育成馬ブログ 日高④
○ 本年もよろしくお願いします!(日高)
あけましておめでとうございます。昨年に引き続き、JRA育成馬ブログをよろしくお願いします。12月下旬の日高育成牧場には例年の2倍近い降雪があったため牧場は根雪に覆われており、まさに「厳冬期」です!マイナス10℃を下回る日も少なくなかった今回の年末年始、育成馬の管理は昼放牧のみとしましたが、事故なく無事に年始を迎えることができました。リフレッシュした育成馬達は元気に調教を再開しています。
写真1.雪化粧した日高山脈と育成馬たち。
●育成馬の調教状況
さて、JRA育成馬の調教状況についてお伝えします。第1群の牡馬は屋内800mトラックにおいて、縦列のキャンター(1周:ハロン24秒程度)を行った後に、手前を変えて2列縦隊でのキャンター(2周:ハロン22秒程度)を行うメニューを継続しています。年末には体力もつき走りたい気持ちを前面に出す馬が多くなってきますが、前馬との距離を2馬身に保ち前後左右の隊列を整えた調教を行っています。屋外1600m馬場が雪でクローズされた11月末以降は、週2回の屋内坂路馬場での調教を上記メニューと併せて行っています。坂路調教日は屋内800mトラックでキャンター2周のウォーミングアップをしてから坂路を1本駆けあがる(3ハロン60秒程度)調教を行っています。
第2群の牝馬もしっかり体力をつけており、1群とほぼ同内容の調教を行っても息の入りが早くなり騎乗者の手応えにも余裕が出てきました。12月から開始した坂路調教にも徐々に慣れ、年末までには週2回の坂路調教(1本、3ハロン66秒程度)が安定して行えるようになりました。
馴致を最後に開始した第3群も概ね順調に調教が進んでおり、12月末には坂路での調教ができるまでになりました。これから体力をつけていき、1月中旬を目途に1・2群と合流する予定です。
動画1.坂路調教を行う2群の牝馬。3~5頭を1ロットとした縦列調教を行っています。日々先頭を入れ替えることで、先頭の馬には自ら前に出る前進気勢を、後続の馬には走りたい気持ちを我慢することを教えています。
●ゲート馴致と確認試験
JRA育成馬に対するゲート練習は、入厩して騎乗馴致を開始した時点から毎日行っています。ウォーミングアップを行う覆角馬場に練習用ゲートを設置して、このゲートを馴致・調教時に通過することで、ゲート通過を馬にとっての「特別なこと」ではなく「日常、当然のこと」と理解させます。JRAでは、育成段階におけるゲート馴致の目標を“前扉を閉めたゲートに入り後扉を閉めて、リラックスした状態で駐立し、前扉を開けたら常歩で発進すること“としています。昨年末からこの確認試験を開始しており、これまでに順次合格していっています。3月に再び確認試験(最終)を行ってブリーズアップセールに臨みます。
動画2.ゲートの確認試験を行う育成馬 ●BTC利用者との意見交換会 昨年12月16日、当場では「若馬の鍛錬~心身ともに健康な馬に鍛えあげる~」をテーマに、2歳戦の早期から活躍できる馬に鍛えるための取り組みや工夫についての意見交換会を開催しました。はじめに日高育成牧場から「アイルランドの調教」と「トレーニング効果の判定方法」についての話題提供を行い、パネリスト3名(BTC利用者代表)を中心にフロアーの参加者と意見を出し合いました。今回、特に白熱した意見交換が行われたのは「隊列の考え方」と「奥手な馬の取扱い」、「トレーニング効果の判定方法」の3項目でした。JRA育成馬の調教を進めるうえで悩むことの多いこれらの項目について、BTC利用牧場の皆様と意見交換が行える非常に有意義な時間となりました。早期から勝ちあがる強い馬を作るという共通の目標に向けて、意見交換会は今後も引き続き実施したいと考えています。 ●BTC32期研修生の騎乗研修 1月7日からBTC育成調教技術者養成研修生の騎乗実習が始まりました。今年は18名の研修生が4月の育成馬展示会までの約3ヶ月間、JRA育成馬を用いた騎乗実習を行います。馴致実習を行ったJRA育成馬と久しぶりに再開した研修生は、若馬の成長ぶりに驚いていました。研修生にとってこの研修がはじめての若馬騎乗機会となるため、しばらくは若馬の動きに対応しきれないことも多々あります。しかし、実習が進むにつれて若馬と一緒に大きな成長を遂げ、4月には一人前の騎乗者・ホースマンに成長して卒業していきます。近い将来、彼らが育成牧場の最前線で働く際に、今回の騎乗実習で得た経験を役立てられるようにしっかりとサポートしたいです。 厳しい寒さの続く北海道で鍛えられるJRA育成馬たち。競走馬としてデビューする日を夢見て日々成長する彼らを見に、ぜひ日高育成牧場まで足を運んでください。皆様のお越しをお待ちしています!
写真2.BTC研修生の騎乗実習が始まりました(2列目内の騎乗者がBTC研修生)。はじめて行う若馬の調教に緊張しながらもしっかり騎乗できています。