生産現場における駆虫 その2「ターゲット・ワーミング」(生産)
耐性寄生虫の出現を可能な限り抑制する方法として、
欧米では「ターゲット・ワーミングTarget worming」と呼ばれる駆虫方法が提唱されています。
ポイントは3つです。
①虫卵検査の実施 ②必要な馬に限定した駆虫 ③薬剤のローテーション |
すなわち、虫卵検査を実施して、必要な馬に対してのみ駆虫を実施する方法です。
また、異なる薬剤を交互に使用することで、1つの薬剤に対する耐性寄生虫の出現を抑制します。
具体的には、
・2ヶ月間隔で繋養全馬に対する虫卵検査を実施 ・各寄生虫につき糞1gに250個以上の卵が認められた場合のみ駆虫 ・イベルメクチン、ピランテル、フェンベンダゾールを2ヶ月ごとに交代で投与 ・条虫駆除を目的としたプラジクアンテルは秋に1回(もしくは春との2回)のみ投与 ・駆虫2週間後に再検査をして、駆虫剤の効果を確認 |
ただし、2歳未満の子馬に対しては、虫卵数に関わらず、2ヶ月毎に駆虫を実施します。
理由は、子馬にとっての脅威「アスカリド・インパクション(回虫便秘)」の防止です。
アスカリド・インパクションは、子馬の腸管の中に回虫が充満し、最悪の場合には腸管破裂による死亡を引き起こします。
成馬になると、回虫に対して抗体ができると言われています。
このため、抗体ができる前の若馬に対してのみ、徹底的に駆虫するのです。
この場合の駆虫は上記3つの薬剤を交代で使用することにより、耐性寄生虫の発生を抑えます。
虫卵検査により、大量寄生が認められた馬のみ駆虫する
薬剤のローテーション投与
つづく