育成馬ブログ 生産編⑧ 「その3」
育成馬ブログ 生産編⑧ 「その3」
子馬の引き方②
子馬自身のバランスで歩く
子馬を引く場合に重要なことは、
「人の指示に従って歩くこと」
「子馬自身のバランスで歩くこと」の2点です。
前者は容易に理解できるかと思いますが、後者「自身のバランス」とは何を意味するのでしょうか?
これは、子馬が歩く際に「引っ張られたり、押されたりしない」状態であり、人間の指示に従ったうえで、馬自らの意思を持って歩くということです。
わかり易く、人間の子供に例えれば、
「親に言われて嫌々、勉強・お手伝いをする」のではなく、
「子供が自らすすんで、勉強・お手伝いをする」といったイメージでしょうか?
ただし、人間の子供と異なり、「勉強をして希望の学校に入る」「お手伝いをしてお小遣いをもらう」といったモチベーションを馬はもっていません。
そこで、馬に対しては、「オンとオフ」を用います。
馬が前に歩き出すまでは、様々な刺激によるプレッシャー、すなわち「オン」を与えて前進を促します。
そして、前進を開始したら、その瞬間にプレッシャーの解除、すなわち「オフ」を与えることによって、子馬に人間の指示を理解してもらうのです。
プレッシャーの与え方-前進しない時-
では、具体的に前進しない場合のプレッシャー。すなわち「オン」はどのように与えればよいのでしょうか?
生後直後は、別のスタッフに後方から前進を促してもらいます。
最初は、後方から臀部を押し続けなくてはなりませんが、前進するようになったら、押すことをやめる、すなわちプレッシャーを解除して、子馬自身に歩いてもらいます。
最終的には、子馬自ら歩くようになり、もう1名のスタッフは、後ろから見守るだけになります。
後方からの「オン」で前進を促す
子馬が前進したら「オフ」にする
また、1名で引くことができるようになっても、子馬が前進しないことは頻繁にあります。この場合、保持者は、様々な方法を用いて子馬に「オン」の合図を与えますが、パッティング(右手で臀部や肋部を軽く叩く方法)が効果的かつ容易な方法です。
パッティングによる「オン」の合図
(右手で臀部や肋部を軽く叩く方法)
また、上記以外にも、子馬が立ち止まった際には、無理にプレッシャーを与えずに、子馬を軸にした回転を用いて前進させることも可能です。
子馬を回転させることで前進させる
(子馬が立ち止まった場合)
上記いずれの方法を用いた場合であっても、子馬が自身のバランスで歩いてくれたら、必ず、プレッシャーを解除して「オフ」の雰囲気をつくりましょう(つづく)。