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子馬の感染症予防(生産)

 以前のブログでも触れたとおり、生後30日以内の子馬の8%、すなわち12頭に1頭が何らかの感染症にかかるといわれています。子馬が感染症にかかりやすい理由は、体内に侵入してきた病原体に対する防御機能が未発達であるためです。

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 子馬は母馬からの抗体を受け取ることにより、病原体から身を守ります。馬の場合、人間のように胎盤を通した抗体の受け渡しができないため、初乳の中に抗体を含ませることによって、子馬に与えています。つまり、出産直後の子馬に対して確実に初乳を飲ませることが、子馬の感染症予防の第一歩といえます。

 

2 移行免疫不全症とは、母馬からの抗体の受取り不足、すなわち、子馬の体内における抗体の量が不十分な状態を表しており、子馬の感染リスクが高まることが知られています。

3 移行免疫不全症は、子馬の血液に含まれる抗体の1つであるIgGの濃度により診断します。初乳を正常に飲んだ子馬の血中IgG濃度は、通常は800mg/dl以上ですが、移行免疫不全症の場合、400mg/dl以下となります。IgG濃度が400mg/dl以下の場合には、保存初乳の経口投与、もしくは血漿輸液による治療を実施します。 

 出産シーズンはすでに始まっていますが、感染症を可能な限り予防し、元気で健康な子馬を育てましょう!

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