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育成馬ブログ 生産編⑥

厳冬期の子馬の管理

 

JRA日高育成牧場では、この時期(1月)の子馬は昼夜放牧で管理しています。

 

【放牧時間】 

22時間(朝10:30~翌朝8:30)

※放牧時には馬服を着用

 

【飼料】

(1日2回)

朝(馬房内):スタム(バランサー)0.5kg、エンバク1kg、ルーサン2kg

夕(放牧地):スタム(バランサー)0.5kg、エンバク1kg、ルーサン2kg

この他に自家製牧草の自由採食(馬房内および放牧地)

 

【BCS】

5.0~5.6(全7頭の平均5.2)

※2013年産駒の同時期:5.4~6.0(全7頭の平均5.7)

 

【ADG(1日あたりの体重増加量)】

0.3~0.6(全7頭の平均0.4 12月初旬~1月初旬の1ヶ月間)

 

Photo
午後の放牧地での飼付けの様子

 

BCSに関しては、昨年産駒の同時期と比較すると約0.5ポイント低い値を示しています(折れ線グラフ)。現在の給餌量は昨年同時期と比較してほぼ同量ですが、昨年は冬場に備えて比較的早い時期から、飼料(昨年はオールインワン飼料ワンダーオリジナル)を多めに与えてきたことによるものです(棒グラフ)。

Bcs

2

 

昨年は「厳冬期の成長停滞」および「春以降の急激な成長」の防止を目的として、秋季からBCSを高めに管理してきました。

馬体の成長に関しては、個体差はあったものの、概ね所期の目的を達成することができたように感じました。

一方、デメリットとして、9~10月にかけて球節の骨端炎(明らかな疼痛、帯熱が認められたもの)を発症する馬がいたこと(7頭中3頭)、1歳夏時期に市場購買馬と比較したところ、やや太めの馬体に映ったことがあげられました。

いずれも大きな問題には至りませんでしたが、草が豊富にある秋時期における濃厚飼料の過給が、骨端炎を始めとする骨軟骨症のリスクに繋がることを実感しました。

本年については、同時期における骨端炎の発症馬は認められませんでしたが、昨年より低めのBCSで冬を迎えたことが、今後の成長や健康状態にどのような影響を及ぼすか気になるところです。

 

今後、気温が更に低下する2月を迎えますが、BCSと増体量を観察していきながら、徐々に濃厚飼料を増やしていく予定です。

 

冬期の昼夜放牧に関する議論は尽きないところですが、日高育成牧場では、引き続き様々なデータを収集しつつ、最適な飼養管理方法を模索していきたいと思います。

 

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