ブリーズアップセールが近付いてきました!(日高⑦)
関東地方では3月18日に春一番が吹きました。気象庁によると、これは1951年に統計を取り始めてから3番目に遅い記録だそうです。とはいえ3月下旬の日本列島に暦通り春が訪れていることは間違いなさそうです。日高育成牧場では、今でも雪が降ったりやんだりの繰り返しですが、晴天で気温の高い日には地表を覆っていた雪や氷塊が溶けて土の色が確認できるようになってきました。春の訪れを待っていた育成馬たちは、ここにきてぐんと良くなってきています。
日高育成牧場を覆っていた雪も解けて春らしい景色になってきました。冬場は路盤が凍結するため使用できなくなる屋外1600m馬場も間もなく利用できそうです。
●育成馬の近況
JRA育成馬の調教は、来月のJRAブリーズアップセールに向けて負荷を強めつつ順調に進められています。調教のベースとなる800m屋内トラックでは基礎体力を養成するため2400m~3200m(F22~20秒)の調教を週4回実施し、火曜日と金曜日の週2回は800m屋内トラックで1200mのウォーミングアップをしたのち1000m屋内坂路コースで2本のキャンターを実施しています。屋内坂路コースでは1本目を3~4頭の縦列で56-54秒/3F程度、2本目を併走で50-48秒/3F程度のスピードを目安として調教しています。
●調教撮影DVDの収録
さて、日高育成牧場では3月19・20日の2日間、屋内坂路馬場で調教撮影を行いました。各馬の走行フォームを見ていただくことに主眼を置き、ラスト2ハロンを16秒-15秒で登坂する姿を撮影しました。この映像が収録されたDVDは最近の調教状況をご確認いただく目的で、ブリーズアップセールの購買登録をしていただきました馬主の方々に順次郵送させていただきます。また、JRA育成馬サイトやJBISサーチ ライブ配信ページでも同内容の調教動画を4月上旬から配信します。育成馬たちが元気に走る姿を是非ご覧ください。
撮影のために坂路上にはカメラや機材が設置されました。1本目の坂路調教で駆けあがってきた育成馬たちは、ゴール地点に普段見慣れないカメラがあるので驚いた様子でした。
●BTC研修生による騎乗
前回の日高ブログで競馬学校騎手課程生徒の騎乗研修について触れましたので、今回はBTC研修生の騎乗研修について少しご紹介します。現在、31期の研修生21名が3班に分かれてJRA育成馬の騎乗研修に来ています。9月末からのブレーキング(初期馴致)研修にも来ていたので、ブレーキングに携わった育成馬たちに久々に再会し騎乗していることになります。研修が始まるまで育成馬に携わったことのなかった21名の生徒達は、1年足らずの研修期間で大きく成長し力の強い育成馬たちを無難に乗りこなします。彼らの技術面の成長には毎度のことながら感心させられます。今後予定している育成馬展示会(4月14日:於 日高育成牧場)での騎乗に向けて、さらに技術を磨いてほしいです。
800m屋内トラックで2列縦隊の調教を行う生徒(後列2騎)。騎乗しているのはフレンドリータッチの12(写真右から2番目、BU番号:6。牝、父:ボストンハーバー)とタケイチゼットの12(写真左端、BU番号:76。牝、父:アルデバラン)。
●ブリーズアップセールに向けた準備
1カ月後に迫ったブリーズアップセールに向けた準備が着々と進められています。その中でちょっと変わった準備(?)があるのでご紹介します。セール会場となる中山競馬場までは馬運車で約24時間の道のりで、途中フェリーにも乗るためできるだけ計画通りに輸送する必要があります。計画どおりに輸送できなくなる最大の原因は「馬が馬運車に乗らない」です。慣れない馬運車を物見して入らなかったり、中で大暴れしたり…。これらを避けるため事前に「馬運車の馴致」を行っています。当場で所有している馬運車に育成馬を乗せてみて、馬積み場や馬運車に慣れさせることと車内の環境に慣らして長時間輸送でのストレスを軽減することが主な目的です。今年の育成馬たちは比較的おとなしく、現在のところ問題のある馬はいません。無事に輸送するためにもスムーズな積み込みができることを祈っています。
馬積み場で馴致を行う育成馬たち。実際の輸送ではもっと大きい馬運車に乗るため、この馬運車に乗れていれば安心です。
今年のブリーズアップセールは4月29日(祝)に開催いたします。育成馬たちと向きあっていられる残り期間は約1カ月となりました。セールが終わってから後悔しないためにも、1日1日を大事にしていきたいと思います。