしまいました。詳細な死因については現在も究明のための検査中ですが、改めて馬を無事に産ませ育てることの難しさを感じております。

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 さて、無事に生まれた7組の親子馬たちは、現在集団放牧を始めています。寒さも和らぎ、段々と緑色が増えてきた放牧地で、他の親子馬たちと共同生活をしています。例年以上に元気な子馬が多く、放牧地では元気に走ったり飛び跳ねたりしている様子が印象的です。

Photo ブレシッドサイレンス2026(牡、父ダノンプレミアム)。唯一の牡駒らしく、非常に力強い馬体をしており、放牧地でも存在感ある動きを見せています。

 その一方で、放牧地での親子の様子を見ていると、子馬は元気に動いてはいるものの、母馬の近くをあまり離れず、子馬同士で遊んでいるようなシーンはあまり見かけません。
過去に当場で調査した、放牧地での親子馬間の距離を調べた結果によると、3週齢までの母子間の距離は平均5m以内であり、常に母馬の傍を離れないことがわかっています。

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 週齢を重ねるごとに段々と親子間の距離は延びていきます。それに加えて、一緒に放牧されている子馬同士の距離も調べた結果によると、反対に週齢を重ねるごとに距離が縮まっていきました。この結果からわかるように、子馬たちは少しずつ母馬から自立し、他の子馬との関りを増やしていくことによって社会性を身に着けていっていることが窺えます。

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 これらのデータによると、3~4カ月程度経過すると親子間距離も子馬間距離も安定してきます。母馬からの自立や、他の子馬との関係性の構築が一定程度完了したととらえることができるので、親子馬たちにとっての大きな生活環境の変化を伴う「離乳」は、これ以降に行う方が親子双方へのストレスが少ないと考えられます。JRA日高育成牧場ではこれらのデータを活用し、離乳時期は例年6カ月齢程度にあたる8月末ごろから開始しています。

 3月中旬には獣医大学生を対象とした毎年恒例の研修イベントである「スプリングキャンプ」が開催され、子馬たちも馬の取り扱いの実習などで活躍してくれました。また、この時期は肢勢が大きく変化しやすいので、獣医師、装蹄師による検査を頻繁に実施していることもあり、多くの人に触れられる機会が増えています。

Photo_4 ある日の肢勢検査の様子。獣医師や装蹄師に入念に馬体を確認されます。

 スタッフによる日常の取り扱いを通した躾に加えて、普段触れ合わない人々に触られる機会を通して馬は成長していくものと考えています。生まれて間もない中、子馬たちにとっては覚えることが多いことかと思いますが、放牧地での馬同士の関りや人との関りを通して健康で素直な馬に育っていってくれることを願っています。