育成馬ブログ 生産編⑤ 「その1」
離乳後の子馬の取扱い 前の馬との間隔を空けた引き馬
子馬を生後から適切に取り扱うことで、人がリーダーであるとの認識や、人に対する信頼感を構築することができます。
しかし、離乳すなわち「母馬」という子馬にとっての絶大な安心感を失うことによって、少なからず精神的に不安定な状態に陥ります。
当場では、そのような状態を少しでも抑制する「母馬の間引き」による離乳方法を実施していますが、馬によっては、離乳後に取扱いが困難になる場合もあり、これまで以上に人に対する信頼感や安心感を育む努力が必要になります。
このような馬に対して、限られた牧場業務のなかで実施可能なことは、やはり、収牧および放牧時の引き馬、そして馬房内での手入れになります。
引き馬では、可能な限り人と馬が向き合う機会を増やす工夫が求められます。
例えば、複数頭の群れのまま、列をなすのではなく、前の馬との間隔を空けた引き馬は有効な方法です。
群れのまま、前の馬との間隔をつめる引き馬では、馬は落ち着いて歩きますが、場合によっては、引いている人ではなく、前の馬をリーダーとして認識しています。
このため、当場では前の馬と「10馬身以上の間隔」を空けた引き馬をしています。この場合、前に歩かない馬や、逆に前に行きたがる馬がでてくるので、引いている人がリーダーとなって、馬のスピードをコントロールします。これにより、人馬の関係を再構築していくのです。
つづく