« 生産現場における駆虫 その2「ターゲット・ワーミング」(生産) | メイン | 生産現場における駆虫 その4「駆虫剤投与以外に実施すること」(生産) »

生産現場における駆虫 その3「寄生虫をゼロにする必要はない」(生産)

前回触れた「ターゲット・ワーミング」のつづきです。

 

「ターゲット・ワーミング」は、薬剤感受性が高い寄生虫(薬が効く虫)を一定割合生存させておくことによって、耐性寄生虫の割合を減らすことができる方法です。

 

これにより、本当に駆虫が必要な時に駆虫剤が効果を示すようになるのです。

Photo_14

この方法の根底には「寄生虫をゼロにする必要がない」との考え方が存在します。

「寄生虫=害虫=全滅させる必要がある」という概念は間違いだと考えられるようになったのです。

 

すべての寄生虫が馬に健康被害をもたらすのでしょうか?

この疑問は解決されていません。

 

デンマークで行われたトロッター競走馬を対照とした調査によると、

円虫卵が多く認められた馬のほうが、入着(1~3着)する可能性が高いとの結果が得られました。

円虫寄生が競走パフォーマンスを高めるとは想像できませんが、少なくとも競走馬の場合には負の影響はないと考えられます。

 

もちろん、成馬であっても大量寄生による疝痛・栄養障害などの健康状態に与える影響は否定されていません。

 

しかし、子馬のアスカリド・インパクションなど、本当に必要な時のために、現在有効な駆虫薬を残しておくことは極めて重要です。

 

なぜなら、新たな駆虫薬の開発には長い年月を必要とするからです。

Photo_15

現在使用可能な駆虫剤は、必要な時のために温存!!

つづく